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    出産

    nemurinekomaru

    PROGRESSロナドラ♀里帰り出産の続きです。
    この章から三人称視点です。
    ギリギリさんとの友情を深めている〇です。
     新横浜からドラルクが出て行って、そろそろ1年という時間が経った。朝目が覚めたら棺桶のなかはもぬけの殻となっており、何の書置きもない状態で出て行ってしまったのだと、日に日に草臥れながら語るロナルドに周囲の人間はついに痴話喧嘩のひとつもして出ていかれたのかと囃し立てたが、ロナルドはただ自分が悪いのだと言うばかりであったので、これはもしかしたらとうとうロナルドがドラルクに告白して、びっくりして父親とかのもとに逃げられてしまったのではないか? という憶測がギルドのなかで飛び交っていった。
     他人の恋路なんてものは最高の娯楽であると相場が決まっていると退治人相手に吸血鬼たちは笑う。人間に分かりやすく言い換えるのなら、田舎で退屈している親戚や老人からお見合いや結婚を勧めてきては、孫はまだかとせっつくのと一緒であると、野球拳大好きによって解説された。三男の下半身透明を息子のように育てきり、現在では野球拳という明らかに日本に来てから目覚めたであろう性癖によって頭ポンチになっているのだから、説得力が違う。
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    nemurinekomaru

    PROGRESSロナドラ♀里帰り出産の続きのノス視点です。
    ノスはドラちゃんを娘みたいに思っているので、元から眼中になかったロナ君を許せないしちょっと嫉妬している。
     慣れぬベッドの上でくうくうと寝息を立てながら浮かべる寝顔はいくつになっても幼いままだった。200歳を超えてもこの子は何も変わらない幼さを持ち続けていることに何度安堵しただろう。
     ドラルクからの呼び名がノースディンおじさまから師匠せんせいへと変わり、生意気な口を叩けるようになったのは反骨神を育てることに成功したというのに、昔買い与えた真っ白なテディベアを抱いて眠るいつまでも小さく手のかかる弟子が、たかだか二十年と少ししか生きていない人間の若造の子を孕んでいるという事実が何より耐えがたかった。
     人間なんてあと五十年もすれば老いてしまうのだから、その頃には幼いあの子は飽きてしまうだろうからと、共に暮らすことを許した結果がこれだった。ダンピールのような交じりものを産む気なのかと問い詰めたくなってしまったのは、この子の言う通りロートルと呼ばれるべき古い考えに固執している証拠ではあるのだが、二世紀は前のあの子に吸血鬼としての生きる術を教えていた時期を考えると仕方がないものでありながらも、ドラルクのためにあるこの部屋以外の城の惨状が自分の感情を抑えきれていない事実をハッキリと告げてくる。
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    nemurinekomaru

    PROGRESSロナドラ♀里帰り出産の続きです。ノスのお城に着きました。
    ちょっと短めですが、続きのノス視点はそれなりに長めです。
    というかノスの名前のスペルが分からなくてちょっと困ってます。
    冷えた指先とチェリーボーイ Draluc ノースディンの城に着いた途端、あまりの冷気にまず足の先から砂になった。まだ形にもなっていないロナルド君との赤ちゃんにどんな影響が出てしまうのか分からず、根性でどうにか手足だけに留めていればしっかりと暖房の効いた部屋に連れていかれ、ベッドに上に降ろされた。まあ、幼い私が少しでも死ぬようなことがあれば同じように殊更丁寧に扱われていたので、少しの懐かしさを感じてしまう。
    「……少し、待っていなさい」
     普段よりずっと固い声がそう言って扉を開けて部屋から出て行ってしまった。扉が閉まるまでのほんの僅かな時間であったのに冷たい空気が廊下から流れ込んできてしまい、それに驚いて耳の先が少し砂になってしまった。
     私を置いていったあの人はとにかく不機嫌だったのだろう。部屋を出る前はとにかく無言で、私を寒さで死なせないために事前に用意していたらしい毛布で私を包んでから、真っ白いそれなりの大きさのテディベアを私に抱かせていったのだ。
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    Haruto9000

    DONE「クー・フーリンが女性だったら」妄想。
    ※FGO第1部のみの情報で書いていたので、設定ズレなどはご容赦ください。

    【あらすじ】
    無事に息子を出産したクー・フーリンだが、スカサハに息子を殺されかける。
    信頼していた師の行動にショックを受ける彼女。
    それでも、兄弟子のフェルディアや女王オイフェ、スカサハの娘・ウアタハたちに支えられながら、子どもを育てようとするが…。
    ミラーリング #10(影の国編:後編)猛犬の息子
     轟く怒声。馬のいななき。赤く染まる川。
     バシャバシャと水しぶきを上げながら浅瀬を渡る。枯れた森を抜けたところで、空に向かって激しく燃え上がる火柱が目に飛び込んでくる。城だ。城が燃えている!
     ──助けて!
     誰かの叫び声が聞こえ、その方向へ向かって走る。
     ──助けて、誰か!
     バチバチと音を立てて炎上する城壁を見上げれば、誰かが自分に向かって手を差し出している。
     ──お願い、誰か。誰か、助けて!

    「……きろ、クー! 起きろ!」
     強く揺さぶられ、目を開けた。オイフェが心配そうな顔でこちらを覗き込んでいた。
    「ひどくうなされていたぞ。大丈夫か?」
    「あ、ああ……」
     いまだ動悸はおさまらない。嫌な夢を見ていた気がする。呆然としながら汗をぬぐったところで、クー・フーリンは慌てて起き上がった。
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