蒼と紅の共犯者「水族館に行かない?」
突然チョロ松兄さんにそう言われた。
一瞬時間が止まり、誘う松間違えてないか?とも思ったけれど兄さんの顔は至って真面目で、ぼくと他の松を間違えてる様子はなかった。
「…水族館?」
多分きょとんとしたんだろう、聞き返したぼくの顔を見て兄さんは少しだけ微笑って見せた。
「うん。最近オープンした所なんだけど…どうかな」
どうかな、と言われましても。
別にぼくはこのひとつ上の兄と仲が悪い訳でも嫌いな訳でもない。
ただ下二人のように特別仲がいい訳でもないし、上の兄二人のように目に見えない強い信頼感がお互いある訳でもない、…と思う。
強いて言うなら、普通の男兄弟なのだ。甘え過ぎす甘やかし過ぎず、程よく冷たく程よく手を伸ばす。それでもお互い支え合えるし助け合える、そういう距離感。ぼくにとって一緒にいて気が楽な兄弟一位だったりする。
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