水月 千尋
TRAINING #ritk版深夜の60分一発勝負 (ワンライ)のお題『休日』をお借りして書いたものです。
[所要時間:2h]
恋人前提の類司。
【Lover's time】
久々にショーの練習のない、天下の休日。日曜日。
もっとも休日とはいえ、ワンダーステージという舞台でショーを行うオレ達には他にやることもある。ショーで使う小道具などの細かな物品の買い出しだ。ステージで使うものなのでフェニランに領収書付きで申請を出せば後から費用は返ってくるが、まずは自腹を切って自分達で買ってこなくてはならないし、そうしなくてはショーの準備も出来ない。
そこでオレと類は朝も早くから、多くの人が行き交うショッピングモールを縦断していた。途中、広場で行われていた休日限定の手品ショーを二人で楽しみつつ、センター街まで足を伸ばす。そして機械系のパーツを置いてあるという店から出た後、道の端に寄ったオレはビニール袋の取っ手を腕に通すと、ポケットから取り出した折り畳んだ紙片を開いた。書き込まれた文字を上から順番にみていく。
2118久々にショーの練習のない、天下の休日。日曜日。
もっとも休日とはいえ、ワンダーステージという舞台でショーを行うオレ達には他にやることもある。ショーで使う小道具などの細かな物品の買い出しだ。ステージで使うものなのでフェニランに領収書付きで申請を出せば後から費用は返ってくるが、まずは自腹を切って自分達で買ってこなくてはならないし、そうしなくてはショーの準備も出来ない。
そこでオレと類は朝も早くから、多くの人が行き交うショッピングモールを縦断していた。途中、広場で行われていた休日限定の手品ショーを二人で楽しみつつ、センター街まで足を伸ばす。そして機械系のパーツを置いてあるという店から出た後、道の端に寄ったオレはビニール袋の取っ手を腕に通すと、ポケットから取り出した折り畳んだ紙片を開いた。書き込まれた文字を上から順番にみていく。
3iiRo27
DONEritk版深夜の60分一発勝負第二十四回 お題:「スズラン」「休日」
司視点⇒類視点 両想い
開始が遅れてしまいましたが時間内にできました。GWを控えた、ある日のこと。
オレは一人、自室の机で様々な本を開きながら唸っていた。
そう。ちょうど、今くらいだった。
ワンダーランズ・ショウタイムが結成されて。初めてやったショーが失敗して。
お互いのことを知らずにぶつかり合って。それでもまた再結成して。
そして、ワンダーステージのために、一所懸命ショーをやって。
あの頃から1年が経ち、色んなことが変わった。技術面でも、精神面でも。
そう。類と付き合って、もうすぐ半年が経つのだ。
ハロウィンの出来事もあって意識するようになり。
そのままこの思いを隠しておこうとしていたときに、類の方から告白されて。
思わず泣きながら、OKを出したことは、今でもちょっと恥ずかしい出来事だ。
付き合いだしてからも、演出面では一切手を抜かず遠慮もしない類だけれども
それが終わると、とことん俺を甘やかすようになった。
ちゃんと時と場所は考えて。褒める。撫でる。抱きしめるは基本。
最初は本当に慣れないし居た堪れなくて、どうしても逃げ出したりする時もあったけれど、今では愛情表現だと受け止めることができ、自然と甘えることができるようになった。 3349
水月 千尋
DOODLE恋人な類司の元に現れた、とある猫の話。猫視点です。
※余談ですが、猫は司くんを『司くん』という名前だと思っています。
【僕は猫である】
どこで生まれ、どこをどう歩いてきたのか、どれくらいの間そうしていたのかもわからない。本当に全く自分が何も覚えていないことに──僕は唐突に気がついた。他に理解していた事といえば、自分が空腹であることだった。お腹が空いて空いて仕方なくて、時折鼻を鳴らしては、自分の勘を頼りに歩き続けていた。
そして、ある天気の良い昼間。僕は今までの灰色で硬い地面とは違う、たくさんの短い草が生えた土を踏んだ。瑞々しい緑のにおいを思いきり吸い込みながら、よたよたと歩を進めていく。
ここにはご飯があるだろうか。
それに、身体を休められる場所があるだろうか……。
ずっと歩きづめだった僕にとって、それは切実な願いだった。最悪すぐにご飯にはありつけなくても、ひとまずは落ち着いて身体を休められる場所が欲しい。一旦足を止め、危険がありそうかどうかの確認をしようと、においを嗅ぎなおした。
4910どこで生まれ、どこをどう歩いてきたのか、どれくらいの間そうしていたのかもわからない。本当に全く自分が何も覚えていないことに──僕は唐突に気がついた。他に理解していた事といえば、自分が空腹であることだった。お腹が空いて空いて仕方なくて、時折鼻を鳴らしては、自分の勘を頼りに歩き続けていた。
そして、ある天気の良い昼間。僕は今までの灰色で硬い地面とは違う、たくさんの短い草が生えた土を踏んだ。瑞々しい緑のにおいを思いきり吸い込みながら、よたよたと歩を進めていく。
ここにはご飯があるだろうか。
それに、身体を休められる場所があるだろうか……。
ずっと歩きづめだった僕にとって、それは切実な願いだった。最悪すぐにご飯にはありつけなくても、ひとまずは落ち着いて身体を休められる場所が欲しい。一旦足を止め、危険がありそうかどうかの確認をしようと、においを嗅ぎなおした。
3iiRo27
DONEritk版深夜の60分一発勝負第二十三回 お題:「お隣さん」「嘘」
類視点
※漫画「メイ/ドさ/んは食/べるだ/け」の設定をお借りしたパロディとなっております
※知り合うまでの部分のみのためCP要素は薄いです
※司の口調が違います
上記が大丈夫な方のみどうぞ 2151
水月 千尋
TRAINING #ritk版深夜の60分一発勝負 (ワンライ)のお題『嘘』をお借りして書いたものです。
[所要時間:2h+10m]
また屋上かよ!!!!
【嘘つきナイト】
基本的に僕が昼食を摂る場所は決まっていない。確率的に屋上や中庭が多いのは作業をしながらだったりするからで、昼食とその後のゴミを持ってうろうろするのが面倒な時は、教室で適当に胃に流し込んでしまうこともある。
そして、今日もそのパターンだ。
僕はタマゴサンドを手早く胃に納めて、作業道具や作りかけの小さめのロボットが入った黒いバッグを手に屋上へと急いだ。
通い慣れた階段をかけ上がって屋上のドアを開くと──頭上に広がっていたのは抜けるような青空だった。くわえて、熱くも冷たくもない風が心地よく吹き抜けていくそこはくつろぐのに絶好の場所だったのだろう。暖かな日差しをやわらかく跳ね返す見慣れた金の髪が、こっくりこっくりと舟を漕いでいた。……司くんだ。
1473基本的に僕が昼食を摂る場所は決まっていない。確率的に屋上や中庭が多いのは作業をしながらだったりするからで、昼食とその後のゴミを持ってうろうろするのが面倒な時は、教室で適当に胃に流し込んでしまうこともある。
そして、今日もそのパターンだ。
僕はタマゴサンドを手早く胃に納めて、作業道具や作りかけの小さめのロボットが入った黒いバッグを手に屋上へと急いだ。
通い慣れた階段をかけ上がって屋上のドアを開くと──頭上に広がっていたのは抜けるような青空だった。くわえて、熱くも冷たくもない風が心地よく吹き抜けていくそこはくつろぐのに絶好の場所だったのだろう。暖かな日差しをやわらかく跳ね返す見慣れた金の髪が、こっくりこっくりと舟を漕いでいた。……司くんだ。
3iiRo27
DONEritk版深夜の60分一発勝負第二十三回 お題:「お隣さん」「嘘」
司視点 片想い
途中で視点が変わりますカチャカチャと音を立てながら、手早く混ぜていく。
カップに入れる生地の量は、綺麗に均等に。
オーブンの余熱も忘れずに。
オーブンから取り出した出来立てのそれに、思わず笑みが溢れた。
「…今日の練習は終わり!お疲れ様でした!」
「「「お疲れ様でしたー」」
終わりの挨拶を済まし、帰るかと思った時、渡していないそれのことを思い出した。
「…ああ、そうだ!今日もお隣さんからお裾分けを頂いたんだ!持ってくるな」
「わーい!今日は何のお菓子だろー?」
「段々と上達してきてるもんね。私も楽しみ」
「そうだね」
3人の声を尻目に鞄に急ぎ、綺麗にラッピングされたそれを取り出す。
「今日は抹茶とホワイトチョコのマフィンだそうだ!この前の改善点をしっかり見直したと言っていたぞ」
「ありがとー!お隣さんにもよろしくね!」
「私からも、よろしく」
「僕からもお願いするよ。…それにしても、今回のも美味しそうだねえ」
ドキ、と高鳴る胸を3人に見えないように抑える。
幸い、それに同調したえむによって見られはしなかったようだ。よかった。
……お隣さんからの貰い物と称して、 1883
ヒカル
MOURNING怪盗モノのギャグです「はははは!この呪われし指輪は貰っていくよ!」そう言って長いマントをひらめかせながら2階の窓枠に立つ怪盗R。
悔しそうに歯噛みしながら手の届かない位置に立つRを見上げて睨む警官達。
Rの勝ち誇った声だけが響く中、1人叫んだ
「オレは…っ!諦めないからな、怪盗R!絶対に捕まえてやる!」
何度も怪盗Rに逃げられて諦めの目立つ警官達の中で、今回の現場が初のRとの対面の為か、まだ戦意を滲ませた声をあげる若い警官。
Rは彼にチラリと目を向けてーーー固まった。
開け放たれた窓では無く、警官の集まるロビーの方へ降り立つR。
誰も予想だにしなかった行動に固まる中、Rは誰に邪魔されるでなく歩みを進め、呆気に取られた若い警官…司の手を取る。
「あぁ…っ!君の名前はなんと言うんだい!?君を見た瞬間、君の声を聞いた瞬間、僕は君に恋に落ちてしまったんだ…!」
司の右手を両手で強く握り締めながら、瞳を甘く蕩けさせて見詰めるRの言葉に、全員が驚愕の声を上げる
「え?は?は!?!?」
「驚いた顔も愛らしいね…!名前は、あぁ、天馬司くんと言うのか!名前まで素晴らしいね!」
「は!?あっ!オレの警察手帳!」
慣れた手つ 2008
hakka_ymg
MOURNING類司/怖気づいた🎈シードル最初はキスからだった。
それもじっと見つめてその合間に触れ合うだけ。
伺うように、窺うように。
そんな壊れモノみたいに扱うなよ。
オレがそんなにヤワじゃないのはお前が一番よく知っているだろう、類。
本当にいいのかい、と類はまた司に尋ねた。これで何度目だろうかと司は思い返してみる。まだ片手で数えられる程度だったが、それにしたってくどいだろう。大胆なくせに小心者のこの男は何度聞けば納得するのだろうか。
「類、何度言わせる気だ」
「そうは言うけど」
「いいと言っているだろう」
この体勢でよくもそんなことを言ってられるものだと司はあきれた。照明は限界まで落とされ内鍵も掛けた部屋で、類は司に覆いかぶさる格好をしている。
ここまで用意周到にしておいて怖気づくのか、お前は。
800それもじっと見つめてその合間に触れ合うだけ。
伺うように、窺うように。
そんな壊れモノみたいに扱うなよ。
オレがそんなにヤワじゃないのはお前が一番よく知っているだろう、類。
本当にいいのかい、と類はまた司に尋ねた。これで何度目だろうかと司は思い返してみる。まだ片手で数えられる程度だったが、それにしたってくどいだろう。大胆なくせに小心者のこの男は何度聞けば納得するのだろうか。
「類、何度言わせる気だ」
「そうは言うけど」
「いいと言っているだろう」
この体勢でよくもそんなことを言ってられるものだと司はあきれた。照明は限界まで落とされ内鍵も掛けた部屋で、類は司に覆いかぶさる格好をしている。
ここまで用意周到にしておいて怖気づくのか、お前は。
水月 千尋
MAIKING🔞類司の司くんのエロトラップダンジョン。2話目。ここからは診断結果に沿って書いていきますのでR18になります。
【ご注意】
各話キャプションで詳細な注意を促すとネタバレ以外のなんでもなくなってしまう為、敢えて注意文は書きません。
ですので、本当に『何がきても読めるよ!』という方のみご覧下さい。
(絶対出てくると思うので、スライムや触手等の異種姦がダメな方は回避推奨です) 3405
水月 千尋
MAIKINGエロトラップダンジョン(https://shindanmaker.com/a/570937)
……の診断結果に従って書いていく予定。
類司(恋人/類と経験済)の司くんが進んでいきます。
この導入部は診断関係ない全年齢です。
以上をご了承の上、ご覧下さい。
【トラップ&トラップ】(1)
──このセカイの果てはどこなんだろうね。
始まりは類の、そんな些細な疑問からだった。
言われてみれば確かめてみたことがない。ただここは、どうやらオレが思っている以上には広いらしい。来ていると話には聞いていたものの長く姿を見たことがなかったリンも、オレ達がまだ行ったことがない場所辺りで楽しくやっていたようなので、間違いないだろう。
しかし。
「いくら広いからといって、これは何なんだ……」
とある休日。セカイの舞台があるテントからはかなり歩いた地点でオレと類は足を止めた。二人で見上げた先には、アトラクションなのだろうこじんまりした建物があった。だが問題は──その建物のてっぺんに掲げられた大きな看板だ。
1613──このセカイの果てはどこなんだろうね。
始まりは類の、そんな些細な疑問からだった。
言われてみれば確かめてみたことがない。ただここは、どうやらオレが思っている以上には広いらしい。来ていると話には聞いていたものの長く姿を見たことがなかったリンも、オレ達がまだ行ったことがない場所辺りで楽しくやっていたようなので、間違いないだろう。
しかし。
「いくら広いからといって、これは何なんだ……」
とある休日。セカイの舞台があるテントからはかなり歩いた地点でオレと類は足を止めた。二人で見上げた先には、アトラクションなのだろうこじんまりした建物があった。だが問題は──その建物のてっぺんに掲げられた大きな看板だ。
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DONEすう。すう。すう。胸の上下もない、吐かれる息の温かみも感じない。でもしっかりと繰り返される寝息はこの耳に届く。彼の為に用意した新しい寝床。気に入ってくれればいいのだけど生憎、寝心地の感想はまだ聞けなさそうだ。だがこのベッドに寝かせて早数時間、一度も目を覚まさない姿を確認すれば悪いことはないだろうと、類はひと安心する。
綺麗に整った顔、長く伸びる睫毛、絹のように透き通った白い肌、穢れを知らなそうな幼い寝顔。見た目は人間とまったく変わらない容姿で、他よりも顔が良い部類に入るだろう。ただひとつ僕たちと違うのは、彼らがもつ特有の人種。
ぴくりとも動かぬ様子にまさか死んではいないよなと。恐る恐る左胸に触れてみれば、とくりとくりと、懸命に生命活動を類の手に伝えてくる。
これで生きているんだと、初めて見たときは目を疑った。
『ドール』
彼らは一日の半分以上を睡眠で過ごす。そして、その命が尽きる最期の瞬間まで見た目の若さを保っていられる。呼吸、動作、日常生活の、何もかもが必要最低限あれば生きていける人種のことをいう。僕たちの暮らすこの世界には大きく分けて三つの人種に分かたれるのは皆もよく知っている 2735
3iiRo27
DONEritk版深夜の60分一発勝負第二十二回 お題:「発明」「ごく稀に俺」
司視点 両想い
※イベント「スマイルオブドリーマー」のセリフネタバレが含まれますバサリ
「っと、落としてしまったか。んーと…これは何のノートだ?」
ある日の休日。
学校もショーもお休みとなったため、脚本を書くために貯めていた資料の整理をしていた。
その時に落ちてしまった、1冊のノート。
忘れやすい俺は使用用途を表紙に書く事が多いのだが、このノートだけは何も書かれていなかった。
書き忘れか、あとで書こうとして忘れたか。どちらも同じか。
そう思いながらパラパラと流し見し、漸く気付いた。
「ああ、これ…あの時のノートか」
あの時、というのは。
初めて、セカイの皆も交えて、次にやるショーの内容を決めた時。
意見を纏めるために、わざわざ卸たてのノートを持参していったのだ。
なんだかんだ決まる前に例のえむの事件もあったりしたため、すっかり忘れていた。
改めて書き殴ったようなノートの内容を見ながら、あの時のことを思い出す。
なかなか内容が決まらなくて。というか全員これがやりたい!と譲らなくって。
そんな中でえむの元気がないって教えてもらって。
確か、そうだ。その日の帰りに、出会ったんだ。
えむの、兄さん達に。
それで、彼らの言ってることに対 3301
sannomekun
DONEアリスの夢も覚めるころ類は、知っているだろうか。前を歩く類は、さき程からずっと押し黙ったままだ。見慣れた背中がいつもより少し早い歩調を保って、落ち葉を踏みしめて進んでいく。
柔らかい土に足を取られはしないかと、そうして転んでしまわないだろうかと、その背を追いながら心配でたまらなかった。
それなのに振り返りもしてくれない。
彼が喋ってくれないほど、司は悪いことを言ってしまっただろうか。全く覚えはないけれど。そもそも何を話していたのだったか。
「類、」
無言。
「類!無視するな!」
横に並ぼうと足を早めながら、少し声を荒げると、ようやく類はちらりとこちらを一瞥した。
うるさいよ、と短く諫められ、それでもようやくの返事が嬉しくなって笑う。すると類は呆れたような、しかし柔らかな溜め息を吐いた。
機嫌が悪いわけではないのかと首を傾げ、思わず歩調を緩めると、彼は合わせて足を止めた。
じっと訝しげに見つめられて、少し戸惑う。
ーーご機嫌斜めじゃなかったのか
時折本当によく分からない。
司でこれなのだから、他の奴らなんて、もっと分からないのではないか、と。
それは自惚れだろうか。今度 9957
水月 千尋
DONE🔞・類司前提(お付き合い中)
・ほの暗い(多分)
・媚薬ネタ(一応)
・〇〇しないと出られない部屋系(一応?)
・つっこんでもないし、つっこまれてもない
……以上をご了承の方のみ、ご覧ください。 4712
3iiRo27
DONEritk版深夜の60分一発勝負第二十一回 お題:「君じゃなきゃ/お前じゃなきゃ」「スポットライト」
類視点 両想い「…他のステージに出てほしい…ですか?」
「はい」
それは、ある日の練習終わり。
えむくんを迎えにきたきぐるみさんから言われたその話に、僕も3人も皆驚いた。
「ステージを移動して欲しい、という訳ではないのです。
○○ステージで一日限定のショーが開かれるのですが、キャストが練習外で怪我をされて降板されてしまいまして。その代役を探していたんだそうです」
「それで、白羽の矢が刺さったのが僕…だと?」
「ええ、そういうことです」
「よ、よかったー…!移動じゃないんだー…!」
「ああ!俺も正直ドキドキしてしまった…」
話を聞いて、安堵する3人を見ながら、僕も内心ホッとした。
僕は、今のステージから移動する気なんて更々ないのだから。
でも、きぐるみさんの説明には、少し疑問が生じた。
「…でも、それは何故僕なんです?
それこそ、主役となり得る司くんや寧々が行ったほうが、経験が積めていいと思うのですが」
僕のその言葉に、きぐるみさんは言いづらそうに告げた。
「…先方が探している人材が。男性で細身。且つ…………身長が、180cm以上ある方が好ましいそうで。 3000
hakka_ymg
DOODLE好き好き言い合ってるだけ愛は好きだよ
好き
愛してる
君のことが大切なんだ
君がすきだよ
数えられないほど類から聞いた。
「司くんは?」
オレ?
オレは、お前を――好きだと思う。
ふふ、と類が笑う。
いいのだろうか。これでいいのだろうか。
オレは本当に好きなのだろうか。
オレは類をちゃんと好きなんだろうか。
「どうして?」
オレはわからないんだ、類。
類が沢山好きをくれるから、だからオレはお前が好きなんじゃないかと思ってしまう。
「どうして?」
類はオレのことが好きだろう?
もし、類がオレのことを好きじゃなくてもオレはお前に好きと言っただろうか。言えただろうか。
「どうして?」
オレは狡いよ。オレはきっと言えなかった。
オレは類の好きに安心して、だから類に好きだと言えるんだ。
997好き
愛してる
君のことが大切なんだ
君がすきだよ
数えられないほど類から聞いた。
「司くんは?」
オレ?
オレは、お前を――好きだと思う。
ふふ、と類が笑う。
いいのだろうか。これでいいのだろうか。
オレは本当に好きなのだろうか。
オレは類をちゃんと好きなんだろうか。
「どうして?」
オレはわからないんだ、類。
類が沢山好きをくれるから、だからオレはお前が好きなんじゃないかと思ってしまう。
「どうして?」
類はオレのことが好きだろう?
もし、類がオレのことを好きじゃなくてもオレはお前に好きと言っただろうか。言えただろうか。
「どうして?」
オレは狡いよ。オレはきっと言えなかった。
オレは類の好きに安心して、だから類に好きだと言えるんだ。
3iiRo27
DONEritk版深夜の60分一発勝負第二十回 お題:「ピアノ」「禁止」
類視点 両思いある日の休日。
フェニックスワンダーランドに工事が入ることとなり、「とある事情」も重なって今日の練習はなくなっていた。
しかし、やはりというか。
司くんもショーバカだし、僕もショーバカだ。
僕は練習ができなくても演出に使う道具の作成は進めておきたかったし、司くんは司くんで脚本の作成と、必要な小道具の選定のために来ていた。
費用の節約として、できる限り必要な小道具は使い回しをする。
そのためには脚本の時点で小道具の選定をしておくのが一番いい、とは司くんの言葉だ。
さて、そんな訳でワンダーステージに来た僕たちだけれど。
「…これが、話に聞いたピアノか?」
「そうみたいだね」
その舞台の上には、どどんとグランドピアノが置かれていた。
これが、練習ができなくなった「とある事情」だ。
工事の際、どうしても土埃の届かない場所にピアノを移動したかったそうなのだが、運悪く他の場所もいっぱいになってしまい、場所がなくなってしまったそうだ。
ワンダーステージは比較的離れている場所にあることから、野外ではあるがここならば土埃は届かないだろう、とのことで置かれている、 2358
hakka_ymg
DOODLE紙で指を怪我した司とその怪我を見た類滴る「っ……!」
数枚重ねて綴じられたプリントの束で指先を切ったような気がしたが、傷は見当たらなかった。鈍く痛みだけを訴える左手薬指、第一関節と爪の間。
一度さすって血は出ていないのを確かめて、手当ての必要はないなと判断を下す。
「オレとしたことが、気をつけねば」
そんなことがあったのを司が忘れた頃。
放課後。
「司くん、いるかい」
類が司のクラスに顔を出す。
約束はしていないが、最早習慣化していた。授業が終わってすぐ現れることもあれば、下校時間が近くなってから姿を見せることもある。
「類! ちょっと見てくれ」
類は何か思いついたのかいとフフと笑う。
司の前の席の椅子を借り、広げたノートを挟んで対面に座った。
1252数枚重ねて綴じられたプリントの束で指先を切ったような気がしたが、傷は見当たらなかった。鈍く痛みだけを訴える左手薬指、第一関節と爪の間。
一度さすって血は出ていないのを確かめて、手当ての必要はないなと判断を下す。
「オレとしたことが、気をつけねば」
そんなことがあったのを司が忘れた頃。
放課後。
「司くん、いるかい」
類が司のクラスに顔を出す。
約束はしていないが、最早習慣化していた。授業が終わってすぐ現れることもあれば、下校時間が近くなってから姿を見せることもある。
「類! ちょっと見てくれ」
類は何か思いついたのかいとフフと笑う。
司の前の席の椅子を借り、広げたノートを挟んで対面に座った。
sannomekun
DONE波の音と潮の香りに導かれ、緑道を抜けると視界に飛び込んできたのは、鮮やかな青が広がる何処までも果てしない海の景色だった。空を見上げてみれば、彼方まで続く空にゆったりと浮かぶ雲。その空と海との境界線付近には淡い桃色と水色の水彩が溶けて混じり合い、その下に広がる海に滲んでまもなく訪れる夕暮れ時を知らせている。
その美しい色彩のコントラスト達に、呼吸を忘れて見入った。
ーーキレイだ、
隣で同じく景色を眺めていた類の横顔は、夕焼けの色を受けてわずかに橙色に染められ、ビー玉のようにきらきらとした目は熱心に海へと向いている。
その横顔を暫く盗み見ていたけれど、その目線に気付いた類のはにかんだような笑顔がとても美しかったから、きゅうっと胸が締めつけられるような感覚になって、
ーーきれいだ、
慌てて視線を逸らした。ドクンドクンと鼓動が逸る。頬が熱い。
「新しい景色は、夕暮れ時でも眩しいね」
「ああ、オレといるともっと、眩しいだろう」
「でも君は、見惚れすぎだよ」
直球で核心を突かれ、未だきゅうっと締め付けられるように痛む胸を抑えながらしどろもどろに誤魔化す。
きれいだなんて、恥ず 9546
3iiRo27
DONEritk版深夜の60分一発勝負第十九回 お題:「桜」
司視点 両想いキラキラと光るそれに目を瞬かせると、いつもの場所…「セカイ」についたのだと気付いた。
よし、と気合を入れて、思い当たる場所に歩き始めた。
セカイに、桜が生えた。
今まで見た中でも一番と言えるくらい大きなそれは、花びらがいくら散ってもなくならず、また桜の花びらが地面に溜まることもなかった。
カイト曰く。
桜は、オレにとって、いい意味でも悪い意味でも印象に残ったものなのだそうだ。
体調の度合いによって見ることがまちまちだったため、散らずに残って欲しい。
あんなに綺麗だと言ってたのに、地面に落ちてしまった途端踏まれるしかない花びらをなんとかしたい。
そして、桜の木にいるであろう虫が一切出てこないで欲しい。
最後の理由に、3人が思わずといった感じで笑っていたが、俺は納得しかなかった。
昔の花見の最中に、本当に落下してきたことがあるからだ。あれは本当にトラウマになるからな!?
いい意味でも悪い意味でも印象に残っていたそれが、時期によって思い起こされ、セカイに現れた。
というのが、カイトの見解だった。
「オレの想像した最強の桜」であるそれは、オレ含め 1578