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    SS

    Alice_owcai

    DONE付き合ってるオーカイのSS
    身体の関係があることを匂わす描写があります
    オーカイワンドロ「手紙」暗闇の中淡い光が発光し、誰も居ない部屋に何者かが足を踏み入れる。月明かりだけに照らされた薄暗い部屋の主はまだ戻っていない。今日は魔法舎の任務はなくグランヴェル城の仕事をして夕飯前に帰ってきているのを見かけたから、どうせまたバーで飲んでいるのだろう。明日も城へ行くと言っていたからそんなに遅くならずに帰ってくるだろうと思い、オーエンは自分のものではない椅子に腰を掛けた。
    相変わらず雑に物が散らかった部屋だな、と見慣れた部屋を見渡すとテーブルの上に綺麗な装飾のついた木箱が置いてある事に気付いた。いつもはここに置いてなかったなと思い、何気なく箱を開けてみる。そこには家族からの手紙や、家族皆が描かれた絵などが入っていた。騎士団の部下達からの手紙もあった。大切な物を仕舞っている箱なのだろう。暖かい家庭で人に囲まれて育ったカインらしい持ち物に、オーエンはすぐに興味をなくし蓋を閉めようとする。すると、ひらりと小さな紙が床に落ちた。なんだろう、と思って拾ってみるとそれは黄色の押し花が貼られた栞だった。売り物にしては作りが雑なので素人の手作りだろう。その下にあったのは家族からの手紙とは筆跡の違う、幼い子供が書いたような手紙だった。誰からカインに宛てた物なのかは分かっていた。オーエンは歪に折り畳まれたその手紙を開いた。
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    さめしば

    DONE灼カバワンドロワンライのお題「こどもの日」で書いたSS
    5月5日の井浦慶の話。⚠️捏造要素あり
    「じゃあ今から十五分の休憩に入ります! 皆さん、水分はしっかり取ってくださいねー」
     はあーい! 整列した子どもたちの声が、体育館の天井に高く響いた。

     きょうは五月五日、こどもの日。都内のとある大型スポーツ施設では、小学生を対象としたスポーツフェスティバルが開催されていた。さまざまな競技団体が集うこの日、カバディ協会に割り当てられたのはここ、第二体育館の午前のプログラムだ。「こどもカバディ体験教室」と題し、競技未経験の子どもたちにカバディの楽しさを知ってもらう——これが本日のねらいである。その折り返しとなる休憩時間、運営スタッフとして参加中の井浦慶は、持参したペットボトル片手に休息を取っていた。立ったまま体育館の壁に背を預け、小さな溜め息を吐く。——わかっちゃいたけど、子どもの相手ってのはなかなか骨が折れるモンだな。スポーツドリンクを喉に流し込みながら、目の前の喧騒を眺めつつ思った。体力の有り余っているらしい男子数人が、休憩の間も惜しむようにマット上でじゃれ合っていた。狭いコート内で行われる鬼ごっこがいたく気に入ったと見える。悪くない光景だと、井浦は素直にそう思った。すると、井浦のところにまっすぐ近付いてくる男がひとり——同じくスタッフの一員として参加中の、山田駿だ。
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