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    朝日

    小夜の倉庫

    PASTスタオケの成宮智治×朝日奈唯です。
    付き合ってる&やきもちを焼く唯ちゃんです。
    2021年12月19日に発行した本からの再録になります。(BOOTHにてまだ頒布しています)
    web再録にあたり、加筆修正しました。
    恋のスパイス【成唯】 土曜日の練習場所の確保は、なかなか大変だ。星奏学院内の練習室は、休日であっても土曜日だけは生徒向けに開放してくれている。でも、ただでさえ混み合う上に音楽科の生徒たちに枠はすぐに押さえられてしまうから普通科の私にはとてつもなく不利だ。菩提樹寮の最上階の塔も防音の練習室にはなっているけれど、寮生にも使いたい人がたくさんいるからそこもなかなかの激戦区なのだ。
     だから、そんな土曜日に学院の練習室を奇跡的に確保できた時、私は大きくガッツポーズをしてしまった。土曜日にわざわざ学院まで行かなくちゃならないけれど、せっかくの機会なのだから贅沢を言っていられない。
     練習室の予約時刻は午後2時からなので、昼食を食べてから向かおうと私は決めた。購買や学食のない休日の寮生の昼食は、人それぞれだ。共同のキッチンを借りて自炊して作ったり、コンビニや近くのお店のテイクアウトで買ってきたりする人が多い。私は、今日は外でランチをすることにした。もちろん行き先は、私の彼氏の成宮くんがバイトをしているカフェ。お茶をしに行ったときに食べたスイーツが絶品で、それをきっかけに、私はそこがとてもお気に入りのお店になってしまった。成宮くんが、スイーツだけじゃなくてランチメニューのパスタやピザもおいしいと教えてくれたから、いつかぜひ食べてみたいとずっとチャンスを狙っていた。
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    kmchi78

    INFO2023/3/25 pictSQUARE内で開催される旭郁webオンリー『朝日のあわいに幾夜を想う2』に参加します
    スペース:え5

    「おやすみの前にいいたいこと」
    A5正方形/28P/580円(BOOTH頒布価格)

    初夜を大成功させた二人が、二度目をどう誘うかでそれぞれ悩む話
    ※全年齢/直接的な表現はありません

    BOOTH匿名配送を利用します。商品ページは当日スペースでご確認ください
    【3/25 朝日のあわいに幾夜を想う2】旭郁新刊サンプル どうしてこんなことで悩まないといけないんだろう。 
     せっかく好きな人と両想いになれたのに。心だけじゃなくて体も通じ合えたのに。
     頭の片隅をよぎる初めての夜のことを打ち消すように、ハァァとわざとらしく大きなため息をついてみる。
     自室だし、ひとりだし、別にいいんだけど。どうしてもだらしなくポーっとした表情を浮かべてしまう自分が嫌でブンブンと大きく頭を振ったところでもう遅かった。だって、すごくうれしくて幸せだったから。ここに至るまでの苦労とか、ギリギリのところで我慢し続けた日々とか、いろんなことを思い出して感極まって繋がってからはほとんどずっと泣いてた気がする。
    『わかったから、もう泣くなって』
     最初で最後じゃないんだから、と言いながらやさしく目元を親指で拭ってくれた旭の瞳は潤んでなかったけど、同じ気持ちでいてくれることが表情だけじゃなくて体中から伝わってきて、さらに涙があふれてきてしまった。
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