ちせ
あ や 🍜
DONEちせはるちせ/風邪を引いた晴臣くん。「臨時休業の張り紙しておくね」
「……ああ。ありがとう」
礼を告げた晴臣のくちびるから、間髪入れずに乾いた咳が零れ落ちる。喉の奥から気管支をたどり、肺の方へ向かってヒリヒリとした違和感が張り付いていた。……これは本格的にまずそうだと他人事のように思う。
昔から、ちょっとしたキッカケで風邪を引くと良くない拗らせ方をするのだ。高熱を出して二、三日寝込むことさえある。
今も微熱を伴う倦怠感が全身に纏わりつき、身体を起こしていることも正直億劫になってきている。仕込みを出来ないこの状況では、しばらくは雷麺亭を開けることも難しいだろう。
ほとんど落下するようにソファに腰掛けた晴臣は、ぐらつく視界に重たい瞼で蓋をする。たったそれだけのことだが、具合の悪さは幾分もマシになったような気がした。それほど、視覚から得られる情報をうまく処理することが出来なくなっているらしかった。リビングを煌々と照らすLEDの光がこんなにも憎い。
1755「……ああ。ありがとう」
礼を告げた晴臣のくちびるから、間髪入れずに乾いた咳が零れ落ちる。喉の奥から気管支をたどり、肺の方へ向かってヒリヒリとした違和感が張り付いていた。……これは本格的にまずそうだと他人事のように思う。
昔から、ちょっとしたキッカケで風邪を引くと良くない拗らせ方をするのだ。高熱を出して二、三日寝込むことさえある。
今も微熱を伴う倦怠感が全身に纏わりつき、身体を起こしていることも正直億劫になってきている。仕込みを出来ないこの状況では、しばらくは雷麺亭を開けることも難しいだろう。
ほとんど落下するようにソファに腰掛けた晴臣は、ぐらつく視界に重たい瞼で蓋をする。たったそれだけのことだが、具合の悪さは幾分もマシになったような気がした。それほど、視覚から得られる情報をうまく処理することが出来なくなっているらしかった。リビングを煌々と照らすLEDの光がこんなにも憎い。
朝月@おえかき
SPOILERチセト・ドゥーム「たださみ」の約7割がわかるキャラシート
物語でいうと起承転結の転の初めの方までのネタバレです。
ネタバレしかないので注意⚠️
完結までの道のりが長い本編読むのは大変なので、
これだけ読めば何となく起と承の部分がわかるかも。
世界観や用語はpixivで全部開示してるのを見ていただければわかりやすいかなと思います。
あ や 🍜
DONEちせはるちせ/晴臣くん、28歳の誕生日星の夜をかぞえる 夏の残香が色濃く滲む夜だった。
ベランダの柵に頬杖をついて、煙草の煙をふわりと吐き出した晴臣はひとり静かに星の海を眺めている。――否、途方もないような探し物をしているのだ。
――ほら、見て
記憶の中の智生は秋の夜空を指さしながら隣の晴臣へ笑顔を向けた。
――あれにしようぜ
――……?
――どこ見てんの?
カラカラと笑い声を上げながら、彼は掬い上げるように晴臣の顔を覗き込む。睫毛が触れ合いそうな距離で視線が交わり、彼の美しいアメジストの中に晴臣は自身の姿をみとめた。……はっとして思わず息をのむ。
それを悟られないようにむうとくちびるを引き締めたまま視線をそらし、晴臣は彼の指先を辿るのだった。返すべき言葉も、彼の指し示す『あれ』も、見つけられていないから。――けれど、晴臣が答えを得る前に隣にいたはずの智生の姿は無慈悲にもぱちりと霧散する。
4457ベランダの柵に頬杖をついて、煙草の煙をふわりと吐き出した晴臣はひとり静かに星の海を眺めている。――否、途方もないような探し物をしているのだ。
――ほら、見て
記憶の中の智生は秋の夜空を指さしながら隣の晴臣へ笑顔を向けた。
――あれにしようぜ
――……?
――どこ見てんの?
カラカラと笑い声を上げながら、彼は掬い上げるように晴臣の顔を覗き込む。睫毛が触れ合いそうな距離で視線が交わり、彼の美しいアメジストの中に晴臣は自身の姿をみとめた。……はっとして思わず息をのむ。
それを悟られないようにむうとくちびるを引き締めたまま視線をそらし、晴臣は彼の指先を辿るのだった。返すべき言葉も、彼の指し示す『あれ』も、見つけられていないから。――けれど、晴臣が答えを得る前に隣にいたはずの智生の姿は無慈悲にもぱちりと霧散する。
権左衛門
DONEはみちんホくんの炎ホ🔥🦅ちせこさん→えりさん→権左衛門
で同じ題材伝言ゲームみたいに遊びました
ちせこさん(@chiseko_hrak)の小説(https://poipiku.com/473158/7409770.html)
↓
えりさん(@sosakuyoEri)の漫画
(https://poipiku.com/2071984/7409813.html)
↓
権左衛門の小説 6
あ や 🍜
DONEちせはる/BOOST用に書き下ろしたものの再録です。診断メーカー結果『晴れやかに鼻梁に愛玩のキスをされるところを書く』より。 今でも『あの日』を夢に見る。
抵抗する術もなく、温度を失った水の中を真っ逆さまにずぶずぶと沈んでいくような感覚を覚えた。何度味わっても絶対に慣れることはないし、慣れたいとも思わない。千切れた意識をかき集めながら、晴臣は、悪夢から覚める方法を探し続けている。――ここまで重たいトラップ反応は久々だった。父親の死と、相棒の死。心臓に絡み付くふたつの『トラウマ』を、しかしどちらも手放すことなんて出来ないのだ。
吐いた息はごぽごぽと音を立てながら、水の中をゆっくりと浮上していった。
「(……お前も、俺を置いていくのか)」
無意識に腕を伸ばす。けれど、水を掻く指先は何も捕まえることが出来ない。
――痛くて、寂しくて、苦しくて、哀しい。悲鳴を上げそうになるくちびるを噛み締める。
1286抵抗する術もなく、温度を失った水の中を真っ逆さまにずぶずぶと沈んでいくような感覚を覚えた。何度味わっても絶対に慣れることはないし、慣れたいとも思わない。千切れた意識をかき集めながら、晴臣は、悪夢から覚める方法を探し続けている。――ここまで重たいトラップ反応は久々だった。父親の死と、相棒の死。心臓に絡み付くふたつの『トラウマ』を、しかしどちらも手放すことなんて出来ないのだ。
吐いた息はごぽごぽと音を立てながら、水の中をゆっくりと浮上していった。
「(……お前も、俺を置いていくのか)」
無意識に腕を伸ばす。けれど、水を掻く指先は何も捕まえることが出来ない。
――痛くて、寂しくて、苦しくて、哀しい。悲鳴を上げそうになるくちびるを噛み締める。
あ や 🍜
DONEちせはる/ライブ終わり。 閉じた瞼の内側に眩いほどの光と音が鮮明に映し出される。何千ものヘッズたち――その一人ひとりと、あの瞬間たしかに繋がっていたのだ。他でもない武雷管の音楽を通して。
ライブの余韻を引き摺ったまま楽屋まで戻ってきた晴臣は、全身を纏う武装を解くように衣装をひとつずつ外していく。熱狂と興奮に『浮かされた』身体を正しく現実に引き戻す行為だ。
ファントメタルを含む装飾品と、トップスとインナーもすべて脱ぎ終えた。そうして剥き出しになった皮膚を、常時よりも低く設定された冷房の風がそろりとなぞる。ライブ終わりの火照った身体に気を遣われているらしい。物理的にも身体の熱が冷めていく感覚がある。
首を動かし辺りを見渡した晴臣は、ふと今更なことに思い至った。……着替えを入れた鞄は何処へやったか。脱ぎ始める前に手元に置いておくべきだったとちいさな後悔を抱えながら、視線を右へ左へと動かしていく。――と、同時に。
1456ライブの余韻を引き摺ったまま楽屋まで戻ってきた晴臣は、全身を纏う武装を解くように衣装をひとつずつ外していく。熱狂と興奮に『浮かされた』身体を正しく現実に引き戻す行為だ。
ファントメタルを含む装飾品と、トップスとインナーもすべて脱ぎ終えた。そうして剥き出しになった皮膚を、常時よりも低く設定された冷房の風がそろりとなぞる。ライブ終わりの火照った身体に気を遣われているらしい。物理的にも身体の熱が冷めていく感覚がある。
首を動かし辺りを見渡した晴臣は、ふと今更なことに思い至った。……着替えを入れた鞄は何処へやったか。脱ぎ始める前に手元に置いておくべきだったとちいさな後悔を抱えながら、視線を右へ左へと動かしていく。――と、同時に。
eq3houses
DONEハーレムの主で10代で子供がいて数多の女も小姓も抱きまくった苛烈で豪勇、そのうえ性豪な若きスルタンが陛下との初めてで
挿入前に早撃ちしてしまい滝汗赤面涙目しどろもどろに…
そんな動揺しまくってるメフメトを見て陛下も
可愛い年下の男の姿にキュンキュンきてよちよちセックスしちゃうよね。
メフコンはショタおね、はっきりわかんだね。
274_tns
DONEノンケ×ゲイのしーちょんで香水ネタこちらの二人のです。
ノンケ×ゲイの曦と澄 https://poipiku.com/3669643/6565054.html
⚠注意⚠
現代AU
えちえちセンシティブはないけど事後
お口に合う方だけどうぞ 6
あ や 🍜
DONEはるちせ(はる?)/2022 智生BD/ふたりとも煙草を吸っています。幸福な日々の過ごし方 珍しく、気温の上がらない一日だった。
冷えた窓ガラスを通り越して、晴臣は、ベランダに立つ片割れの姿を見た。春と夏の合間の夜空は分厚い雲に覆われ、月も星もすっかり姿を隠してしまっている。――否、昨晩の、猫の瞳を思わせるような月の形から考えるに、今晩はどちらにせよ月が見えるはずはなさそうだけれど。
智生の背から視線を外し、部屋の中に置かれたデジタル時計に、そっと目を向ける。無機質な数字たちは、あと数分で日付が変わることを静かに知らせていた。それが意味するところを真正面に考えながら、けれど、あえて意識していないふうを装って、思考の大部分を頭の隅の方へと追いやった。それからすぐに、彼の背へと視線を戻す。
1830冷えた窓ガラスを通り越して、晴臣は、ベランダに立つ片割れの姿を見た。春と夏の合間の夜空は分厚い雲に覆われ、月も星もすっかり姿を隠してしまっている。――否、昨晩の、猫の瞳を思わせるような月の形から考えるに、今晩はどちらにせよ月が見えるはずはなさそうだけれど。
智生の背から視線を外し、部屋の中に置かれたデジタル時計に、そっと目を向ける。無機質な数字たちは、あと数分で日付が変わることを静かに知らせていた。それが意味するところを真正面に考えながら、けれど、あえて意識していないふうを装って、思考の大部分を頭の隅の方へと追いやった。それからすぐに、彼の背へと視線を戻す。
あ や 🍜
DONEはるちせ/互いに向かう矢印のバランスの悪さにときめいちゃうよね/甘々なフリをしている話です/あらゆる『可能性』を拡大解釈した産物なので、たくさんのひとの地雷を踏み抜く気がします。閲覧は自己責任で!→再録本に入れるにあたって非公開にしました。 4972あ や 🍜
DONEはるちせ/診断メーカーより『顔を隠す』/20220510『顔を隠す』 新作フラペチーノを片手に退屈そうな表情を浮かべる辰宮晴臣は、同性の俺から見ても整った顔立ちをしていると思う。
カウンターに頬杖を突いて、そんな彼は何をするでもなくぼんやりと店内の様子を眺めている。
「……それ、甘くないの?」
思わず、頭に浮かんだ疑問をそのまま口に出してしまった。俺の言葉に誘われるように視線をこちらへ向けた晴臣は、何を勘違いしたのか、「飲むか?」とプラスチック製のカップを差し出してくる。……うーん、別に、味が気になったわけじゃないんだけど。
けれど、せっかくの好意を無碍にするのも気が引けたので、素直に頷いた俺は晴臣の方へ顔を寄せてストローに口を付けた。
新作って、そもそも何だったっけ?
1595カウンターに頬杖を突いて、そんな彼は何をするでもなくぼんやりと店内の様子を眺めている。
「……それ、甘くないの?」
思わず、頭に浮かんだ疑問をそのまま口に出してしまった。俺の言葉に誘われるように視線をこちらへ向けた晴臣は、何を勘違いしたのか、「飲むか?」とプラスチック製のカップを差し出してくる。……うーん、別に、味が気になったわけじゃないんだけど。
けれど、せっかくの好意を無碍にするのも気が引けたので、素直に頷いた俺は晴臣の方へ顔を寄せてストローに口を付けた。
新作って、そもそも何だったっけ?
tari_doll
DONEBiSH様の曲「サラバかな」を理人とチセで解釈して描きました!曲と一緒に楽しんで頂けたら幸いです!注意:過去捏造を含みます。腐要素はありませんが製造元は理チが好きです。
真ん中バースデーおめでとう!!💜💛💜 26
あ や 🍜
DONEはるちせはる/お題箱にいただいた『香水を相手に付ける』ふたり/いただいたお題が天才なので、是非見てください……。▷ https://twitter.com/hrlayvv/status/1518136919133401088?s=21&t=GTvbxCp6nif78BHQkqKqDg鼻腔をくすぐる残香について アウターのポケットに入れてあるキーケースを取り出して、智生は目前の扉の鍵を開けた。
あまり意識したことはないけれど、用事が済んだあとに帰る先は、自名義で借りているフラットよりこの場所を選ぶ頻度の方が多いような気はしているのだ。昔は飼い主を待つ忠犬ぶって、家主である相棒の帰りを律儀に扉の前で待っていたりもしたけれど、見かねた相棒が呆れた風を滲ませながら部屋の合鍵を渡してくれたので、こうして堂々と家主不在の部屋を堪能することが出来るようになった。
つくづく、甘い男だな、と思う。本人にその自覚が一欠片も存在しないところも含めて。
脱いだスニーカーは、彼のブーツの横に並べて置く。玄関から部屋の奥へ繋がる廊下を歩きながらアウターも脱いで、そのままリビングへ向かった。
2611あまり意識したことはないけれど、用事が済んだあとに帰る先は、自名義で借りているフラットよりこの場所を選ぶ頻度の方が多いような気はしているのだ。昔は飼い主を待つ忠犬ぶって、家主である相棒の帰りを律儀に扉の前で待っていたりもしたけれど、見かねた相棒が呆れた風を滲ませながら部屋の合鍵を渡してくれたので、こうして堂々と家主不在の部屋を堪能することが出来るようになった。
つくづく、甘い男だな、と思う。本人にその自覚が一欠片も存在しないところも含めて。
脱いだスニーカーは、彼のブーツの横に並べて置く。玄関から部屋の奥へ繋がる廊下を歩きながらアウターも脱いで、そのままリビングへ向かった。
あ や 🍜
DONEちせはるちせ/1月の本の再掲/わたしの書くかわいい寄りのふたりの話も、最終的にすべてここに繋がっている心持ちで書いています・・・地獄でも手は繋げる 閉店後の雷麺亭には、水の流れる音だけが静かに響いていた。
最後の客が残した餃子を捨ててから生ゴミ用の袋の口をきつく縛る。残りの後片付けと明日の仕込みと。今からするべきことを頭の中にぼんやりと思い浮かべながら、晴臣はひとり静かにいつものルーティンを辿っていた。
「……」
振り返った先、視界の中でにこにこと人好きのする笑みを浮かべた男に晴臣はちいさく息を吐く。十年前と変わらぬ姿で立つ『相棒』は、幼い子どもがするようにひらひらと嬉しそうに右手を振った。
「……飯でも食いに来たのか」
呆れを滲ませ、晴臣は静かにそう言葉を落とした。もちろん、そんなわけないとはわかっているけれど。否、きっと彼の行動に明確な理由なんて端から存在しないのだ。それが自身の作り出した『幻影』であるなら、尚更。――すくなくとも、晴臣は九頭竜智生をそういう男だと認識していた。
920最後の客が残した餃子を捨ててから生ゴミ用の袋の口をきつく縛る。残りの後片付けと明日の仕込みと。今からするべきことを頭の中にぼんやりと思い浮かべながら、晴臣はひとり静かにいつものルーティンを辿っていた。
「……」
振り返った先、視界の中でにこにこと人好きのする笑みを浮かべた男に晴臣はちいさく息を吐く。十年前と変わらぬ姿で立つ『相棒』は、幼い子どもがするようにひらひらと嬉しそうに右手を振った。
「……飯でも食いに来たのか」
呆れを滲ませ、晴臣は静かにそう言葉を落とした。もちろん、そんなわけないとはわかっているけれど。否、きっと彼の行動に明確な理由なんて端から存在しないのだ。それが自身の作り出した『幻影』であるなら、尚更。――すくなくとも、晴臣は九頭竜智生をそういう男だと認識していた。
あ や 🍜
DONEはるちせ/お題箱にいただいた『嫉妬する晴臣くん』を元に書きました。智生くんが仔猫を拾うお話/わたしの力不足でだいぶ別人になってしまったので、薄目で見ていただけると嬉しいです。ウィズ・ザ・キトゥン・イン・ビットウィン みゃあ、と。
聞き馴染みのない鳴き声が微かに鼓膜を震わせた。数日ぶりに『相棒』の部屋へと向かっていた九頭竜智生は、引き寄せられるように音のした方へと視線を落とす。
最初に視界に映ったのは、湿気を吸ってすっかりふやけた段ボール箱だった。側面には掠れた文字で『拾ってください』と書かれている。
立ち止まり、視線を合わせるように智生はその場にしゃがみ込んだ。
じいっと、零れ落ちそうなふたつの大きな黒い瞳が、段ボール箱の中からまっすぐに智生を見つめている。
――みゃあ。ふたたび、何かを訴えるような声色の鳴き声が響いた。
膝の上に頬杖を突いた智生は、ギュッとくちびるを噛んで何かを考える素振りを見せてから、首を傾けてちいさく言葉を落とす。
2963聞き馴染みのない鳴き声が微かに鼓膜を震わせた。数日ぶりに『相棒』の部屋へと向かっていた九頭竜智生は、引き寄せられるように音のした方へと視線を落とす。
最初に視界に映ったのは、湿気を吸ってすっかりふやけた段ボール箱だった。側面には掠れた文字で『拾ってください』と書かれている。
立ち止まり、視線を合わせるように智生はその場にしゃがみ込んだ。
じいっと、零れ落ちそうなふたつの大きな黒い瞳が、段ボール箱の中からまっすぐに智生を見つめている。
――みゃあ。ふたたび、何かを訴えるような声色の鳴き声が響いた。
膝の上に頬杖を突いた智生は、ギュッとくちびるを噛んで何かを考える素振りを見せてから、首を傾けてちいさく言葉を落とす。
あ や 🍜
DONEはるちせ/タイトルそのまんまのふたりです。パピコをふたりで食べる 蝉の鳴く声が鼓膜を忙しなく震わせる。
半袖のTシャツに薄手のスウェットパンツと、彼にしては珍しいラフな格好をしているけれど、容赦無く照り付ける真夏の太陽に焦がされ、隣を歩く晴臣の表情には先程からわかりやすい不快感が滲み出ていた。長い前髪を鬱陶しそうに払い除け、不機嫌さを隠そうともしない。
そんな晴臣の様子を眺めながら、智生はくつりと喉の奥に笑いを零した。出会ったばかりの頃は今以上に無表情だった彼が、こうして素直に感情を表に出している様子を見るのは、何となく気分が良い。なかなか心を開かない大型犬を手懐けたような優越感があるのだ。
「……なに」
智生の視線に気付いたらしい晴臣が、眉間のシワを一層濃くしてこちらへ顔を向ける。そのまま彼のふたつのはちみつ色が訝しむようにすうっと細められた。「また下らないことを企んでいるだろう」と、そういう彼の胸中が夏の空気を介して伝わってくるようだ。
2107半袖のTシャツに薄手のスウェットパンツと、彼にしては珍しいラフな格好をしているけれど、容赦無く照り付ける真夏の太陽に焦がされ、隣を歩く晴臣の表情には先程からわかりやすい不快感が滲み出ていた。長い前髪を鬱陶しそうに払い除け、不機嫌さを隠そうともしない。
そんな晴臣の様子を眺めながら、智生はくつりと喉の奥に笑いを零した。出会ったばかりの頃は今以上に無表情だった彼が、こうして素直に感情を表に出している様子を見るのは、何となく気分が良い。なかなか心を開かない大型犬を手懐けたような優越感があるのだ。
「……なに」
智生の視線に気付いたらしい晴臣が、眉間のシワを一層濃くしてこちらへ顔を向ける。そのまま彼のふたつのはちみつ色が訝しむようにすうっと細められた。「また下らないことを企んでいるだろう」と、そういう彼の胸中が夏の空気を介して伝わってくるようだ。
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DOODLE裏に投げてたらくがき1〜2月分☪️なんでもいい人向け⬇️内訳⬇️
野菜と神代×3、距離の近い司類、バレンタインガチャでダブったひとたちをツインテにしたやつ、ぷちセカここすき、寝相の悪い攻めはかわいい(くにちょぎと司類) 7
あ や 🍜
DONEちせはる/麦茶セッ*スのつもりだったけどどんどんズレていった残骸/頭空っぽにして読む付き合ってないふたりです。真夏を満たす 智生と晴臣は、ほとんど同時に熱い息と白濁を吐き出した。肩を上下させながら顔を下げた智生は、晴臣のくちびるに自身のものを静かに重ね合わせる。ちゅ、と音を立てて、触れるだけの口付けを甘く味わうのだ。
熱に浮かされ、じんわりと汗ばむ互いの身体が、ぴたりとくっついたまま離れないでいる。
特有の人工的なかたい冷風が互いに得意ではないからと、真夏日の今日ですら冷房のスイッチは切ったままだった。おかげで窓を全開にしているにも関わらず部屋の中はサウナのような暑さである。
「……重い、退け」
「えー……」
つい数分前まで欲に塗れた行為に没頭していたはずの『相棒』は、冷たくそう一蹴した。――つれねえの。もうすこしくらいこうしてたってバチは当たらないだろうに。
1696熱に浮かされ、じんわりと汗ばむ互いの身体が、ぴたりとくっついたまま離れないでいる。
特有の人工的なかたい冷風が互いに得意ではないからと、真夏日の今日ですら冷房のスイッチは切ったままだった。おかげで窓を全開にしているにも関わらず部屋の中はサウナのような暑さである。
「……重い、退け」
「えー……」
つい数分前まで欲に塗れた行為に没頭していたはずの『相棒』は、冷たくそう一蹴した。――つれねえの。もうすこしくらいこうしてたってバチは当たらないだろうに。
あ や 🍜
DONE学パロ/ワードパレット『マタル(雨/滴る・曇天・水溜まり)』/ちせはる……?うなぞこに夏 唐突に降り出した雨は、息をつく間もなく足早に過ぎ去っていく。
真夏の夕立だ。すぐにやむとわかっていたから、こうして校舎の中で時間を潰している。
橙と紺を混ぜたような夕焼けが、どんよりと重たい曇天の奥に広がっている。その様子を見とめ、背を預けていた壁から晴臣はゆっくりと身体を離した。しばらくの間はきっと雨も降らないだろう。内履きから革靴に履き替え、ほとんど何も入っていない鞄を背負い直すと、静かに昇降口をあとにする。
半袖から伸びる晴臣の腕を、湿り気を帯びた空気がぬるりと撫でる。その不快感に、晴臣の眉間には濃いシワが刻まれた。暑い、し、ベタつく。ほとんど無意識に、はあ、と重たい息を吐いていた。これだから夏は好きになれないのだ。
1609真夏の夕立だ。すぐにやむとわかっていたから、こうして校舎の中で時間を潰している。
橙と紺を混ぜたような夕焼けが、どんよりと重たい曇天の奥に広がっている。その様子を見とめ、背を預けていた壁から晴臣はゆっくりと身体を離した。しばらくの間はきっと雨も降らないだろう。内履きから革靴に履き替え、ほとんど何も入っていない鞄を背負い直すと、静かに昇降口をあとにする。
半袖から伸びる晴臣の腕を、湿り気を帯びた空気がぬるりと撫でる。その不快感に、晴臣の眉間には濃いシワが刻まれた。暑い、し、ベタつく。ほとんど無意識に、はあ、と重たい息を吐いていた。これだから夏は好きになれないのだ。
ぽぎEN
DONE🧡💜納豆食べてる💜えっちやなと思って🧡💜おせっせのきっかけにしたかったんですけど
ページ数だけはできた割にぜ〜んぜんえっちせんくてびっくりしました めっちゃ健全ですウケる
文書くの初めてで文才ゴミカスです 衝動だけでかいてて後半失速してますが気力があったらちゃんと書き直したい
飯とセックスはいいぞ 7
あ や 🍜
DONEバレンタインのはるとちせよれよれおぢさんとチョコレート 辰宮晴臣が営む中華料理屋『雷麺亭』は、今日も普段と変わらぬ繁盛ぶりだった。店の中で食事をしている客は、女子高校生の二人組とサラリーマンが一人。昼時のピークは過ぎたけれど、夕方の仕込みのために一旦店を閉める十四時まで、客足が途絶える気配はない。だから、晴臣にとっての『今日』は、昨日や明日と変わらない『しがない平日の一幕』に過ぎなかったのだ。――たった今、この瞬間までは。
よれよれおぢさんとチョコレート
「あの、」
洗い物をしていた手を止め、反射的に晴臣は顔を上げる。カウンター越しに、こちらを見つめる大きなふたつの瞳と目が合った。テーブル席でラーメンを食べていたはずの女子高校生二人組、の片割れ。晴臣が顔を上げた途端、長い睫毛を震わせながら、彼女はうろうろと視線を彷徨わせた。
3566よれよれおぢさんとチョコレート
「あの、」
洗い物をしていた手を止め、反射的に晴臣は顔を上げる。カウンター越しに、こちらを見つめる大きなふたつの瞳と目が合った。テーブル席でラーメンを食べていたはずの女子高校生二人組、の片割れ。晴臣が顔を上げた途端、長い睫毛を震わせながら、彼女はうろうろと視線を彷徨わせた。
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DONE(はるちせ)キスもセッ*スもするし、互い以外の相手を選ぶ気なんて微塵も無いけど、それが恋とは思っていないふたりがすき。その世界は恋を知らない ぽかぽかとあたたかい、春のまどろみに似た夢を見ていた。
部屋中に散らばる意識を手繰り寄せるように、ぴったりふたつ、ぱちりぱちりとまばたきを落とす。めずらしく、昼の手前のような時分まで休日を謳歌する子どもみたいにぐっすりと眠りこけていたらしい。
くあ、と大きな欠伸を零してから、当然そこにあるはずの温もりを求めて、白いシーツのキャンパスに俺はくるりと円を描く。けれどそういう俺の甘い期待とは裏腹に、哀れな左腕はすっかり熱を失ったリネン生地の感触を虚しく拾い上げただけだった。――顔を動かして、視線を隣へ向ける。
「……はるおみ……?」
ぽつり。ひとりごちた言葉は、まだ何処か夢うつつな風を滲ませている。そこでようやく、一緒に眠りについたはずの彼はとっくに夢から目を覚まし、俺を置いて、ふたりきりのベッドから抜け出していたことに気が付いた。……飼い主に捨てられた仔犬って、こんな気分なのかな。寝起きのぐずぐずした頭でそういうくだらないことを考えながら、俺はちいさくため息を吐く。
3149部屋中に散らばる意識を手繰り寄せるように、ぴったりふたつ、ぱちりぱちりとまばたきを落とす。めずらしく、昼の手前のような時分まで休日を謳歌する子どもみたいにぐっすりと眠りこけていたらしい。
くあ、と大きな欠伸を零してから、当然そこにあるはずの温もりを求めて、白いシーツのキャンパスに俺はくるりと円を描く。けれどそういう俺の甘い期待とは裏腹に、哀れな左腕はすっかり熱を失ったリネン生地の感触を虚しく拾い上げただけだった。――顔を動かして、視線を隣へ向ける。
「……はるおみ……?」
ぽつり。ひとりごちた言葉は、まだ何処か夢うつつな風を滲ませている。そこでようやく、一緒に眠りについたはずの彼はとっくに夢から目を覚まし、俺を置いて、ふたりきりのベッドから抜け出していたことに気が付いた。……飼い主に捨てられた仔犬って、こんな気分なのかな。寝起きのぐずぐずした頭でそういうくだらないことを考えながら、俺はちいさくため息を吐く。