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    #毎月25日はK暁デー

    りんご

    DONEまじない、あるいは、のろい (ここまで読みがな)
    K暁デー「スーツ」
    お題的なこともあって結婚と葬送の話をどっちも書きたかっただけです。あっきーがバカ重い感じですが、その環境ゆえにうまく隠すことがうまかっただけで彼の本質はこうだろうなーとか思ったり。いつものごとく二人で喧嘩して、戦って、駆け抜ける話です。
    中の人本当にありがとうございました、お陰で細々と楽しくK暁を追いかけられました。
    呪い短くも長くもない人生を振り返るにあたり、その基準点は節目にある行事がほとんどだろう。かくいうKKも、自らのライフイベントがどうだったかを思い出しながら目の前の光景と類比させる。
    準備が整ったと思って、かつての自分は彼女に小さな箱を差し出した。元号さえ変わった今ではおとぎ話のようなものかもしれないが、それでもあの頃のKKは『給与三ヵ月分』の呪文を信じていたし、実際差し出した相手はうまく魔法にかかってくれたのだ。ここから始めていく。そのために、ここにいる隣の存在をずっと大事にしよう。そうして誓いまで交わして。
    まじないというのは古今東西、例外なく『有限』である。
    呪文の効力は時の流れに飲まれて薄れてゆき、魔法は解け、誓いは破られた。同じくしてまさか、まじないの根本に触れることになるだなんて思わなかった、ところまで回想していた意識を、誰かに強い力で引き戻される。
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    らいか⛩

    DONE25日はK暁デーのお題「犬or猫」です

    素敵なお題ありがとうございました!
    とても楽しかったです
    「お、いたいた、俺の話聞いてくれるか?」

    煙草を吸いながら隣に来た中年男は自分に目もくれず話し始めた。
    聞いてくれるか?と言っているが実際返事を聞く前に語り始めているのを見ると聞かないという選択肢はないようで男をジッと見つめる。

    「俺の恋人兼相棒がそこにいるんだが、あいつはやたらと犬や猫に好かれやがる。あの日も…おっと、あの日って言ってもわからんだろうが、簡単に言えば命懸けの共同作業をしたんだよ。で、あの日もあいつは犬を見たらドッグフードを与え猫を見たら撫でたり声をかけたりと俺が引くぐらいさ。つまり恋人さまは根が優しくてなぁ…そこにマレビトも妖怪も寄っちまう程で俺ぁ心配でたまんねぇ。今もマレビトに怯えて逃げてた犬やら猫がマレビトを祓ったお陰なのか戻って来て恋人さまを奪いやがる。正直面白くねぇな。あいつの良さと言えば聞こえはいいが、俺だって…あ、いや、なんでもねぇ。……話を戻すが、俺は犬や猫に好かれねぇ質でな、こっちには来やがらねぇ。俺にとっちゃ良いことだがな。おい、今苦手なんだろとか思っただろ?苦手じゃねぇよ、あいつらが俺を苦手なんだ。そんなに好きなら自分家で飼えばいいだろって言ってみたがたまに触るから良いんだとよ。本当に人並みの好きなのか?まぁ、そこはいい。別に議論するつもりもねぇしな。っと、俺は餌なんて持ってねぇよあっちいけ」
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    りんご

    DONEK暁デー 『いたずら』 そして表題に戻る系。
    そんなつもりなかった二人がその気になる話です。
    せめて飴くらいは手元に置いとけばよかった!「ご飯? お風呂? それとも僕?」
    「オマエ」

    というわけでこの話は終わった。
    「そんな訳ないでしょ! 何考えてんだよKK!!」
    「いや何なんだよオマエ」
    「こっちが何なんだよ だよ!」
    「なんなんなんだよだよだよ」
    「あああ呪文にするなよ…」
    状況を整理するにしても、普通の生活を詳細に描写する程度のことしかできない。今回の依頼はKK単独の小さなものだったので、資料をまとめることで一日を過ごした暁人は、せめて疲れて帰ってくる相棒のためにと彼の自宅にてご飯や風呂の準備をしていた。合鍵を使って堂々と入り、勝手知ったる様子で冷蔵庫を確認し、風呂の栓を抜いておく。暁人があれこれ始めたことで多少は解消されたが、KKのズボラさは相変わらずだ。買うものの算段を付けて、流しに残っていた食器を洗い、一度外へ出る。必要なものを買い足して再び家へ戻り、手早く下ごしらえを始める。疲れている時はとにかく手軽さ手早さを重視したほうがいいだろう。あの面倒くさがりは手の込んだものを食べるくらいなら、そのまま寝かねない。炊飯器のスイッチを押して、玉ねぎと牛肉を切って皿に移しておく。冷蔵庫へいったん入れて、掃除するべく浴室へ向かった。そこからは家主の帰宅まで散らかったものを拾っておく作業だった。
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    りんご

    DONEK暁デー
    どっちも『おはよう』を楽しみにしている。
    タイトル詐欺みたいなほのいちゃK暁(当社比)
    おはようまでお楽しみ音をたてないようにノブを限界まで回してからドアを開けると、すっかり穏やかな寝息を立てて眠る彼の姿があった。起きててほしかったという残念さと、でもしんどいだろうから寝ていてほしい気持ちが混ざり合って、それが『やっぱり会えてうれしい』になってしまう自分の甘さに苦笑する。職業柄なにかと敏感なので、間違っても起こしたりしたくない。いつからか後ろ手のドアは金具に差し込めるギリギリまで元に戻して、締め切らないようになってしまった。

    依頼や他の行事で二人の時間がずれることが増えた。大半はKKが戻ってこないことが多いが近ごろはその逆で、就職活動や卒業間近のあれこれで帰りが日付線を超えることもしばしばだ。かつては一人で先走るところもあった典型的な前時代型の彼だが、意外にも気を揉んだりあからさまに機嫌が悪くなるようなことはない。内弁慶気味な彼をして当初は肩透かしを食らっていたが、これが彼なりの気遣いなのだと、最近になって分かり始めている自分がいる。時間が経つのは、楽しい。大切なものばかりすり抜けていた日々の、本来の在り方を初めて暁人に教えてくれた人だった。だからこそ少しだけ、ほんの…少しだけ、寂しさはあってもこの瞬間を損ないたくなかった。傍らにしゃがみ込み、暗がりに浮かぶ彼の寝顔をじっと眺める。以前はこの時点で起きていたことを思えば、これはとんでもない進歩だ。渋谷事変の時のような魂が結び合う感覚とはまた違う、気配が混ざっていると分かる瞬間に頬が緩むのを止められない。弾む気持ちのままに乱れた髪を撫で、顔をつついたのはまずかっただろうか。眉を寄せ寝返りを打ったので、息を止めて見守っていた。そこから変化のないことをよく確認しつつ、こちらを向いたKKをつぶさに観察する。
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    りんご

    DONEK暁デー、初デート。K←暁のようでK→〈超えられない壁〉←暁です。
    理想のデート像を黙って実行するおじと、訳も分からず振り回されるあっきーの話。
    過去それなりに色んな話を書いてきましたが、ぶっちぎりで砂糖吐きそうな話になったと思います。けけは所々横暴だしあっきーはちょっと暴走気味です。そんな二人の初めてなんて、絶対事件になるに決まってるじゃないですか(笑)
    閻魔帳のきれはしには(1)


    待ち合わせは、やっぱり駅前かなあ
    ベタなのは分かってるよ! でも後に来る僕が気になって、その後ろ姿がどこかそわそわしてるの、きっとかわいいなって思うんだろうな


    ◆◆◆◆◆


    『KK

    今日午前11時。渋谷駅北側に集合。』


    凝り固まった肩を回しながら、ネオンが薄まりゆく都会の路地を暁人はゆったりと歩いていた。長期の仕事が終わって漸くまともな寝食にありつけると思えば、心も穏やかになる。
    こんな職業なので、どうしても一日の行動が普通のそれとは大きくずれ込む時がある。今日はそういった日で、数日掛かりの依頼を何とか終わらせたときには、すっかり空が白み始めていたのだ。

    自分の名前をした空を背にしながら、暁人は連絡のためにスリープモードにしていたスマホを起動させた。そこに表示される、送り主と簡素な一文。暁人が首をひねるのも無理はない。めったに文字でのやり取りを行わない人物から突然こんなものが来たら、誰だって困惑するだろう。自分がいない間に向こうで何かあったのかもしれない。それにしても……メッセージ? 凪いでいた心情の波が僅かに揺れて―――まあいいか、と持ち直した。暁人が暁人たるゆえんは、この微妙な状況に対しての構えがやたら大きいことである。波乱万丈な生い立ちのせいで大概のことは受け流せるようになった結果だった。
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