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    P/N利き小説企画

    INFOPN利き小説 エントリー作品⑧
    ※番号は抽選で決定しました
    作者当て投票はこちら→https://forms.gle/1W1UKnT7DGdmYA4D9
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    PN利き小説 エントリー作品⑧「二時間だけのバカンス」 ふたりはまた喧嘩をした。
     彼らが一般に喧嘩と呼ばれる状況に陥ることは珍しい。逆行した先の別の時間軸のことはさておき、ふたりが現在と呼ぶ時点において彼もニールも十分大人であり、また言い争いを通してじゃれ合うような性分をお互いに持っていないからだ。
     必要であれば武器を手に戦う彼らは、だからこそ日常における問題は言語コミュニケーションを用いて解決することを良しとしている。共にいられる時間に限りがあるとわかっているため、多少のすれ違いや意見の相違があってもできるだけ速やかに話し合い、相手の考えを聞き、受け入れ、自分の主張を変える準備がある。例えばベッドに引きずり込んでしまうこととか、唇で唇を塞いでしまうこともコミュニケーションの手段ではあるし、ときにはそういった武器とは異なる意味での暴力的な方法を用いることがマナーになることも理解しているが、ふたりは敢えて言葉を介すことで、お互いの気持ちを定性的に把握したいと思っていた。
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    P/N利き小説企画

    INFOPN利き小説 エントリー作品②
    ※番号は抽選で決定しました
    作者当て投票はこちら→https://forms.gle/1W1UKnT7DGdmYA4D9
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    PN利き小説 エントリー作品②「二本指のサイン」観客席の中で、唯一人だけが知っていた。
    あの二本立てた指が、ただのVサインではない事を。


    青々と芝生が敷き詰められたフィールドをスパイクが踏み締め、ヘルメットを被った選手達が陣形を組む。
    ハイスクール・フットボールの州大会。そのトーナメント戦がスタジアムで行われていた。現在フィールド上に出ている両校の実力はほぼ互角である。後半戦に突入し、得点も拮抗していた。お互いの高校の生徒やサポーター達が、観客席で固唾を飲んで見守っている。
    「セット、ハット!」
    オフェンスの選手の掛け声を起に、攻撃陣が動き出す。クォーターバックからランニングバックの選手ーージョンにボールが回った。
    相手校の守備を前線のオフェンスの選手が激突する様に食い止め、その隙間を縫うように相手陣地を走り抜ける。そのまま一直線にエンドゾーンを目指すジョンに、後方に控えていたディフェンスバックが迫り来る。そのタックルを既の所で身を翻し素早く躱すと、ジョンのシューズがゴールポスト前の敵陣を踏み締めた。
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