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    ルヴァン

    gtcgms

    DONEゴーティエ家。兄上が家を去る前日のシルヴァンと辺境伯のはなし。無双ネタバレあります
    もつもた展示作品
    決別 一節に数回。どうにも眠れぬ夜がある。毎節決まって訪れるその夜を、シルヴァンは寝台に巣食う芋虫となってやり過ごす。
     日中、さんざ打たれた腹は浅く息をするだけでもじくじくと痛む。やわな鍛え方はしていないが、それすら気に食わないことも知り得ている。だからこそ相手は何発も打ち込むのだ。手加減などなしに。何度も。何度も。
     守るためには服の下に鋼鉄板でも仕込むべきなのだろう。思うだけで実行には移せなかった。仕込んだところで再びの顔だ。そうして今度は腕を、足を。身体中を潰されるのかもしれない。
    『目障りなんだよ──』
     そんな風に、兄であるマイクランがシルヴァンを好き勝手殴るのはいまに始まったことではない。殴り付けるときは圧倒的に笑顔が多いが、今日は怒りで満ちていた。そんなにも気に食わないのならば、いい加減視界になど入れなければいいだろう。吐き捨てた小さな[[rb:反抗 > ぼやき]]はより兄の怒りを買った。なるべくならばと顔を合わせぬようにしても、体のいい[[rb:鬱憤 > うっぷん]]晴らしをマイクランが見逃すわけなどなかった。
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