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    何も無い

    conny_cromwell

    MAIKING深く考えずに書き始めたネロ晶ちゃんの小説。
    不定期更新、全10話の予定だけどプロットも何も無いので終わるかどうかも謎です。
    1. ただいま、おかえりついにこの日が来てしまった。厄災の到来。
    本当に酷かった。前の仲間たちが半分持っていかれたのも分からなくはない。しかしここでくたばる訳には行かないのだ。

    皆ボロボロながらも何とか生きている。最後の一撃だと言わんばかりに、オズが賢者さんの手を引いて振りかざした光。雷鳴と共に荒れ狂う空。雨と雪が混ざりながら月に向かい渦を描き舞い上がっていく様を俺たちは血の海に横たわりながら薄れゆく意識の中で眺めていた。

    「……」
    「ネロ、気が付いたかい?」
    「フィガロ……あんた身体は……っ」
    「若い魔法使い達のおかげでなんとか持ちこたえたみたいでね。皮肉なもので簡単には逝かせて貰えなさそうだ」

    フィガロの背中を最後に目前で見た時、ああもう駄目かもと正直思った。あんなにも複雑な思いを互いに抱えたまま、俺たちはこんな風に静かに消えた方がいいのだと二人で笑った瞬間だった。だからあんな形で守られて、自分だけ生きてるなんて烏滸がましいにも程があるのだ。そういう意味で、フィガロが生きていてくれたのは本当に心底ホッとした。
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    9660moyunata

    DONE年後ローレンツがクロードについて考えているだけの短文。オチも何も無い。その空は青かった。
    白い飛竜とクロードは僕の遥か上空を飛んで行った。長い間それを目で追い続けていたので、地上に視線を戻した時もそのシルエットが視界に残ってどこまでも付いてきた。

    僕はクロードを信用していない。長期間に渡って監視したからあいつの事はよく知っている。あいつには何か隠し事がある。普段から胡散臭いやつだが、蔵書を漁りにこそこそしていたり怪しげな薬の開発に精を出していたりだなんて、そんなちっぽけな話ではない。とんでもない秘密があるのだろうと僕にはわかるのだ。
    しかし、信用はしていないが信頼はしている。人をからかうようなことはするが、悪意と言うようなものは無く、あくまで悪戯程度のことだ。いや、僕の燕尾の先端を捲りあげて鎧の隙間にねじ込むのは本当にやめて欲しいと思っているのだが。何故人に気付かれずに行動するのがあそこまで上手いのだろうか。クロードが後ろを通り過ぎ、もしやと振り返る時に限って何もされていないのだ。尻がどうかしたのか? とニヤつきながら話しかけてくるのは非常に腹立たしい。
    あぁ違う、そんなことを考えようと思っていたんじゃないんだ。クロードが隠し事を続けるのは僕に 774