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DONE12/15の無配です。ほんの少しですがいつもの性癖を含みます。賭けの試し「なぁ、懐かしいん買ったけぇちょっと遊ばん?」
そういって南方の家で酒を飲んでいた門倉が見せてきたのは誰もが一度は遊んだことのあるボードゲームであった。盤面を白に黒にと変えるそのゲームはリバーシだとかオセロだとか言われるもので、当の南方も小学生の頃に親や兄弟と遊んだ記憶がある。大人になってからは久しくやっていないこともあって懐かしい。
「ええけど、どうしたん?」
「んー、今度の賭けに使えんか思うて」
都合のいい実験台かなどと苦笑しながらもテーブルの上の酒を脇に避け、ボードや石を広げる場所を確保した。そこに門倉が乱雑にボードを置くと石の入ったケースを一つ南方の方へ寄越す。
南方はそこから石を取り出すと白の面を上にして斜めに二つ置いた。示し合わせたように門倉が黒の面を上にして石を置く。この色の違いが表の仕事の対立関係のようでどこか面白い。
4715そういって南方の家で酒を飲んでいた門倉が見せてきたのは誰もが一度は遊んだことのあるボードゲームであった。盤面を白に黒にと変えるそのゲームはリバーシだとかオセロだとか言われるもので、当の南方も小学生の頃に親や兄弟と遊んだ記憶がある。大人になってからは久しくやっていないこともあって懐かしい。
「ええけど、どうしたん?」
「んー、今度の賭けに使えんか思うて」
都合のいい実験台かなどと苦笑しながらもテーブルの上の酒を脇に避け、ボードや石を広げる場所を確保した。そこに門倉が乱雑にボードを置くと石の入ったケースを一つ南方の方へ寄越す。
南方はそこから石を取り出すと白の面を上にして斜めに二つ置いた。示し合わせたように門倉が黒の面を上にして石を置く。この色の違いが表の仕事の対立関係のようでどこか面白い。
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DONE11/23の無配 門南です。舎弟より特別な「雄大くんっていい兄貴分だよな」
門倉の元へ書類を持って行った帰り、南方は隣の部屋から聞こえてきた言葉に足を止めた。
雄大くんとの呼び方からわかる通り、この部屋にいるのは門倉の黒服だ。舎弟とも言い換えてもいい奴らでもあり、中には自分が街を牛耳っていた時に見た顔もちらほらいる。
そんな奴らがする門倉の話。南方の知らない一面も語られるのだろうかと思わず聞き耳を立ててしまう。しかし理性が盗み聞きはいけないだとかなんだとか訴えてきたせいか、ただでさえ目立つ巨躯は舎弟たちから見える位置だというのに隠れことが出来ていない。
当然それに気付かない舎弟たちではなく、一人立ち上がると南方が立ちすくんでいる方の扉を開く。
3654門倉の元へ書類を持って行った帰り、南方は隣の部屋から聞こえてきた言葉に足を止めた。
雄大くんとの呼び方からわかる通り、この部屋にいるのは門倉の黒服だ。舎弟とも言い換えてもいい奴らでもあり、中には自分が街を牛耳っていた時に見た顔もちらほらいる。
そんな奴らがする門倉の話。南方の知らない一面も語られるのだろうかと思わず聞き耳を立ててしまう。しかし理性が盗み聞きはいけないだとかなんだとか訴えてきたせいか、ただでさえ目立つ巨躯は舎弟たちから見える位置だというのに隠れことが出来ていない。
当然それに気付かない舎弟たちではなく、一人立ち上がると南方が立ちすくんでいる方の扉を開く。
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DONE門南です。貴方のいない十日間 節電のためにデスク回り以外の電気が消されたフロアに、明るく輝くパソコンの液晶画面。南方は無事解決した事件の後処理のため警視庁に残っていた。事後処理の書類の記載を終え、大きく腕を伸ばす。
「……チッ」
声の出しすぎで朝から少し枯れていた喉と、なすがままに取らされた体位のせいでまだ痛む節々につい舌打ちが零れた。幸い周りには誰も居なかったため聞かれてはいない。
作成した書類を印刷し、プリンターまで取りに向かう。あとは押印して提出するだけだ。印刷を待つ間、南方は昨晩のことを思い出す。
昨日は今処理をしている事件が解決したのもあって、部下と軽く一杯引っ掛けて帰ったのまではよかった。
それで上機嫌で帰宅した家に待っていたのは、いかにも不機嫌ですといった様相の門倉。同棲しているというのに泊まり込みも同然で事件解決に勤しんでいたせいで、ここ一週間まともに顔も見せていなかった。そんなところに酔って帰って来たものだからそれはもう半ば襲われるように手加減なしで抱かれてしまったのだ。そもそも普段も南方は頑丈だからとあまり手加減はされないのだが。
7238「……チッ」
声の出しすぎで朝から少し枯れていた喉と、なすがままに取らされた体位のせいでまだ痛む節々につい舌打ちが零れた。幸い周りには誰も居なかったため聞かれてはいない。
作成した書類を印刷し、プリンターまで取りに向かう。あとは押印して提出するだけだ。印刷を待つ間、南方は昨晩のことを思い出す。
昨日は今処理をしている事件が解決したのもあって、部下と軽く一杯引っ掛けて帰ったのまではよかった。
それで上機嫌で帰宅した家に待っていたのは、いかにも不機嫌ですといった様相の門倉。同棲しているというのに泊まり込みも同然で事件解決に勤しんでいたせいで、ここ一週間まともに顔も見せていなかった。そんなところに酔って帰って来たものだからそれはもう半ば襲われるように手加減なしで抱かれてしまったのだ。そもそも普段も南方は頑丈だからとあまり手加減はされないのだが。
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DONE門南。ポメガバーズです。愛犬の自覚 愛犬の日。南方がそれを目にしたのは朝のニュース番組でのことだった。今日は五月十三日。語呂合わせで犬に関係あるのかと首を傾げていたところ、由来がキャスターの口から語られる。なんでも犬の雑誌を刊行していた会社のイベントが元らしい。画面に映る可愛らしい犬の写真に思わず口元が緩む。
南方恭次はポメガである。
ポメガとはなにか。極限まで疲労が溜まるとポメラニアンになってしまう人類のことだ。人口の一割程度がポメガだと言われるこの世界。その一割に属するのが南方である。
そして、自分がポメガということもあって犬派でもある。ニュース番組は愛犬の日とのことで犬特集が組まれてたようで、今度は犬の動画が流れている。
人間の手に撫でられて気持ちよさそうに目を細めている犬。そんな犬の様子に撫でたいという気持ちよりも撫でられたいという気持ちが先に来てしまう。存分に甘やかされ撫でられる心地よさを知ってしまうと人間側より犬側に共感してしまうのもしかたないだろう。
3748南方恭次はポメガである。
ポメガとはなにか。極限まで疲労が溜まるとポメラニアンになってしまう人類のことだ。人口の一割程度がポメガだと言われるこの世界。その一割に属するのが南方である。
そして、自分がポメガということもあって犬派でもある。ニュース番組は愛犬の日とのことで犬特集が組まれてたようで、今度は犬の動画が流れている。
人間の手に撫でられて気持ちよさそうに目を細めている犬。そんな犬の様子に撫でたいという気持ちよりも撫でられたいという気持ちが先に来てしまう。存分に甘やかされ撫でられる心地よさを知ってしまうと人間側より犬側に共感してしまうのもしかたないだろう。
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DONEホワイトデー 門南編三倍返しというけれど「ホワイトデー、三倍返し言うとったな」
そんなことを言って門倉が渡してきたのはどう見てもホットチョコレートの三倍どころではない高級金平糖と日本酒のセット。ニンマリと笑う様子からどうも「足りない分は身体で」を実行する気しかないようだ。
しかし南方とてこうなることは予想していた。予想はしていたからこそ準備を怠るわけがない。
「奇遇じゃの。わしからもホワイトデーの贈り物あるんよ」
南方が用意していたのは高級パティスリーのマカロン。ホワイトデーなら菓子だろうと入った店内に「あなたは特別」なんて意味があるなどというポップと共に並んでいてつい買ってしまったのだ。いくらか詰め合わせたマカロンはなかなかいい値がしたが、元より門倉がお返しと銘打って寄越してくる品の値段と相殺させる目的のため問題はない。
1469そんなことを言って門倉が渡してきたのはどう見てもホットチョコレートの三倍どころではない高級金平糖と日本酒のセット。ニンマリと笑う様子からどうも「足りない分は身体で」を実行する気しかないようだ。
しかし南方とてこうなることは予想していた。予想はしていたからこそ準備を怠るわけがない。
「奇遇じゃの。わしからもホワイトデーの贈り物あるんよ」
南方が用意していたのは高級パティスリーのマカロン。ホワイトデーなら菓子だろうと入った店内に「あなたは特別」なんて意味があるなどというポップと共に並んでいてつい買ってしまったのだ。いくらか詰め合わせたマカロンはなかなかいい値がしたが、元より門倉がお返しと銘打って寄越してくる品の値段と相殺させる目的のため問題はない。
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DONE2/16 門南2/16「入院しとる間、部屋の管理を頼んでいいか?」
年を跨いだ島での賭けの後、門倉は自身の怪我の治療のついでに見舞った南方にそう頼まれたのだった。
◇◆◇
「暇なときに換気とごみ捨てだけ頼む。あとは好きに使ってもええけぇ」
との南方の言葉に、門倉は早速受け取った合鍵だけを持って南方の住むマンションの前へ来ていた。
警視庁の地下で再会した後、幾度も遊びに来た場所ではあるが、家主不在の中来たことはないため少し新鮮だ。エントランスに並ぶ郵便受けから南方の部屋の番号を探す。
直ぐに見つけたそこは既に島での賭けでひと月近く空けていただけに出前のチラシやらで溢れていた。
「右に2、左に1、右に6……」
教えて貰った通りにダイヤルを回し郵便受けを開ける。明らかに不要そうなチラシ類を近くに設置されていたゴミ箱へと捨て、公共料金の金額のお知らせやダイレクトメールのような個人情報があるようなものだけ残す。
2455年を跨いだ島での賭けの後、門倉は自身の怪我の治療のついでに見舞った南方にそう頼まれたのだった。
◇◆◇
「暇なときに換気とごみ捨てだけ頼む。あとは好きに使ってもええけぇ」
との南方の言葉に、門倉は早速受け取った合鍵だけを持って南方の住むマンションの前へ来ていた。
警視庁の地下で再会した後、幾度も遊びに来た場所ではあるが、家主不在の中来たことはないため少し新鮮だ。エントランスに並ぶ郵便受けから南方の部屋の番号を探す。
直ぐに見つけたそこは既に島での賭けでひと月近く空けていただけに出前のチラシやらで溢れていた。
「右に2、左に1、右に6……」
教えて貰った通りにダイヤルを回し郵便受けを開ける。明らかに不要そうなチラシ類を近くに設置されていたゴミ箱へと捨て、公共料金の金額のお知らせやダイレクトメールのような個人情報があるようなものだけ残す。
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DONE門南12/18のライアジで無配だったものです。
逢瀬の現場に居合わせて 今日の立ち会いもなんとか無事に終わった。後始末まで終え、俺は安堵で小さく息を吐く。会員同士で行われた賭けは、互いに武力を誇示した状態で行われたこともあり一触即発と言う表現がぴったりだった。しかし、幸いにも武力が使われることはなく、最後まで均衡を保ったまま勝敗が決した。
その均衡を保たせていたのは俺が黒服としてついてる弍號の門倉雄大立会人と、俺や雄大くんと同郷でもあり拾陸號を継いだ南方恭次立会人の二人だ。そんな二人は少し離れたところで何やら話しているようだ。
俺の位置からは会話の内容は聞こえない。だけど表情から読み取ると立ち会いの話でなさそうだ。きっとこの後の予定の話でもしているのだろう。自分たちと話す時よりも幾分気安さの混じる表情に少しばかり嫉妬を覚えてしまうのも仕方ない。
2127その均衡を保たせていたのは俺が黒服としてついてる弍號の門倉雄大立会人と、俺や雄大くんと同郷でもあり拾陸號を継いだ南方恭次立会人の二人だ。そんな二人は少し離れたところで何やら話しているようだ。
俺の位置からは会話の内容は聞こえない。だけど表情から読み取ると立ち会いの話でなさそうだ。きっとこの後の予定の話でもしているのだろう。自分たちと話す時よりも幾分気安さの混じる表情に少しばかり嫉妬を覚えてしまうのも仕方ない。
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DONEご飯を食べる門南です。美味しい非番の過ごし方 空は快晴。肌寒さを感じる気温とカーテンから差し込む朝日で目を覚ました南方恭次は久しぶりの非番だ。いつもは非番といっても大抵は疲れのあまり寝て過ごすか、非番とは名ばかりの職場からの呼び出し待機状態だったりするのだが、この日は珍しくそのどちらでもない日だった。
もぞもぞと温い布団から這い出して小さく身震いすれば、冬用に交換したばかりのスリッパを足に引っ掛ける。とりあえず顔でも洗うかと給湯器の電源を確認し洗面所へと向かう。洗面所に着けば蛇口をひねりお湯が出てくるのを待ちながら、流れる水を見て今日は一日どう過ごすかとぼんやりと考える。久しぶりに料理を作るのもいいかもしれない。そう考えているうちに温かくなった蛇口の水を手で掬い顔を洗った。
9652もぞもぞと温い布団から這い出して小さく身震いすれば、冬用に交換したばかりのスリッパを足に引っ掛ける。とりあえず顔でも洗うかと給湯器の電源を確認し洗面所へと向かう。洗面所に着けば蛇口をひねりお湯が出てくるのを待ちながら、流れる水を見て今日は一日どう過ごすかとぼんやりと考える。久しぶりに料理を作るのもいいかもしれない。そう考えているうちに温かくなった蛇口の水を手で掬い顔を洗った。
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DONE2022/12/18 Liars agitation のWeb無配です。手袋を外して 今日も無事に立会いを終えた俺は現場の後始末を終えるとひとつ小さく息を吐く。暴を使う場面こそなかったものの、互いに武力を誇示したまま行われた賭けはなかなかに手に汗を握るものだった。
「南方立会人」
これから帰ろうかといったところで呼び止められた声に俺は振り向いた。会員同士の賭けだったということもあり、立会人はもう一人いた。よりにもよってとしかいいようもない相手だ。
「なんでしょう、門倉立会人」
門倉が立会人と呼んできたのでそれに合わせて返す。すると僅かに面白がった様にその隻眼が細められた。
「もう帰られるのですか」
「ええ。……って、いつまでその話し方すんじゃ」
変わらず続けて問いかけて来る門倉に、周りに部外者がいないことを確認して口調を崩した。本部にいても門倉にこのような口調で話しかけられることは滅多にないため少し居心地が悪い。そんな俺の様子に耐えきれなくなったのか門倉は喉を鳴らして笑った。
4145「南方立会人」
これから帰ろうかといったところで呼び止められた声に俺は振り向いた。会員同士の賭けだったということもあり、立会人はもう一人いた。よりにもよってとしかいいようもない相手だ。
「なんでしょう、門倉立会人」
門倉が立会人と呼んできたのでそれに合わせて返す。すると僅かに面白がった様にその隻眼が細められた。
「もう帰られるのですか」
「ええ。……って、いつまでその話し方すんじゃ」
変わらず続けて問いかけて来る門倉に、周りに部外者がいないことを確認して口調を崩した。本部にいても門倉にこのような口調で話しかけられることは滅多にないため少し居心地が悪い。そんな俺の様子に耐えきれなくなったのか門倉は喉を鳴らして笑った。
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DONE11.1 犬の日なのでポメガバ門南。書き終わって気付いたけど犬の出番めっちゃ少ないです。
初めての自宅訪問 もはや習慣ともなった週に一度の門倉との約束の日。そんな日に南方は初めて門倉の家に邪魔することとなった。
南方恭次はポメガである。
ポメガとはなにか。極限まで疲労が溜まるとポメラニアンになってしまう人類のことだ。人口の一割程度かポメガだと言われるこの世界。その一割に属するのが南方である。
そんな南方が形式的に飼われてやってるのが門倉である。正確には飼われるという名目の元、ポメラニアンとなったりなりそうな際に人へ戻る手助けをしてもらうような関係だ。
その日もいつものように限界を迎える前に南方の家で会う約束をしていたのだが、当日の朝になって急に門倉から断りの連絡が来た。聞けば迷宮での古傷のせいで体調が悪いとのことらしい。
3180南方恭次はポメガである。
ポメガとはなにか。極限まで疲労が溜まるとポメラニアンになってしまう人類のことだ。人口の一割程度かポメガだと言われるこの世界。その一割に属するのが南方である。
そんな南方が形式的に飼われてやってるのが門倉である。正確には飼われるという名目の元、ポメラニアンとなったりなりそうな際に人へ戻る手助けをしてもらうような関係だ。
その日もいつものように限界を迎える前に南方の家で会う約束をしていたのだが、当日の朝になって急に門倉から断りの連絡が来た。聞けば迷宮での古傷のせいで体調が悪いとのことらしい。
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MOURNINGこれは続きを書く気を失くしたものの供養 家に帰るとテレビもつけずソファの真ん中で煙草を吸う門倉がいた。テーブルに置かれた灰皿には吸殻が小山を築いている。
「随分遅いお帰りで」
いつもの砕けた口調ではなく、立ち会いする時のような慇懃なものいい。これは相当機嫌が悪いらしい。しかし南方にはなにか気に触る様なことをやった覚えはない。確かに普段よりは帰りは遅かったが、遅れる時間、理由共に門倉には予め伝えてある。
そうなればなんらかの八つ当たりかと見当をつけた南方は門倉を甘やかすべく近寄る。甘え方の下手なこの男は時折八つ当たりの形で甘えてくることもあるのだ。
「なんや嫌なことでもあったん?」
そう聞きながら触れようと伸ばした手に熱さと痛みが走る。何事かと視線を手元に移すと門倉が煙草を南方の手の甲に押し付けていた。
1377「随分遅いお帰りで」
いつもの砕けた口調ではなく、立ち会いする時のような慇懃なものいい。これは相当機嫌が悪いらしい。しかし南方にはなにか気に触る様なことをやった覚えはない。確かに普段よりは帰りは遅かったが、遅れる時間、理由共に門倉には予め伝えてある。
そうなればなんらかの八つ当たりかと見当をつけた南方は門倉を甘やかすべく近寄る。甘え方の下手なこの男は時折八つ当たりの形で甘えてくることもあるのだ。
「なんや嫌なことでもあったん?」
そう聞きながら触れようと伸ばした手に熱さと痛みが走る。何事かと視線を手元に移すと門倉が煙草を南方の手の甲に押し付けていた。
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DONE海外に行く門南のお話。言葉を覚える最短の方法 忙しない喧騒の中、死者の日の祭典を前にした街は色に溢れていた。特にどこもかしこにも蒔かれたマリーゴールドのオレンジとその噎せ返るような香りが鼻腔を犯す。
水替わりに買ったコーラを傾け、タコスの屋台を素通りしていく。ぬるい炭酸と甘ったるい後味。思わず南方は眉を寄せるも水不足のこの土地で、簡単に手に入る飲料がこれかビールしかないのだから仕方ない。
表向きは長期休暇を利用した観光のための海外旅行。しかし、実際は麻薬カルテルの調査ための渡墨。これが今回、南方にお屋形様から命じられた内容だった。
事前に受けた指示を元に、情報屋との待ち合わせ場所へと急ぐ。高地とはいえ、赤道に近いため日中の暑さは東京のそれと変わらない気温に汗が流れた。
4228水替わりに買ったコーラを傾け、タコスの屋台を素通りしていく。ぬるい炭酸と甘ったるい後味。思わず南方は眉を寄せるも水不足のこの土地で、簡単に手に入る飲料がこれかビールしかないのだから仕方ない。
表向きは長期休暇を利用した観光のための海外旅行。しかし、実際は麻薬カルテルの調査ための渡墨。これが今回、南方にお屋形様から命じられた内容だった。
事前に受けた指示を元に、情報屋との待ち合わせ場所へと急ぐ。高地とはいえ、赤道に近いため日中の暑さは東京のそれと変わらない気温に汗が流れた。
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DONE門南出来たての朝食をあなたと 閑散とした部屋にピピピピピと携帯のアラームの音が鳴り渡る。電子的なその音が浅く眠る南方の意識を覚醒させた。布団の中から手探りで携帯を取れば薄目で時間を確認する。寝起きには眩しい画面はちょうど十一時を表示していた。
幸いにも今日は非番だが、流石に二度寝するのはマズいと南方は起き上がる。昨晩の飲酒のせいで頭が酷く重い。
「いかん……完全に飲みすぎた……」
とりあえず水を飲んで糖分でも取らねばとは思うも、むかつく胃は食料を受け付けてくれそうにない。こういう時は一度吐いた方が楽になるのだが吐くほど胃に残ってもいない。とりあえず冷蔵庫にスポーツ飲料があったはずだからそれを飲むかとベッドから出ようとした所でようやく違和感に気付いた。
4164幸いにも今日は非番だが、流石に二度寝するのはマズいと南方は起き上がる。昨晩の飲酒のせいで頭が酷く重い。
「いかん……完全に飲みすぎた……」
とりあえず水を飲んで糖分でも取らねばとは思うも、むかつく胃は食料を受け付けてくれそうにない。こういう時は一度吐いた方が楽になるのだが吐くほど胃に残ってもいない。とりあえず冷蔵庫にスポーツ飲料があったはずだからそれを飲むかとベッドから出ようとした所でようやく違和感に気付いた。
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DONE門南もちが可愛すぎて書くしかなかった。
(元ネタ:ミナミエイコウさんのもちひろしま)
▼もち が とつぜん あらわれた ある朝、門倉が目を覚ますと枕元に謎の物体が転がっていた。一見目を閉じた手のひらサイズの生首のようだが、妙に可愛げのあるようなないような謎の物体は己と似たような様相をしている。
一体これはなんなんだと不気味に思いつつ指でつつけば丸くもっちりとしたソレはどうやら生き物であったようでぴくりと震えて目を開いた。
「……ゆ?」
小さく鳴き声を漏らしたつぶらな瞳と目が合い、互いの間に一瞬緊張が走る。先に動いたのは謎の生き物の方だった。ぎゅっと身を縮ませたソレに、もしや襲ってくるのかと思い咄嗟に捕まえようと手を広げる。予想した通り門倉へと向かいそいつは跳ねた。そして手にあたる軽く柔らかい感触。
「ゆ〜♡」
全身をぽよんぽよんと跳ねさせながら手にすり寄ってきたソレに門倉の毒気は完全に抜かれてしまったのだった。
5061一体これはなんなんだと不気味に思いつつ指でつつけば丸くもっちりとしたソレはどうやら生き物であったようでぴくりと震えて目を開いた。
「……ゆ?」
小さく鳴き声を漏らしたつぶらな瞳と目が合い、互いの間に一瞬緊張が走る。先に動いたのは謎の生き物の方だった。ぎゅっと身を縮ませたソレに、もしや襲ってくるのかと思い咄嗟に捕まえようと手を広げる。予想した通り門倉へと向かいそいつは跳ねた。そして手にあたる軽く柔らかい感触。
「ゆ〜♡」
全身をぽよんぽよんと跳ねさせながら手にすり寄ってきたソレに門倉の毒気は完全に抜かれてしまったのだった。
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DONEポメガバース門南ポメぽを摂取したかった
飼われてみんか?「南方、ワシに飼われてみんか?」
突然の目の前の相手が発した飼い主になりたいとの宣言にただ南方は黙るしか無かった。
南方恭次はポメガである。
ポメガとはなにか。極限まで疲労が溜まるとポメラニアンになってしまう人類のことだ。人口の一割程度かポメガだと言われるこの世界。その一割に属するのが南方である。
ポメガだからと言って差別されるような世の中ではないのだが、南方は周りにポメガだとは悟られない様に生きてきた。南方の生きる世界は自身があのような可愛らしい生き物になってしまうのを知られればナメられるようなとこだったためだ。それに、ポメラニアンから人に戻るには周りの人にチヤホヤ可愛がられないと戻らないというのも頂けない。ポメラニアンの姿とはいえ中身はガタイのいい男性だ。変化する際に服が全て脱げてしまうという都合上、戻った際も全裸になってしまうため性犯罪者にならないようパートナーもしくは同性に可愛がられるしかなく、現在パートナーも居ない南方としては何が悲しくて男に可愛がられなくてはいけないのかという気分になる。そのためなるだけ疲労を溜めないように徹底して管理し、ポメラニアンに変化してしまいそうな際は自宅に籠り動画サイトに上がっているポメガ用のチヤホヤされる動画を延々と再生してこれまで過ごしてきたのだ。
4548突然の目の前の相手が発した飼い主になりたいとの宣言にただ南方は黙るしか無かった。
南方恭次はポメガである。
ポメガとはなにか。極限まで疲労が溜まるとポメラニアンになってしまう人類のことだ。人口の一割程度かポメガだと言われるこの世界。その一割に属するのが南方である。
ポメガだからと言って差別されるような世の中ではないのだが、南方は周りにポメガだとは悟られない様に生きてきた。南方の生きる世界は自身があのような可愛らしい生き物になってしまうのを知られればナメられるようなとこだったためだ。それに、ポメラニアンから人に戻るには周りの人にチヤホヤ可愛がられないと戻らないというのも頂けない。ポメラニアンの姿とはいえ中身はガタイのいい男性だ。変化する際に服が全て脱げてしまうという都合上、戻った際も全裸になってしまうため性犯罪者にならないようパートナーもしくは同性に可愛がられるしかなく、現在パートナーも居ない南方としては何が悲しくて男に可愛がられなくてはいけないのかという気分になる。そのためなるだけ疲労を溜めないように徹底して管理し、ポメラニアンに変化してしまいそうな際は自宅に籠り動画サイトに上がっているポメガ用のチヤホヤされる動画を延々と再生してこれまで過ごしてきたのだ。