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    seki_shinya2ji

    PROGRESS完全オリジナルキャラ作品。10万字チャレンジの1/4。
    辻褄絶妙に合わないラフ状態なので、本にするなら加筆修正する。ただ本にするかは不明。どっちかと言うと、10万字達成されたら支部で全文公開する感じ。
    共犯 起反射的にスマホを落としそうになった。
    恩師が毒殺未遂事件に巻き込まれた、と分かったら普通の人ならどう思うのだろう。心配で頭が真っ白になって病院に走り出すか。それとも「もう何年も前に卒業してしまったから先生は覚えていないだろうな……」と杞憂するだけに留まるか。この質問に答えも何もない。なぜなら滅多にない出来事だからだ。ないようにするのが、この男の仕事であるというのは言わない約束である。

    男はその話を職場で聞いた。ほのかに薄汚れた職場の廊下の壁は若干灰色だ。そこに背中を預けて男2人は外を見ながら近況を報告して情報を交換していた。窓の外はオレンジ色ではある。もうすぐ、1時間もしない内に暗くなっていくだろう。少し薄くなったスーツに風が通る。僅かに肌に触れた冷気は風だったのか、冷房だったのか、それとも悪寒だったのか。男は正しく判断を下せなかった。それくらいには脳みそが混乱してたのだ。しかし男は「ああ、俺今混乱してんな」と、どこか他人事のように思っていた。妙に冷静である事が余計に混乱している事を際立たせている。
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