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    トプロ

    dentyuyade

    DONE陶芸家とプログラミング関係の仕事の男が、ひとつ屋根の下でもたもた幸せになる話です。志筑と佐野の話。
    スポットライトの下、ろくろを回せ放っておけない人という風に分類される人間というのは、世の中にいかほどの割合で存在しているのだろうか。少なくとも自分は含まれていないのだろう。よく言えば面倒のかからない人、悪く言えば個人主義。そう言ったように自分が見られていることを、志筑はこの二十数年の人生でぼんやりとではあるが理解している。放っておけない人、というのはつまるところ、魅力的な人間ということだ。どこか危うくて、目を離しておけない。絶対的な何かを持つ、大衆ではない人間。
    「……」
    スポットライトが当たるなら、きっと彼だと思った。自分の、この退屈な人生の中で光に照らされているのは間違いなく彼だった。初めて会ったとき、美術部のくせにキャンパスに向かわないで一心不乱に何かの図面を描いていた彼を見て、志筑はそう確信したのだ。真摯な横顔が、今でも手に取るように思い出せるのはきっと、あの日から未だ舞台照明は彼だけを馬鹿真面目に追い続けているから。自分に向かない視線が好きだ。他の何も映さないでいる、きれいな瞳が。
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