御門
pagupagu14
DONE一時の逢瀬/浮唯(スタオケ)今年のハロイベ時空。そこまでイベストのネタバレ無。浮唯、御門初書き。恋人設定です。
一時の逢瀬 「…おや、もう着いてしまいましたか。残念ですね」
花響学園の前に着いた浮葉は残念そうに息を吐いた。
「暫しの2人きりの逢瀬もこれで終わりですね」
グランツとスターライトオーケストラ。ライバル関係である2人は許されないわけではないが簡単に2人の時間が作れないのもまた事実だった。
「浮葉さん!」
握られたままの手を強く握ると空いた手で唯はその手を包んだ。
「確かに名残り惜しいですけど…でもずっと会えないわけじゃないです。それに今回のハロウィンは一緒にいられるわけですし…」
「だから…構わない、と?」
「そ、そうじゃなくて…ええっと…そんなに寂しがる必要はない、っていうか…さ、寂しかったら私を呼んでください!どこへだって駆けつけますから!」
920花響学園の前に着いた浮葉は残念そうに息を吐いた。
「暫しの2人きりの逢瀬もこれで終わりですね」
グランツとスターライトオーケストラ。ライバル関係である2人は許されないわけではないが簡単に2人の時間が作れないのもまた事実だった。
「浮葉さん!」
握られたままの手を強く握ると空いた手で唯はその手を包んだ。
「確かに名残り惜しいですけど…でもずっと会えないわけじゃないです。それに今回のハロウィンは一緒にいられるわけですし…」
「だから…構わない、と?」
「そ、そうじゃなくて…ええっと…そんなに寂しがる必要はない、っていうか…さ、寂しかったら私を呼んでください!どこへだって駆けつけますから!」
pagupagu14
DONE向日葵は渡さない/拓唯(スタオケ)別れてよ!って第三者によって言われる奴。スタオケは朝日奈が強いからどいつとくっついても「別れません!」なりそうで笑うな(御門と月城だけ弱くなりそうか…?)
向日葵は渡さない 「赤羽くんと別れて欲しいの」
呼び出され、言われた言葉にただ私は黙ることしかできなかった。顔に見覚えはないが恐らく拓斗くんの同級生か、部活が一緒なことであることが伺えた。
「…何で?」
最もな疑問を口にすると声高々と自分の主張を彼女は伝え始める。
「赤羽くんのためにならないから。赤羽くん、あなたと出会ってから部活に参加することも減っていって…いつも話すのは、あなたや…オーケストラのことばかり。そんなの、赤羽くんのためにならないじゃない」
は…?
意味がわからなくて口を開けたまま硬直してしまう。
「あなたは知らないだろうけど、赤羽くんはイスバスの選手としてとっても期待されているの。それなのに、トロンボーンなんて、オーケストラなんて、世界を目指すなんて…出来っこない」
1749呼び出され、言われた言葉にただ私は黙ることしかできなかった。顔に見覚えはないが恐らく拓斗くんの同級生か、部活が一緒なことであることが伺えた。
「…何で?」
最もな疑問を口にすると声高々と自分の主張を彼女は伝え始める。
「赤羽くんのためにならないから。赤羽くん、あなたと出会ってから部活に参加することも減っていって…いつも話すのは、あなたや…オーケストラのことばかり。そんなの、赤羽くんのためにならないじゃない」
は…?
意味がわからなくて口を開けたまま硬直してしまう。
「あなたは知らないだろうけど、赤羽くんはイスバスの選手としてとっても期待されているの。それなのに、トロンボーンなんて、オーケストラなんて、世界を目指すなんて…出来っこない」
もしお🧂
DOODLE聞く人が聞くと洒落にならない願い。土御門くんはサングラス外すとマジに誰かわからなくなるし、謎の罪悪感に襲われることを知った。
上条くんのお願いごとのコマまで手が回らなかったの、後でこっそり継ぎ足したい。出来れば青ピくんのも入れたいけどそっちは難しそう。
ゆめさき
DOODLEジュンブライベの浮葉さんSSRのカドスト第1話をもとに浮かんだネタ。帰りが遅くなった御門浮葉。それには堂本が思いよらない理由があり……
理由「随分と遅かったな」
日曜の昼過ぎに「用事がありまして」、そう告げて外出した御門浮葉がマンションに戻ってきたのは夕食の時間をとうに過ぎた頃だった。
高校生にもなって門限だなんだ騒ぐつもりはないし、そもそも自分は彼の保護者ではなければ彼の帰宅時間をとがめられるような優秀な生活を送っているわけではない。
ただ、自分の予想を数時間単位で超えているという事実を告げたかった。それだけ。
「珍しいですね、あなたが私のことを心配するなど」
堂本の言葉は御門にとっては意外なものだったのだろう。
少し眉をひそめながらもこちらを見つめてくる。
好意的でないのは相変わらずだが、以前よりはわかりやすく嫌悪感を出してきたように思える。
1708日曜の昼過ぎに「用事がありまして」、そう告げて外出した御門浮葉がマンションに戻ってきたのは夕食の時間をとうに過ぎた頃だった。
高校生にもなって門限だなんだ騒ぐつもりはないし、そもそも自分は彼の保護者ではなければ彼の帰宅時間をとがめられるような優秀な生活を送っているわけではない。
ただ、自分の予想を数時間単位で超えているという事実を告げたかった。それだけ。
「珍しいですね、あなたが私のことを心配するなど」
堂本の言葉は御門にとっては意外なものだったのだろう。
少し眉をひそめながらもこちらを見つめてくる。
好意的でないのは相変わらずだが、以前よりはわかりやすく嫌悪感を出してきたように思える。
ゆめの
DONE2022年5月8日開催エアコレ合わせの新作です。9章やリチェルカーレのあとのお話。
グランツの練習後、御門浮葉は彼にしては珍しく衝動的な感情にかられ、横浜へ向かう。
そこで彼が目にしたもの、感じたこととは……?
イメージとしては、浮葉→→→←唯。
(両片想いだけど、浮葉さんの方がとらわれている)
カノン~東京の冬会いたい。
自分には似合わぬ感情を抱えて御門浮葉が電車に乗り込んだのは、グランツの練習を終えた後。
全体練習で合わせた「未完成」。クラリネットのソロが重要なこの曲において指摘事項がなかったわけではない。
その修正は早めに取り組んだ方がいいこともわかっている。そして、今の自分では短時間でそれに応じられることも。
しかし、グランツの整っているがゆえの演奏に物足りなさを感じてしまうのも事実。平たく言えば、つまらない。
満たされているゆえに不足しているものが何であるか探したかった。
…もっともそう口実を作っているだけで自分の本心はわかっている。
夏の太陽の日差しを思い出させるような彼女をひと目見たいのだと。
「私としたことが」
4410自分には似合わぬ感情を抱えて御門浮葉が電車に乗り込んだのは、グランツの練習を終えた後。
全体練習で合わせた「未完成」。クラリネットのソロが重要なこの曲において指摘事項がなかったわけではない。
その修正は早めに取り組んだ方がいいこともわかっている。そして、今の自分では短時間でそれに応じられることも。
しかし、グランツの整っているがゆえの演奏に物足りなさを感じてしまうのも事実。平たく言えば、つまらない。
満たされているゆえに不足しているものが何であるか探したかった。
…もっともそう口実を作っているだけで自分の本心はわかっている。
夏の太陽の日差しを思い出させるような彼女をひと目見たいのだと。
「私としたことが」
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DONE【浮葉御門×朝日奈唯】7章が終わってカッとなって書いた浮唯。
柚木様とはまた違うけど一筋縄ではいかない浮葉様…
あの後半PUガチャが無かったときの絶望感と言ったらなかったですね。
でもホーム台詞だと割といつも唯ちゃん傍に置きたがってるし、何でもやってあげたい系なので実装が楽しみです!
さしも知らじな 燃ゆる思ひを浮葉御門×朝日奈唯
お願いだから、そんな顔で私を見つめないで
何もかもを捨てて、貴女を攫ってしまいたくなるではないですか。
「おやおや、名高いスターライトオーケストラのコンサートミストレスが、こんな遅くに独りでそぞろ歩きとは感心しませんね」
ええ、知っていますよ、貴女が随分前からこの門の前に立って居た事は。
泡沫の夢を奏でるその手が、可哀想な程真っ赤になっている。
「あ、えっと……」
「すみません、意地悪な物言いでしたね……少し暖まって行きませんか、京の夜は冷えますから」
私の言葉にホッとしたような表情を浮かべる貴女は、出会った頃と少しも変わらない。
彼女を客間に通して、二人分の茶を淹れる。
火鉢の炭が赤く弾けて崩れると、彼女は湯飲みに口を付けて湯気の立つ緑茶を啜った。
2353お願いだから、そんな顔で私を見つめないで
何もかもを捨てて、貴女を攫ってしまいたくなるではないですか。
「おやおや、名高いスターライトオーケストラのコンサートミストレスが、こんな遅くに独りでそぞろ歩きとは感心しませんね」
ええ、知っていますよ、貴女が随分前からこの門の前に立って居た事は。
泡沫の夢を奏でるその手が、可哀想な程真っ赤になっている。
「あ、えっと……」
「すみません、意地悪な物言いでしたね……少し暖まって行きませんか、京の夜は冷えますから」
私の言葉にホッとしたような表情を浮かべる貴女は、出会った頃と少しも変わらない。
彼女を客間に通して、二人分の茶を淹れる。
火鉢の炭が赤く弾けて崩れると、彼女は湯飲みに口を付けて湯気の立つ緑茶を啜った。
yui_ame_o
DONE7章の京都組+朝日奈傘を忘れた朝日奈に貸してやる浮葉。
東京へ向かう新幹線の中の大我と浮葉。
弟子への想い。
地獄に降る雨「今日は、これで仕舞いといたしましょう」
やわらかな声が、けれど有無を言わさずにひとつ線を引く。
浮葉と源一郎の三人で練習や街頭演奏をするとき、たいていは彼のこの一言で終わりになった。源一郎が異を唱えるはずもなく、朝日奈ひとりがすこし物足りない顔をするのが最近のお約束となっていた。
この言葉を聞くたび、浮葉はスタオケの仲間ではないのだと思い出させられている気がして、朝日奈の胸の奥にある焦燥が鳴りを大きくするのだ。
「もう……ですか?」
「ふふ、名残を惜しむあなたはいとけなくて、私にできるすべてをしてあげたくなるようだ」
冗談とも本気ともつかない微笑みも、わずかに低められた声も、あわい甘さをまとっている。彼の庭で大輪の花を見せてもらったときに香ったあの、あるかなきかのほのかな甘さともすこし似ていた。月夜に香る寒牡丹――見たこともない光景が朝日奈の心に浮かぶ。きっと、彼のこの声と同じように静かに心の奥深くへ染みわたり、蕩けさせるのだろう。
3831やわらかな声が、けれど有無を言わさずにひとつ線を引く。
浮葉と源一郎の三人で練習や街頭演奏をするとき、たいていは彼のこの一言で終わりになった。源一郎が異を唱えるはずもなく、朝日奈ひとりがすこし物足りない顔をするのが最近のお約束となっていた。
この言葉を聞くたび、浮葉はスタオケの仲間ではないのだと思い出させられている気がして、朝日奈の胸の奥にある焦燥が鳴りを大きくするのだ。
「もう……ですか?」
「ふふ、名残を惜しむあなたはいとけなくて、私にできるすべてをしてあげたくなるようだ」
冗談とも本気ともつかない微笑みも、わずかに低められた声も、あわい甘さをまとっている。彼の庭で大輪の花を見せてもらったときに香ったあの、あるかなきかのほのかな甘さともすこし似ていた。月夜に香る寒牡丹――見たこともない光景が朝日奈の心に浮かぶ。きっと、彼のこの声と同じように静かに心の奥深くへ染みわたり、蕩けさせるのだろう。
yui_ame_o
DONE夏の京都主従2夏の用事の帰り道、源一郎を案じる浮葉。
秋の別れ。
強いひと 暑い日だった。
日中の最高気温は四十度に達する見込みだと朝のニュースで耳にしたのを思い出し、源一郎はわずかに眉をひそめて視線を上へ向けた。
遠くにそびえたつ入道雲は新雪のように輝いているのに、頭上にたたえられた空は海のように涼やかなのに、照りつける陽ざしはじりじりと肌を焦がしていく。その熱を、まとわりつく湿気が封じこめて逃さない。
浮葉から持つように言いつかった風呂敷包みの重みは、普段なら気にならないていどのものだ。けれどこの暑さのなかではしだいに煩わしくなってくる。それでも、いや、それだからこそ源一郎は大切に腕に抱えなおした。
以前は御門家と懇意にしていた家からの、返却物だった。衣純が存命の頃、なにかの催し物で使いたいといわれて器を貸したことがあったのだという。送ってもらえば良いのではないか、先方から届けてもらえば良いのではないか、と思うが、そうもいかないらしい。
4092日中の最高気温は四十度に達する見込みだと朝のニュースで耳にしたのを思い出し、源一郎はわずかに眉をひそめて視線を上へ向けた。
遠くにそびえたつ入道雲は新雪のように輝いているのに、頭上にたたえられた空は海のように涼やかなのに、照りつける陽ざしはじりじりと肌を焦がしていく。その熱を、まとわりつく湿気が封じこめて逃さない。
浮葉から持つように言いつかった風呂敷包みの重みは、普段なら気にならないていどのものだ。けれどこの暑さのなかではしだいに煩わしくなってくる。それでも、いや、それだからこそ源一郎は大切に腕に抱えなおした。
以前は御門家と懇意にしていた家からの、返却物だった。衣純が存命の頃、なにかの催し物で使いたいといわれて器を貸したことがあったのだという。送ってもらえば良いのではないか、先方から届けてもらえば良いのではないか、と思うが、そうもいかないらしい。
yui_ame_o
DONE7章の途中朝日奈が、浮葉や源一郎と練習をするようになった頃の風景
憧憬 強い風が吹いた。
ひときわつめたいその手に引かれた朝日奈の指が強張り、あいまから音がばらばらとこぼれ落ちてゆく。
やわらかく響いていたクラリネットの音が枝にとまる鳥の翼のようにゆったりと広がってから収束し、それにつき従うオーボエがさえずりを止めた。
浮葉と源一郎の視線がこちらを向く。視線を向けるときでさえ、源一郎は浮葉の後に従うことを是としているようだった。
「すこし、休憩にいたしましょう」
「すみません……」
「どうかお気になさらず。私も指が冷えてまいりました。良い頃合いでしょう」
すべてを赦すような静かな微笑みとともに浮葉は、たおやかに指を朝日奈へ伸ばす。
「どうも、あなたは紅葉に好かれるようですね」
945ひときわつめたいその手に引かれた朝日奈の指が強張り、あいまから音がばらばらとこぼれ落ちてゆく。
やわらかく響いていたクラリネットの音が枝にとまる鳥の翼のようにゆったりと広がってから収束し、それにつき従うオーボエがさえずりを止めた。
浮葉と源一郎の視線がこちらを向く。視線を向けるときでさえ、源一郎は浮葉の後に従うことを是としているようだった。
「すこし、休憩にいたしましょう」
「すみません……」
「どうかお気になさらず。私も指が冷えてまいりました。良い頃合いでしょう」
すべてを赦すような静かな微笑みとともに浮葉は、たおやかに指を朝日奈へ伸ばす。
「どうも、あなたは紅葉に好かれるようですね」
yui_ame_o
DONE夏の京都主従(7章と同じ年の夏)
そよ風の手に奏でられ、風鈴が澄んだ音をちいさく鳴らす。
広間にひとつだけ出された卓袱台の上、硝子鉢のなかの氷が軽やかな音で呼応した。
視線をやると、上座の浮葉が素麺を取るところだった。漆塗りの箸を操る指先はあいかわらず舞の一部のように優雅だ。
御門家に世話になるようになってから数えきれないほど幾度も目にしてきたが、今でも時おり、源一郎は彼の所作に見惚れることがある。日常からよろずうつくしく整えるよう細かく気を配ることが、演奏の際のあのうつくしい一音、一音に繋がっているのではないか。そんな思いをひそかに抱き、憧れながら。
食事時に一番ちいさな卓袱台ひとつきりを使うようになったのはいつ頃からだっただろう。
3218広間にひとつだけ出された卓袱台の上、硝子鉢のなかの氷が軽やかな音で呼応した。
視線をやると、上座の浮葉が素麺を取るところだった。漆塗りの箸を操る指先はあいかわらず舞の一部のように優雅だ。
御門家に世話になるようになってから数えきれないほど幾度も目にしてきたが、今でも時おり、源一郎は彼の所作に見惚れることがある。日常からよろずうつくしく整えるよう細かく気を配ることが、演奏の際のあのうつくしい一音、一音に繋がっているのではないか。そんな思いをひそかに抱き、憧れながら。
食事時に一番ちいさな卓袱台ひとつきりを使うようになったのはいつ頃からだっただろう。