sesami___n
PROGRESS【5年目の同窓会展示①】『HisLips』
蒼√のレトユリ妄想漫画。できたところまでを展示しております。今年中の完成が目標です!
※蒼√ベースで設定やエピソードを多々捏造しております
※流血表現あり
※この作品は【モブユリ】を含みますご注意下さい
※蒼√EP21の散策会話の引用があり、ネタバレにご注意下さい 42
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DONE【5年目の同窓会展示②】無双レトユリ支援S妄想イラスト安宿で逢瀬している無双レトユリが支援Sするシーンです。寝台でくつろぎながら互いが大事にしている兵法の指南書と銀の指輪を交換しています。ユーリスはベレトが寝てる間に指のサイズ計ってそうだなと思いました!
当初ポストカード企画用にと思って描いたものなのですが設定がわかりにくく込み入った内容だったので個人的な展示とさせていただきました
Satsuki
DONE〇レトユリ。蒼ルート後支援Sしてる二人。イチャイチャデートしてほしかっただけの散文です。遠乗り「ずいぶん上手くなったじゃないか」
「はっ、俺様を誰だと思ってやがる」
ブルル、と鳴いた愛馬に目を細め、ベレトはユーリスに微笑みかけた。どこか照れ臭そうに手綱を操り、ユーリスも自分の馬を降りる。二人きりでの遠乗りは初めてだった。大司教とその伴侶、という立場は時として厄介だ。馬車での移動は従者がつくし、徒歩では移動が制限される。二人きりでガルグ=マクを離れてのんびりとした時間を過ごすために、馬が必要だった。賢くて、二人でも乗りこなせる馬が。……お互い、あまり馬術の訓練を真面目にやっていなかったツケが回ってきたのだ。
「どうどう、よし……大人しくしてろよ」
湖畔に繋いでやると、二頭の馬は心得たとばかりに首を振った。ユーリスはちょっとばかりむずむずする鼻を擦り、ベレトを向き直る。
4212「はっ、俺様を誰だと思ってやがる」
ブルル、と鳴いた愛馬に目を細め、ベレトはユーリスに微笑みかけた。どこか照れ臭そうに手綱を操り、ユーリスも自分の馬を降りる。二人きりでの遠乗りは初めてだった。大司教とその伴侶、という立場は時として厄介だ。馬車での移動は従者がつくし、徒歩では移動が制限される。二人きりでガルグ=マクを離れてのんびりとした時間を過ごすために、馬が必要だった。賢くて、二人でも乗りこなせる馬が。……お互い、あまり馬術の訓練を真面目にやっていなかったツケが回ってきたのだ。
「どうどう、よし……大人しくしてろよ」
湖畔に繋いでやると、二頭の馬は心得たとばかりに首を振った。ユーリスはちょっとばかりむずむずする鼻を擦り、ベレトを向き直る。
Satsuki
DOODLE〇レトユリのちょっとした痴話喧嘩。大事にしたい どうして俺を置いていくなんて言うんだよ、と、お頭ことユーリス=ルクレールが声を荒らげているので、部屋の外で見張りに立っている部下たちははらはらと冷や汗をかきながら顔を見合わせた。
「置いていくというか……きみに留守を頼みたいだけで」
「パルミラへ外交に行くときは俺も連れていくって、あんた前からそう言ってたよな?」
「それは……すまない、連れて行けなくなった」
「だから、それがどうしてなんだって聞いてんだよ!」
ユーリスのイライラとした声に、ベレトは心の隅で
(怒るとこんな声も出すんだな)
と密かに感心していた。だがそんな場合ではない。可愛い顔を怒りに歪ませて、伴侶がこちらを睨みつけているのだから。
アビスにあるユーリスの私室には、実に彼らしい調度品が並んでいる。仕事机と、棚と、ベッド。酒と本、そして化粧品に鏡。ベレトは何故だかこの空間が結構好きなのだが、ユーリスはあまりベレトを歓迎しない。どうも自分の隠された内面を見られるようで恥ずかしいらしい。無論、地上にも伴侶としての彼の部屋をつくりはしたが、一向に引っ越してくる気配はない。ここが好きなんだ、と話したときのはにかんだような笑顔は今はどこへやら。きりきりと眉を釣り上げ、賊の頭らしい目つきでベレトを睨んでいる。外交に同行させるというかねてからの約束を破ろうとしている上に、理由を語らないのだから仕方がない。しかし、『理由を言わねえなら意地でもついていくし、一人ででもフォドラの首飾りを越えて行くからな』と言われてベレトはついに折れてしまった。
1776「置いていくというか……きみに留守を頼みたいだけで」
「パルミラへ外交に行くときは俺も連れていくって、あんた前からそう言ってたよな?」
「それは……すまない、連れて行けなくなった」
「だから、それがどうしてなんだって聞いてんだよ!」
ユーリスのイライラとした声に、ベレトは心の隅で
(怒るとこんな声も出すんだな)
と密かに感心していた。だがそんな場合ではない。可愛い顔を怒りに歪ませて、伴侶がこちらを睨みつけているのだから。
アビスにあるユーリスの私室には、実に彼らしい調度品が並んでいる。仕事机と、棚と、ベッド。酒と本、そして化粧品に鏡。ベレトは何故だかこの空間が結構好きなのだが、ユーリスはあまりベレトを歓迎しない。どうも自分の隠された内面を見られるようで恥ずかしいらしい。無論、地上にも伴侶としての彼の部屋をつくりはしたが、一向に引っ越してくる気配はない。ここが好きなんだ、と話したときのはにかんだような笑顔は今はどこへやら。きりきりと眉を釣り上げ、賊の頭らしい目つきでベレトを睨んでいる。外交に同行させるというかねてからの約束を破ろうとしている上に、理由を語らないのだから仕方がない。しかし、『理由を言わねえなら意地でもついていくし、一人ででもフォドラの首飾りを越えて行くからな』と言われてベレトはついに折れてしまった。
Satsuki
MAIKING〇レトユリ。ユーリスに歌を習う先生。このあと支援Cする。210510人食い燕は歌わない2「あら~、今日の先生、とっても機嫌がよさそうね。何かいい事でもあったの?」
メルセデスの声に、ベレトは土をいじっていた手を止めて振り返った。どうして、と言いたげな視線にメルセデスの方が目を瞬かせる。
「だって、ずっと鼻歌をうたっているんだもの~」
「鼻歌……」
そう言われればそうだったかもしれない。ベレトは少し気恥ずかしくなって、コホンと咳ばらいを一つ。誤魔化した。如雨露を傾けて花に水をやりながら、メルセデスはにこにこと続ける。
「今の、賛歌のひとつよね。私も好きな歌よ。でも、ちょっとだけ意外ね。……先生は、歌がそんなに好きじゃないのかと思っていたわ」
「そう見えるかな」
「見えるというか……気を悪くしないでほしいのだけれど、讃歌会で一緒に歌った時、全然声が聴こえなかったから……」
4037メルセデスの声に、ベレトは土をいじっていた手を止めて振り返った。どうして、と言いたげな視線にメルセデスの方が目を瞬かせる。
「だって、ずっと鼻歌をうたっているんだもの~」
「鼻歌……」
そう言われればそうだったかもしれない。ベレトは少し気恥ずかしくなって、コホンと咳ばらいを一つ。誤魔化した。如雨露を傾けて花に水をやりながら、メルセデスはにこにこと続ける。
「今の、賛歌のひとつよね。私も好きな歌よ。でも、ちょっとだけ意外ね。……先生は、歌がそんなに好きじゃないのかと思っていたわ」
「そう見えるかな」
「見えるというか……気を悪くしないでほしいのだけれど、讃歌会で一緒に歌った時、全然声が聴こえなかったから……」
Satsuki
MAIKING〇レトユリ。スカウトされたばかりのユーリスと歌を知らないベレト先生。多分続く。210505人喰い燕は歌わない大聖堂の空気が好きだった。士官学校生として初めてガルグ=マクに足を踏み入れた時、空にも届きそうな天井を見上げて、ここが女神様に一番近い場所なのかと感動したものだ。美しいステンドグラスから差し込む光は神秘的で、ああ、家族にも見せてやりてえな、と思った。祈ることはどこででもできる。女神様は全ての祈りに耳を傾けてくださっている。母さんはそう言っていたけれど、大聖堂での祈りは、やはり特別に思えた。
(俺らみたいな悪党の命でも、女神様は……)
ユーリスは祈りを終えると、周囲の視線を振り払うように堂々と胸を張り、灰狼の制服を誇るようにして椅子から立ち上がった。聖堂内にいる司祭の中には、ユーリスの罪状を知るものが少なくない。
3581(俺らみたいな悪党の命でも、女神様は……)
ユーリスは祈りを終えると、周囲の視線を振り払うように堂々と胸を張り、灰狼の制服を誇るようにして椅子から立ち上がった。聖堂内にいる司祭の中には、ユーリスの罪状を知るものが少なくない。
Satsuki
MAIKING〇非童貞のベレト先生がユーリスと交接できない話の続き。支援S後、蒼ルートっぽい。まだ続きます。きみだけだよ2はあ、と大きな溜息が大司教の執務室に虚しく響く。ベレトが羽ペンを置くと、セテスは怒ったような仕草で出来上がった書類を机上で揃える。実際、怒っているのだ。
「何か言うことはあるかね」
「……いや、何もない」
はああ、と今度はセテスがとびきり大きな溜息を吐く。それでももう何も言わずに部屋を出て行ってくれたのはありがたい。午前中いっぱい執務をサボッたせいで、昼食の席で彼に捕まった時はガミガミ叱られながら食事する羽目になったのだ。
ベレトは朝から昼まで、このガルク=マク大修道院を走り回った。しかし、街にも、庭園にも、士官学校にも、おまけにアビスにもユーリスの姿はなかった。狼の牙たちはベレトの問いに首を横に振り、商人たちも首を傾げた。大聖堂にも彼の姿はなく、司祭たちはベレトの姿を見て「今日はどうされたのです?」と訝し気に声をかけてきた。適当にお茶を濁してその場を後にしたが、やはり『大司教』という立場は少々息苦しい。
6090「何か言うことはあるかね」
「……いや、何もない」
はああ、と今度はセテスがとびきり大きな溜息を吐く。それでももう何も言わずに部屋を出て行ってくれたのはありがたい。午前中いっぱい執務をサボッたせいで、昼食の席で彼に捕まった時はガミガミ叱られながら食事する羽目になったのだ。
ベレトは朝から昼まで、このガルク=マク大修道院を走り回った。しかし、街にも、庭園にも、士官学校にも、おまけにアビスにもユーリスの姿はなかった。狼の牙たちはベレトの問いに首を横に振り、商人たちも首を傾げた。大聖堂にも彼の姿はなく、司祭たちはベレトの姿を見て「今日はどうされたのです?」と訝し気に声をかけてきた。適当にお茶を濁してその場を後にしたが、やはり『大司教』という立場は少々息苦しい。
Satsuki
DOODLE〇ユーリスと部下のわちゃわちゃっていいですよね!と言いたかっただけの産物。レトユリ+燕の部下たち妄想。地下での決闘「先生よお……あーいや、大司教猊下って呼んだ方がいいんすかねえ」
アビスの門番はポリポリと頬を掻き、ベレトを見た。
「まだ大司教ではない」
「ああ、そうでしたね。どっちにしろ、やめといた方がいいんじゃないですかねえ……俺、知りませんよ」
こくり、ひとつ頷いて見せるベレトに、門番は「せめてユーリスに知らせた方がいいんじゃ……」と呟いた。しかし、今度は首を横に振ると、ベレトは「大丈夫だ」と笑った。もはや止める術を持たない門番は、灰狼学級とは全く違う方向へと消えていくベレトの背をただ見送ることしかできない。大きなため息を一つ。
「本当に、知りませんからね……俺が道を教えたって、ユーリスには秘密にしてくださいよ〜!」
5947アビスの門番はポリポリと頬を掻き、ベレトを見た。
「まだ大司教ではない」
「ああ、そうでしたね。どっちにしろ、やめといた方がいいんじゃないですかねえ……俺、知りませんよ」
こくり、ひとつ頷いて見せるベレトに、門番は「せめてユーリスに知らせた方がいいんじゃ……」と呟いた。しかし、今度は首を横に振ると、ベレトは「大丈夫だ」と笑った。もはや止める術を持たない門番は、灰狼学級とは全く違う方向へと消えていくベレトの背をただ見送ることしかできない。大きなため息を一つ。
「本当に、知りませんからね……俺が道を教えたって、ユーリスには秘密にしてくださいよ〜!」
Satsuki
DOODLE〇自給自足隠居生活してるレトユリ。???歳。ボイス入力後に整えたので誤字ありそうです。雰囲気散文。約束「ユーリス、あの大きな建物がついに出来上がったようだぞ」
ベレトは少し興奮気味に小屋の中へと飛び込んで、キョロキョロとユーリスの姿を探した。彼の伴侶はまだベッドの中だろうか。
「ユーリス、ユーリス」
「聞こえてるよ、ここにいる」
ふあ、とあくびをしながら姿を現した彼は、『またあの場所に行っていたのか』とベレトを見た。ラフな部屋着姿で、すでに朝食が用意されているテーブルにつく。二人が暮らしているこの小屋は、フォドラの喉元に似た山の奥深く、人里から離れた場所にある。以前この国が大きな戦争に巻き込まれることなった時、二人は関わり合いになることを望まず、そっと街を後にした。
「お兄ちゃん達、どこへ行くの?街を出て行くの?」
1679ベレトは少し興奮気味に小屋の中へと飛び込んで、キョロキョロとユーリスの姿を探した。彼の伴侶はまだベッドの中だろうか。
「ユーリス、ユーリス」
「聞こえてるよ、ここにいる」
ふあ、とあくびをしながら姿を現した彼は、『またあの場所に行っていたのか』とベレトを見た。ラフな部屋着姿で、すでに朝食が用意されているテーブルにつく。二人が暮らしているこの小屋は、フォドラの喉元に似た山の奥深く、人里から離れた場所にある。以前この国が大きな戦争に巻き込まれることなった時、二人は関わり合いになることを望まず、そっと街を後にした。
「お兄ちゃん達、どこへ行くの?街を出て行くの?」
Satsuki
DONE〇士官学校時代の付き合ってないレトユリレト。天馬の節の最初くらい。猫の日だったので猫と二人……と妄想した結果の産物。明けの情景朝靄がガルグ=マク修道院をうっすりと覆う、静かな朝だった。ユーリスは夜明けの薄暗さに乗じて外から秘密の出入り口を抜けてアビスへと帰り着き、もう朝食の支度が始まっているであろう食堂へと向かっていた。七面倒くさいことに今朝の食事当番なのだ。そんなもの、本当に煩わしいならアビスに隠れてバックレて仕舞えばいいものを、仕事終わりにも関わらず律儀に制服に着替えてやってくるところが彼らしいと言える。ふあ、とあくびを噛み殺し、冬の冷たい空気で肺を満たす。今朝も冷え込んでいる。厚い外套の前を掻き合わせ、足を急がせた。
昨夜の取引は妥当だった。これでまた、貧困に喘ぐ人を目の前から一人か二人、減らすことができるだろう。そのおかげで今日の授業中は居眠りをしてしまうだろうが勘弁願いたい。ユーリスはほとんど表情の動かない担任教師の顔を思い浮かべる。そういえば彼は最近髪の色が変わってしまったのだった。若草のような、そう、ちょうどあんな風に朝靄に溶け込むような色だ―――
2687昨夜の取引は妥当だった。これでまた、貧困に喘ぐ人を目の前から一人か二人、減らすことができるだろう。そのおかげで今日の授業中は居眠りをしてしまうだろうが勘弁願いたい。ユーリスはほとんど表情の動かない担任教師の顔を思い浮かべる。そういえば彼は最近髪の色が変わってしまったのだった。若草のような、そう、ちょうどあんな風に朝靄に溶け込むような色だ―――
Satsuki
DOODLE〇ベレト先生とユーリス。心臓の話。ドロテアとの支援会話の内容が出てきます。どこかのルートの五年後のいつか。
鼓動「先生、あんた心臓の音を止められるんだってな」
ユーリスはティーカップをソーサーに置くと、いかにも興味津々といった眼差しを隠そうともせずベレトを見つめた。自室でのお茶会はこれで何度目になるだろう。週末に限らず、ベレトはユーリスを食事や茶会に誘うことを躊躇わなくなっていた。自室で彼と過ごす時間は、戦い続きでほんの少しだけ草臥れてしまったベレトの心を癒してくれる。それは、ベレトを温かく包み込んでくれる毛布のような存在だ。かつて自分の傍でいつも見守っていてくれたジェラルトにも似た、大切な人。それがユーリスだった。その彼から飛び出したセリフに、ベレトはふとティーカップを口元で止める。
「心臓の音を……?」
3187ユーリスはティーカップをソーサーに置くと、いかにも興味津々といった眼差しを隠そうともせずベレトを見つめた。自室でのお茶会はこれで何度目になるだろう。週末に限らず、ベレトはユーリスを食事や茶会に誘うことを躊躇わなくなっていた。自室で彼と過ごす時間は、戦い続きでほんの少しだけ草臥れてしまったベレトの心を癒してくれる。それは、ベレトを温かく包み込んでくれる毛布のような存在だ。かつて自分の傍でいつも見守っていてくれたジェラルトにも似た、大切な人。それがユーリスだった。その彼から飛び出したセリフに、ベレトはふとティーカップを口元で止める。
「心臓の音を……?」
Satsuki
DONE〇バレンタインデイキッスなレトユリ短文です。エンディング後のいつかのどこか。あまい口づけチョコレイト、というものが南の大陸から伝わって来て数年。ユーリスはいち早くその菓子の可能性に目をつけて、自ら南方の商人と交渉を始めた。現地では加工に手間がかかるためいまいち有難がられていない植物だったが、一部では薬のような扱いをされていたとかいないとか。最初こそ高価な食べ物だったチョコレイトも、今では庶民が楽しむこともできるものとなった。薄く伸ばして固めただけでなく、生クリームと合わせたり、焼き菓子に混ぜたり飾りにしたり……その可能性は無限大だ。体温程度でとろっととろけてしまうその口どけが好きらしく、ユーリスがチョコレイトを摘まんでいる姿は日常のものとなっている。もちろん、ベレトとのティータイムにも、お茶の隣にチョコレイトが添えられていることがままある。ベレトもちょっと遠方まで足を伸ばした土産に、可愛らしい形をしたチョコレイトを買って帰った。綺麗な箱に入れられていたそれをユーリスは大層喜んで、しばらく飾って眺めていたくらいだ。
1648Satsuki
DONE〇現パロ?レトユリ。あなたと記念日を今年もこの日がやってきてしまった。俺ははあ、と溜息を吐いて、ぼーっと店の外を眺める。どこを見てもカップルカップル、待ち合わせなのかそわそわしてる男、カップル、例外のナンパ野郎……とにかく甘い雰囲気が街を包み、人々は浮足立った様子で恋人へのプレゼントを買い求める。俺はそんな人たちを食い物にする店側の人間だ。もとより恋人などおらず、今日という日に誘いをかけてくれるような親しい人もいない。暇なら店を手伝えと親に駆り出され、よりにもよって恋人たちに人気の観光地、ここガルグ=マク大修道院で菓子を焼く羽目になっている。あーあ、人前でキスするような人種はみんな古の魔法か何かで吹っ飛んでしまえばいいのに。いや、ガルグ=マクでならむしろ大司教様の加護があって、恋人同士はうまく行ってしまうんだろうな。そのご利益が欲しくて、みんなここに来てるんだろうし。
3464Satsuki
DONE〇ツバメの休む場所の話。雰囲気レトユリレト。
燕の休む場所青獅子学級の扉の上に、数日前からツバメが飛んでいたのは知っていたが、今日になって巣をかけ始めてしまった。ツィリルは仕方なしに柄の長い箒を持って掃除に行く。泥や草を集めて作る巣は汚くて、見た目もよくないし、巣からは今にひな鳥の糞が落ちてくるようになるからだ。
「あ」
授業の前に巣を払おうとしていると、ちょうど教室に入ろうとしていたベレトが足を止める。
「何、ですか?」
「巣を取ってしまうのか」
遠くで二羽のツバメが悲しそうにこちらを見ている。ベレトは表情の動かない顔でツィリルの手元とツバメとを交互に見て、何か言いたげだ。
「もしかして、取らないでほしいんですか。汚れますよ」
「……」
ベレトが黙ってじっと見るので、ツィリルは居心地が悪い。そのうちに、なんだなんだと青獅子学級の生徒たちが何人か外に出てきてしまった。複数の眼に囲まれて、何故だか悪いことをしているような気になってしまう。僕は仕事をしているだけなんだから、責められる謂れはないはずなのに……ツィリルはもぞもぞと、仕方なく箒を下げた。
4360「あ」
授業の前に巣を払おうとしていると、ちょうど教室に入ろうとしていたベレトが足を止める。
「何、ですか?」
「巣を取ってしまうのか」
遠くで二羽のツバメが悲しそうにこちらを見ている。ベレトは表情の動かない顔でツィリルの手元とツバメとを交互に見て、何か言いたげだ。
「もしかして、取らないでほしいんですか。汚れますよ」
「……」
ベレトが黙ってじっと見るので、ツィリルは居心地が悪い。そのうちに、なんだなんだと青獅子学級の生徒たちが何人か外に出てきてしまった。複数の眼に囲まれて、何故だか悪いことをしているような気になってしまう。僕は仕事をしているだけなんだから、責められる謂れはないはずなのに……ツィリルはもぞもぞと、仕方なく箒を下げた。
Satsuki
DOODLE〇遅刻ハロウィン。ユリがサキュバスなパロ。レトユリレト。「よお、待ちくたびれたぜ」
寝台の上に腰かけて、本から顔を上げた人物を見るや、ベレトは慌てて扉を閉めた。すでに日は落ちて数刻。生徒たちは夕食を終えて各々の部屋へと戻り、消灯を待っているはずだ。尤も、寮室を使っていない彼……ユーリス=ルクレールにとって、そんな時間割は関係ない。彼は時間など気にすることなくこうしてベレトの部屋に入り込み、好き勝手に過ごしてベレトの帰りを待っていたのだ。それにしても一体いつからここにいたのだろう……パタンと手元で閉じられた本は、随分読み進められていたように見えたが。
「ユーリス、来るときは知らせるようにといつも……」
「ははっ、悪い悪い。でもな、いつも突然空腹になっちまうんだよなあ」
4494寝台の上に腰かけて、本から顔を上げた人物を見るや、ベレトは慌てて扉を閉めた。すでに日は落ちて数刻。生徒たちは夕食を終えて各々の部屋へと戻り、消灯を待っているはずだ。尤も、寮室を使っていない彼……ユーリス=ルクレールにとって、そんな時間割は関係ない。彼は時間など気にすることなくこうしてベレトの部屋に入り込み、好き勝手に過ごしてベレトの帰りを待っていたのだ。それにしても一体いつからここにいたのだろう……パタンと手元で閉じられた本は、随分読み進められていたように見えたが。
「ユーリス、来るときは知らせるようにといつも……」
「ははっ、悪い悪い。でもな、いつも突然空腹になっちまうんだよなあ」