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    遊郭

    10ゲージのポイポイ

    CAN’T MAKE宇煉。遊郭の時。
    書きたいけど書けないなぁ。難しい。
    毒が回り、もう言葉さえ紡ぐのも難しくなってきた。
    目も霞んできて、雛鶴達の姿も朧げだ。

    俺は、死ぬのか。

    やれるだけの事はやった。
    細い糸を手繰り寄せ、上弦の鬼の首も斬った。
    これでまた、哀しい思いをする人が減るだろう。
    俺がここで死んでしまっても、仲間達が意志を繋いでくれるだろう。

    あの、炎の様に熱い男も、死の淵で同じ事を思ったのだろうか。
    煉獄。
    俺も、もうじきにそっちに行くことになりそうだ。
    お前に、やっと、会える。


    目の前に赤い炎が見えた。


    体が炎に包まれている。
    オイオイ煉獄ぅ、俺が死んですぐに火葬かよ。
    死んでもせっかちなのは変わらねぇのか。
    なんて思った瞬間、凛としたよく通る声が聞こえた。


    宇髄。
    まだだ!こちらに来るのはまだ早い!
    俺と君の『継子』を頼んだぞ。


    ハッと気づけば体を包んでいた炎は消え、ついでに毒も消えていた。
    体に鮮明な痛みが戻る。
    俺は、生きている。

    泣いて抱きついてくる須磨を受け止め、呆然とする。
    驚いて竈門を見れば、竈門の妹が血鬼術で鬼の毒だけ燃やし飛ばしたと告げられた。
    煉獄の炎だと思ったあの炎は血鬼術の炎だった。
    走馬灯か 717

    shinashi_natuka

    REHABILI遊郭パロ龍つばの身請け後の話的な……

    色々あり長らくかけてなかったBつばのリハビリに。
    ぱしゃ、と水面に指を滑らせれば反射して映し出されていた自分の顔や咲き誇る藤の花々が歪んだ。見上げれば、流れる川を跨ぐように作られた藤棚で満開の藤が風に揺れている。
    遊郭にいた時に触れたものとは違う生きた水と、話しに聞いていただけで実際目にしたことがなかった大輪の花々。指先から伝わるひやりとした温度と目の前に広がる光景に、改めて外に出られたのだと実感して。
    「つばさ……つばさ」
    二度ほど名前を呼ばれ、つばさはようやく声の方に振り返る。そうだ、自分の名前はもう〝空〟ではなく〝つばさ〟に戻ったのだった。
    「……龍広さん」
    振り返った視線の先には、藤の花と同じ色の髪が風に揺れていた。
    「ここにいたのか」
    探したぞ、と安堵している龍広の顔にはどこか焦りの色も混じっていて。商家町で買い物中、勘定を済ませている彼の横にいた時にこの風景を見付けてしまい、何も言わずにふらりと歩いてしまったのだから当然か。
    「すみません……勝手に……」
    「いや、無事ならいいんだ」
    龍広は、川辺に蹲るつばさの横に立ち同じように咲き誇る藤を見上げた。
    何も言わずに離れてしまったことを怒っているのだろうか、彼は何も言わない。二 1135