むんさんは腐っている早すぎたんだ
完畢さよりこさんのフリーライト企画(https://x.com/s_sayoriko_/status/1929031715156275339)に今回も参加させていただきますー(なお遅刻)!ななかざ・かざなな どちらでもOKです!
#GS腐向けフリライ
むんさんは腐っている早すぎたんだ
完畢さよりこさんのフリーライト企画(https://x.com/s_sayoriko_/status/1929031715156275339)に参加させていただいたイラスト。小説に繋げやすいような絵にした…つもり……
ななかざ・かざなな どちらでも対応できると思います。
#GS腐向けフリライ
さよりこ
完畢アールさんのイラストで書かせていただきました、七風です!アールさん素敵なイラストありがとうございました〜!!遅刻してごめんなさい!!!!
居酒屋にて もしかしたら俺は、七ツ森のことが好きなのかもしれない。
「オツカレー。待たせた?」
「お疲れ。先飲んでたから平気。つまみもテキトーに頼んでおいた」
「サンキュー」
ざわざわとした店内でも、七ツ森の声は不思議とよく聞こえた。
もう何度目かの来店となる居酒屋は、金曜の夜ということもあって、サラリーマンやOLたちで賑わいを見せている。アルコールが飲めるようになってからというもの、俺たちはすっかり夜の居酒屋で待ち合わせることが増えていた。
「ナニ飲んでんの?」
カウンター席の隣に腰掛けた七ツ森は涼を求めて首元をゆるめる。クーラーが効いているとはいえ、やはり人の多さから店の中は暑くなっていた。
「ハイボールだよ。オレンジ」
1728「オツカレー。待たせた?」
「お疲れ。先飲んでたから平気。つまみもテキトーに頼んでおいた」
「サンキュー」
ざわざわとした店内でも、七ツ森の声は不思議とよく聞こえた。
もう何度目かの来店となる居酒屋は、金曜の夜ということもあって、サラリーマンやOLたちで賑わいを見せている。アルコールが飲めるようになってからというもの、俺たちはすっかり夜の居酒屋で待ち合わせることが増えていた。
「ナニ飲んでんの?」
カウンター席の隣に腰掛けた七ツ森は涼を求めて首元をゆるめる。クーラーが効いているとはいえ、やはり人の多さから店の中は暑くなっていた。
「ハイボールだよ。オレンジ」
さよりこ
完畢小渕さんのイラストで書かせていただきました、れいみかです!小渕さん素敵なイラストありがとうございました〜!!一幕「待ちさなさい」
「ま、まだ何か……?」
職員室で説教されたあと、ツナギを脱がされスーツに着替えさせられた。ようやく解放されると思った矢先に再び呼び止められ、声が震える。
氷室教頭はスーツに着替えた俺をじっと見つめたかと思うと「少しかがみなさい」と言った。
「? はい」
言われた通りに頭を下げる。
すると次の瞬間、大きな手が俺の顔を覆った。
「!?」
「髪が乱れている。きちんと整えるように」
「あ、いや、これはもともと――」
というか、無理やり着替えさせられたせいでもある。普段からくせっ毛だし、改めて整えようとすら思わなかったが、氷室教頭は気になるらしく、俺の縦横無尽に跳ねる髪をどうにかしようとする。
「ふむ……」
1198「ま、まだ何か……?」
職員室で説教されたあと、ツナギを脱がされスーツに着替えさせられた。ようやく解放されると思った矢先に再び呼び止められ、声が震える。
氷室教頭はスーツに着替えた俺をじっと見つめたかと思うと「少しかがみなさい」と言った。
「? はい」
言われた通りに頭を下げる。
すると次の瞬間、大きな手が俺の顔を覆った。
「!?」
「髪が乱れている。きちんと整えるように」
「あ、いや、これはもともと――」
というか、無理やり着替えさせられたせいでもある。普段からくせっ毛だし、改めて整えようとすら思わなかったが、氷室教頭は気になるらしく、俺の縦横無尽に跳ねる髪をどうにかしようとする。
「ふむ……」
さよりこ
完畢小渕さんのイラストで書かせていただきました、やのみかやのです!小渕さん素敵なイラストありがとうございました〜!!雨音「はい、では、そのように」
通話を切ってから、日が傾き始めていることに気がついた。
両手に下げた袋には、劇団で使う小道具や、生活に必要なアイテム、小物まで詰まっている。
生徒会の仕事がない日に溜め込んでいた雑用を片付けてしまおうと街へと向かった。目的の買い物を終え、あとはもう帰宅するだけだ。スマホを仕舞い、ゆっくりと歩き出した、その時だった。
「あれ」
ここ、どこだろう……。
街中で着信が鳴り、人気のない場所に移動してから応答した所までは覚えている。あの時、どう動いたのかよく覚えていない。そう遠くには来ていないと思うが、周りを見ても見覚えのない店や看板が立ち並んでいた。
はばたき市に来てからいろんな場所に足を運んだが、まだまだ知らない場所はたくさんあった。
2413通話を切ってから、日が傾き始めていることに気がついた。
両手に下げた袋には、劇団で使う小道具や、生活に必要なアイテム、小物まで詰まっている。
生徒会の仕事がない日に溜め込んでいた雑用を片付けてしまおうと街へと向かった。目的の買い物を終え、あとはもう帰宅するだけだ。スマホを仕舞い、ゆっくりと歩き出した、その時だった。
「あれ」
ここ、どこだろう……。
街中で着信が鳴り、人気のない場所に移動してから応答した所までは覚えている。あの時、どう動いたのかよく覚えていない。そう遠くには来ていないと思うが、周りを見ても見覚えのない店や看板が立ち並んでいた。
はばたき市に来てからいろんな場所に足を運んだが、まだまだ知らない場所はたくさんあった。
さよりこ
完畢ケイさんのイラストで書かせていただきました、やのみかです!ケイさん素敵なイラストありがとうございました〜!!恋 恋愛感情というものはよく知っていた。
舞台の上で演じることが多かった。
だけどそれは、僕の知っている恋愛感情とは、どこか違うような気がしていた。
舞台の上で演じている時、いつもどんなことを考えてる? そう自問自答しようとしたけれど、不思議と慣れ親しんだその問いにすら、とうとう答えることができなかった。
三年の夏休みが目の前に迫っている。
去年も一昨年も、とても楽しかった。仕事の合間を縫って友人と遊びに行ったり、初めての体験をたくさんさせてもらった。あっという間だった。きっと、今年も。
そんな夏休みも、今年で最後だ。
そう思うと、どうしても感情的になってしまう。
はばたき学園での生活は、入学前に想像していたものとは随分と違っていて、まるで一生分の学校生活を送らせてもらったような気がしていた。充実、していた。〝学校生活〟がこれきりだとしても、きっと後悔はないと思った。
3327舞台の上で演じることが多かった。
だけどそれは、僕の知っている恋愛感情とは、どこか違うような気がしていた。
舞台の上で演じている時、いつもどんなことを考えてる? そう自問自答しようとしたけれど、不思議と慣れ親しんだその問いにすら、とうとう答えることができなかった。
三年の夏休みが目の前に迫っている。
去年も一昨年も、とても楽しかった。仕事の合間を縫って友人と遊びに行ったり、初めての体験をたくさんさせてもらった。あっという間だった。きっと、今年も。
そんな夏休みも、今年で最後だ。
そう思うと、どうしても感情的になってしまう。
はばたき学園での生活は、入学前に想像していたものとは随分と違っていて、まるで一生分の学校生活を送らせてもらったような気がしていた。充実、していた。〝学校生活〟がこれきりだとしても、きっと後悔はないと思った。
さよりこ
完畢てむさんのイラストで書かせていただきました、七風です!てむさん素敵なイラストありがとうございました〜!!逢瀬『ゴメン! 急に撮影入った。また今度埋め合わせする』
待ち合わせの一時間前に届いたメッセージに、〝了解。仕事がんばれ〟と返す。突然予定のなくなった休日。何をしようかと考える。
家の掃除はこの間済ませてしまった。買い物も、不足しているものはない。高校から一人暮らしをするようになって、身の回りの事はたいてい出来るようになっていた。
「……散歩でもするか」
晴天が多いはばたき市は今日もよく晴れていた。
たまには、ひとりでこの辺を歩くのもいいかもしれない。
森林公園に足を踏み入れる。桜は散ってしまったが、まだまだ日差しは柔らかい。休日ということもあり家族連れやカップルとすれ違う。七ツ森は今頃仕事か、なんて考える。
1550待ち合わせの一時間前に届いたメッセージに、〝了解。仕事がんばれ〟と返す。突然予定のなくなった休日。何をしようかと考える。
家の掃除はこの間済ませてしまった。買い物も、不足しているものはない。高校から一人暮らしをするようになって、身の回りの事はたいてい出来るようになっていた。
「……散歩でもするか」
晴天が多いはばたき市は今日もよく晴れていた。
たまには、ひとりでこの辺を歩くのもいいかもしれない。
森林公園に足を踏み入れる。桜は散ってしまったが、まだまだ日差しは柔らかい。休日ということもあり家族連れやカップルとすれ違う。七ツ森は今頃仕事か、なんて考える。
さよりこ
完畢むんさんのイラストで書かせていただきました、風七です!むんさん素敵なイラストありがとうございました〜!!卒業旅行「七ツ森、コーヒー飲むか?」
「飲む」
声はすぐに返ってきた。帰宅してからずっと部屋に籠っているようだが、どうやらゲームや配信などではないらしい。ドアの向こうに「オッケー。あとで持ってくる」と伝えてその場を離れる。
「何してんだろうな……」
普段からパソコンの前でなにかしていることが多いが、特に最近はその時間も増えているように思う。高校最後の夏休みも目前に控えているし、夏の予定でも立てているのだろうか。
コーヒーを用意して部屋のドアをノックする。
「ドーゾ」
「邪魔したか?」
「全然。って言うか、カザマにも見せたかったし」
「え?」
そばに来るよう促され、カップを置いてパソコンの画面をのぞき込む。そこには懐かしい風景が映し出されていた。エリザベスタワー、バッキンガム宮殿、大英博物館……。どれも有名な観光スポットだ。この場所は――。
1412「飲む」
声はすぐに返ってきた。帰宅してからずっと部屋に籠っているようだが、どうやらゲームや配信などではないらしい。ドアの向こうに「オッケー。あとで持ってくる」と伝えてその場を離れる。
「何してんだろうな……」
普段からパソコンの前でなにかしていることが多いが、特に最近はその時間も増えているように思う。高校最後の夏休みも目前に控えているし、夏の予定でも立てているのだろうか。
コーヒーを用意して部屋のドアをノックする。
「ドーゾ」
「邪魔したか?」
「全然。って言うか、カザマにも見せたかったし」
「え?」
そばに来るよう促され、カップを置いてパソコンの画面をのぞき込む。そこには懐かしい風景が映し出されていた。エリザベスタワー、バッキンガム宮殿、大英博物館……。どれも有名な観光スポットだ。この場所は――。