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    生徒会

    お箸で摘む程度

    MOURNING元同室 生徒会選挙の別Ver.
    .昼休みのカフェテリア、注文口まで続く長い列はのろのろとしてちっとも進まない。ヘッドフォンから流れる音楽が、ああこの曲は今朝も聴いた、プレイリストを一周してしまったらしい。アルバムを切り替えることすら面倒くさくて、今朝遅刻寸前でノートをリュックサックに詰めながら聴いていたブリティッシュロックをまた聴いた。朝の嫌な心地まで蘇ってくる。それは耳に流れるベタベタした英語のせいでもあり、目の前で爽やかに微笑む同室の男の顔のせいでもあった。
    普段はクラブの勧誘チラシなんかが乱雑に張り付けられているカフェテリアの壁には、今、生徒会選挙のポスターがところ狭しと並べられている。公約とキャッチフレーズ、でかでかと引き伸ばされた写真に名前。ちょうど今俺の右側の壁には、相部屋で俺の右側の机に座る、ウィルのポスターがこちらを向いている。青空と花の中で微笑んだ、今朝はこんな顔じゃなかった。すっかり支度を整えて、俺のブランケットを乱暴に剥ぎ取りながら、困ったような呆れたような、それでいてどこか安心したような顔をしていた。すぐ起きてくれて良かった、とか何とか言ってくるから、俺は腹が立つのと惨めなのとですぐにヘッドフォンをして、その時流れたのがこの曲だった。慌ただしい身支度の間にウィルは俺の教科書を勝手に引っ張り出して、それを鞄に詰め込んだら、俺たちは二人で寮を飛び出した。結果的には予鈴が鳴るくらいのタイミングで教室に着くことができて、俺は居たたまれない心地ですぐに端っこの席に逃げたんだけれど。
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    eineklei

    REHABILI誰か年上の人が”好き”な天峰くんと同級生で生徒会に入ってる「私」の観測失敗夢小説です。ネームレス。
    これは誰の話? 「天峰くん」が私達の恋バナに参加することは極めて稀だった。生徒会はいつも忙しいのでそんな話題になる事自体おかしいのだが、最近アイドルになった彼にとって危ない話題だってことくらい、流石に高校生の私達でも分かる。A組の××は○○の事が好きだとか、C組のあの人を誰と誰が気になってるとか、私達が話している時も彼は黙々と手を動かしているか、資料に目を通しているか。そして休憩の時間が終わると──大抵五分か十分だ──「先輩、そろそろ始めましょう」真っ白なコードを耳から外して私達に声を掛ける。
     おしゃべり好きな「先輩たち」は生徒会長だから恋しないんじゃないかとよく噂していた。自分たちの手本にならないから、天峰くんは真面目だから、進学校らしい校則をちゃんと守ろうとしてるのかもしれない。でも、同じく書記として生徒会に入った自分だけは知っている。クラスメイトで隣の席になったこともある私は「天峰」がスマホ片手に難しい顔をしてる事も知ってる。クラスに唐突にできた空席を誰もが遠巻きに見ていた。「天峰」の周りには、触れちゃいけない話題がごろごろ転がっている。でも、それでもみんな彼が好きだった。
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