hiehiereitoko
DONE過去も想い出も一緒に食っちまおうぜ (晴天の中、ぼくたちは相合傘をするの同人誌再録)サンタとクリスマスのジュン要
過去も想い出も一緒に食っちまおうぜ過去も想い出も一緒に食っちまおうぜ
過去も想い出も一緒に食っちまおうぜ
「さざなみ、この赤いひとよく見るのですけどクリスマスと何か関係あるんですか」
これを言われたとき、オレは古典的にずっこけそうになった。
季節はすっかり冬で、気温は一桁台が日常化していき、吐いた息がすっかり白くなった12月。
リハビリがてら散歩というか。気取った、少しの期待を込めた言い方を許してもらえるのなら、デートしていたときのことだった。
デート。
その言い回しはどこかオレの心を高揚させる。どこか色めいたものになっていくせいで照れくさい。
街中はいつのまにか赤や白、または緑に彩られ、あたりには軽快なクリスマスソングのイントロが流れている。夢みたいに平和そのものの世界だった。
4959過去も想い出も一緒に食っちまおうぜ
「さざなみ、この赤いひとよく見るのですけどクリスマスと何か関係あるんですか」
これを言われたとき、オレは古典的にずっこけそうになった。
季節はすっかり冬で、気温は一桁台が日常化していき、吐いた息がすっかり白くなった12月。
リハビリがてら散歩というか。気取った、少しの期待を込めた言い方を許してもらえるのなら、デートしていたときのことだった。
デート。
その言い回しはどこかオレの心を高揚させる。どこか色めいたものになっていくせいで照れくさい。
街中はいつのまにか赤や白、または緑に彩られ、あたりには軽快なクリスマスソングのイントロが流れている。夢みたいに平和そのものの世界だった。
hiehiereitoko
DONE11/23新刊①成人ジュン要短編集「晴天の中、ぼくたちは相合傘をする」から1作。明るくない。(というかこの本、全体的に暗い)
さざなみって酒ダメですよね。あんな酒瓶に溢れて、ゴミに溢れて過ごしたことってなかなか消えないよね。それどころか思い出すよねって話。
またお別れね、次の世界でまた会えるから思い出すのは、夢の残骸からできた腐乱死体だった。
生成されてしまった哀しき化け物(親)に子供は拒否権を持たない。
叶えられなかった、そうして押し付けられた夢は色味を失ったままで色濃く悪臭を残していた。
「さざなみ」
「…………」
「ぼくにいばらから連絡が来ました。大丈夫そうなら大丈夫と返してください、と書いてありました」
「…………あ、ああ、だいじょ」
オレは扉ごしに会話をしている。便器と部屋を分けるための茶色い狭いドア。狭い、閉じこもった密室から、外にいる要の声を聞いている。
蒸し暑いのか空気が湿っているわりに、身体の震えは止まらず、ずっと寒いままだった。
力の抜けた身体は、モノが落ちるように、ぐったりと便座のふたに落ちていた。
7069生成されてしまった哀しき化け物(親)に子供は拒否権を持たない。
叶えられなかった、そうして押し付けられた夢は色味を失ったままで色濃く悪臭を残していた。
「さざなみ」
「…………」
「ぼくにいばらから連絡が来ました。大丈夫そうなら大丈夫と返してください、と書いてありました」
「…………あ、ああ、だいじょ」
オレは扉ごしに会話をしている。便器と部屋を分けるための茶色い狭いドア。狭い、閉じこもった密室から、外にいる要の声を聞いている。
蒸し暑いのか空気が湿っているわりに、身体の震えは止まらず、ずっと寒いままだった。
力の抜けた身体は、モノが落ちるように、ぐったりと便座のふたに落ちていた。
hiehiereitoko
DONEいつぞやかの展示にしてたらしいジュン要イメソン語り2022年なんで今と言ってること違うかも。
ジュン要イメソン①ジュン要イメソン語り
こんなものを展示にしようと思った時点で気が狂っているとは思う。だけど、せっかくなので読んでください。
子供じゃないもん17/大森靖子
これをイメソンって言ったら石を投げられそう。大森靖子をイメソンにしないでほしい。でもそういうところがある。そういうところはある。
要は子供じゃないね。そうだね。子供じゃないもんって言う子供だよ。かわいい(最悪)
願望として「恋はいけないことなんて教えてくれなかったじゃないですか」って言ってほしい。言ってほしい。いつ言うかな。
願望としてお兄ちゃんよりも巽先輩の前っぽいのが悲しいな。お兄ちゃんのキレるところそこなんだか。お兄ちゃんは要に自分より巽先輩を選ぶと最悪になるので。
1973こんなものを展示にしようと思った時点で気が狂っているとは思う。だけど、せっかくなので読んでください。
子供じゃないもん17/大森靖子
これをイメソンって言ったら石を投げられそう。大森靖子をイメソンにしないでほしい。でもそういうところがある。そういうところはある。
要は子供じゃないね。そうだね。子供じゃないもんって言う子供だよ。かわいい(最悪)
願望として「恋はいけないことなんて教えてくれなかったじゃないですか」って言ってほしい。言ってほしい。いつ言うかな。
願望としてお兄ちゃんよりも巽先輩の前っぽいのが悲しいな。お兄ちゃんのキレるところそこなんだか。お兄ちゃんは要に自分より巽先輩を選ぶと最悪になるので。
まこつ
DONEHiMERU誕のジュン要。大遅刻すみません。要の希望で誕生日にテーマパークに行くことになったジュンと要。兄の粋な計らいもあり、テーマパークデートを楽しむ二人の少しドタバタで甘い一日。
要くん元気時空。付き合っていてキスは何回か。それ以上はまだ模索中。十条兄弟はES近くのマンションで同居中。
オブリガート読了推奨です。
precious/ジュン要「…これを」
要の誕生日の1週間前。寮の談話室にいる時、瓜二つの兄からなにやら長細い封筒を手渡された。
「何すか?」
「まあ、紙で渡すようなものでもないのですが…開けてみてください」
言われるがまま開封すると、出てきたのは三つ折りにされたコピー用紙。
何かの書類かと折りを開き、書かれている内容を見てぎょっとした。
「予約確認…7月7日◯◯ホテル……って、え!?な、なんすかこれ」
誕生日当日、要の希望で某テーマパークへ行くことになっていた。
行ったことがないというのはお互い様で、少し不安もあったがアプリもあるしなんとかなると経験者から聞いて安堵していたところだった。
暑い時期。まだ病み上がりな要を長時間炎天下には置けないと出発は午後からのんびり行く予定になっている。要の体力を見て、もちろん当日中に帰る予定だった。
11505要の誕生日の1週間前。寮の談話室にいる時、瓜二つの兄からなにやら長細い封筒を手渡された。
「何すか?」
「まあ、紙で渡すようなものでもないのですが…開けてみてください」
言われるがまま開封すると、出てきたのは三つ折りにされたコピー用紙。
何かの書類かと折りを開き、書かれている内容を見てぎょっとした。
「予約確認…7月7日◯◯ホテル……って、え!?な、なんすかこれ」
誕生日当日、要の希望で某テーマパークへ行くことになっていた。
行ったことがないというのはお互い様で、少し不安もあったがアプリもあるしなんとかなると経験者から聞いて安堵していたところだった。
暑い時期。まだ病み上がりな要を長時間炎天下には置けないと出発は午後からのんびり行く予定になっている。要の体力を見て、もちろん当日中に帰る予定だった。
まこつ
DONE玲明学園を卒業したジュンが入院中の要に会いに行く話。自分だけ卒業した後ろめたさを抱えながら病院に行くと、要から渡したいものがあると言われて——
ジュン要未満、友情の話。シリアスめ。
オブリガート読了推奨。
春がくる/ジュン要冬を超えて生暖かくなった春の気配を感じながら、通い慣れた病院への道を行く。
昨日は玲明学園の卒業式だった。寮に戻ったりESに報告しに行くと、ユニットメンバーや他のアイドルからたくさん祝いの言葉をもらった。
特待生としての卒業。それを思う度、やってやったという気持ちと、これから会う人への負い目を同時に感じる。
おめでとうの言葉を言われるのもむず痒い。いっそお前だけずるいと罵ってくれた方がマシだ。いつもの上から目線で、偉そうな口調で。
そんなことを思っている間に病院に到着した。いつもより少し重い足取りで病室に向かう。
コンコン、とドアをノックすると、落ち着いた声色の返事が返ってきた。引き戸をカラカラと開けると、ベッドに座る勿忘草色の髪。
4621昨日は玲明学園の卒業式だった。寮に戻ったりESに報告しに行くと、ユニットメンバーや他のアイドルからたくさん祝いの言葉をもらった。
特待生としての卒業。それを思う度、やってやったという気持ちと、これから会う人への負い目を同時に感じる。
おめでとうの言葉を言われるのもむず痒い。いっそお前だけずるいと罵ってくれた方がマシだ。いつもの上から目線で、偉そうな口調で。
そんなことを思っている間に病院に到着した。いつもより少し重い足取りで病室に向かう。
コンコン、とドアをノックすると、落ち着いた声色の返事が返ってきた。引き戸をカラカラと開けると、ベッドに座る勿忘草色の髪。
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DONEジュン要。病み軸。リスカして、心因性咳嗽状態になってる要の話。
リスカは呼吸って誰か言ってませんでしたっけ。言ってなかったらまた言うね。今日の呼吸です。
これが地球で最後の日でも これが地球で最後の日でも
ぼくはきっと明日も生きているのかもしれません。
消えてしまいたいという衝動とどうしようもない情動で息を殺しじっと耐えている。
忘れてしまいたい記憶も、このままじっとしていれば消え去ってくれるのだと、淡い期待を抱きながら。
慢性的なリストカットに救いなどないことくらいもうぼくはわかっていた。
切るから楽になる、はいつしか切っても楽にならないが、切らないともっと苦しいに変わっていくのだ。
マイナスにマイナスをかけたらプラスになると聞いたことがあったのに、現実はどうだろう。
マイナスにマイナスを重ねてさらに落ちていくだけだ。
「……っ……うっ……」
ベッドの上で正座して、ぽろぽろと大粒の涙を流しながらただひたすら切ることに没頭する。電気は付けていない。窓から人工的なオレンジ色のライトの光が少し入ってくる程度だ。
2334ぼくはきっと明日も生きているのかもしれません。
消えてしまいたいという衝動とどうしようもない情動で息を殺しじっと耐えている。
忘れてしまいたい記憶も、このままじっとしていれば消え去ってくれるのだと、淡い期待を抱きながら。
慢性的なリストカットに救いなどないことくらいもうぼくはわかっていた。
切るから楽になる、はいつしか切っても楽にならないが、切らないともっと苦しいに変わっていくのだ。
マイナスにマイナスをかけたらプラスになると聞いたことがあったのに、現実はどうだろう。
マイナスにマイナスを重ねてさらに落ちていくだけだ。
「……っ……うっ……」
ベッドの上で正座して、ぽろぽろと大粒の涙を流しながらただひたすら切ることに没頭する。電気は付けていない。窓から人工的なオレンジ色のライトの光が少し入ってくる程度だ。
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DONEHiMERU(18)、業界未経験。ジュン要であり、モブひめ(モブ要)
あまりにバニーHiMERUと(RE)PLAYさざなみがキャストとボーイだったんで風〇パロ。全年齢。
何でも読めるひとのみ、どうぞ(いつものこと)
HiMERU(18)、業界未経験。「ちょっとジュン」
「はいはい。なんですかぁ~~?」
「先ほど指名していただいた〇〇さん居るじゃないですか」
「あ、あぁ、HiMERUを指名したんでしたっけ。そのひとがどうかしたんですか」
「そのひと、じゃなくてお客様と言いなさい。咄嗟のときにジュンは何言うかわからないので!
下手なこと言って、クレームやらなんやらで店の評判にも関わってくるんですからね~~?」
「え~……。オレ別にキャストでもないし、茨みたいに受付とかするわけでも管理するわけでもないんですけど……。
それより、そのひとがどうかしたんですか」
「それがですね。まだキャストが到着してない様子で電話がかかってきたんですよねえ」
「……そのキャスト、もしかしてHiMERUですか」
3272「はいはい。なんですかぁ~~?」
「先ほど指名していただいた〇〇さん居るじゃないですか」
「あ、あぁ、HiMERUを指名したんでしたっけ。そのひとがどうかしたんですか」
「そのひと、じゃなくてお客様と言いなさい。咄嗟のときにジュンは何言うかわからないので!
下手なこと言って、クレームやらなんやらで店の評判にも関わってくるんですからね~~?」
「え~……。オレ別にキャストでもないし、茨みたいに受付とかするわけでも管理するわけでもないんですけど……。
それより、そのひとがどうかしたんですか」
「それがですね。まだキャストが到着してない様子で電話がかかってきたんですよねえ」
「……そのキャスト、もしかしてHiMERUですか」
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DONE剃刀を買ったことを見つけてしまうさざなみとリスカを隠す要の話。ジュン要。病み軸。
仕方ないさこれで終わりエスカレート、していくもんなんだなきっと。
よくは知らないけど、だいたいなんでも、そうだ。
少しだけだからと言ってギャンブルに突っ込み、一本だけだからと言って酒を飲み。結果、止まることなどできずに己を壊していく。
依存症になっても、害をきたしても改善するどころか、悪化の一途を辿る。
そのような感覚。
刺激はどんどん少なくなり、ひとつ、またひとつと強めていく。増やしていく。
だからと言って、剃刀が引き出しにしまわれていたことに動揺しない理由にはならなかった。
人間の一般的な生態を考えたところで、落ち着きなどできなかった。
ビニール袋ごと無造作に突っ込まれた、フェイス用のガードなし剃刀。三本入りのお徳用パック。
絶対顔の手入れするならあんたは安全ガードが付いてないとだめだろ、とは思う。危ないから。
2081よくは知らないけど、だいたいなんでも、そうだ。
少しだけだからと言ってギャンブルに突っ込み、一本だけだからと言って酒を飲み。結果、止まることなどできずに己を壊していく。
依存症になっても、害をきたしても改善するどころか、悪化の一途を辿る。
そのような感覚。
刺激はどんどん少なくなり、ひとつ、またひとつと強めていく。増やしていく。
だからと言って、剃刀が引き出しにしまわれていたことに動揺しない理由にはならなかった。
人間の一般的な生態を考えたところで、落ち着きなどできなかった。
ビニール袋ごと無造作に突っ込まれた、フェイス用のガードなし剃刀。三本入りのお徳用パック。
絶対顔の手入れするならあんたは安全ガードが付いてないとだめだろ、とは思う。危ないから。
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DONEサンタクロースを知らない要と、そんなことも知らねぇのか……と思いつつ自分にも来たことがないから「いい子にしてるといいらしいっすよ」と曖昧で語気が弱まっていくさざなみのクリスマス話。はいはい。あんたはいい子だよ。オレが保証する。
未来軸。さざなみ、要両方とも19。退院してふたりで過ごしている。Merry Xmas
過去も想い出も一緒に食っちまおうぜ「さざなみ、この赤いひとよく見るのですけどクリスマスと何か関係あるんですか」
これを言われたとき、オレは古典的にずっこけそうになった。
季節はすっかり冬で、気温は一桁台が日常化していき、吐いた息がすっかり白くなった12月。
リハビリがてら散歩というか。気取った、少しの期待を込めた言い方を許してもらえるのなら、デートしていたときのことだった。
街中はいつのまにか赤や白、または緑に彩られ、あたりには軽快なクリスマスソングのイントロが流れている。夢みたいに平和そのものの世界だった。
そんななか、デフォルメされたサンタクロースを指しながら要は不思議そうな顔をしていた。
「嘘だろ……」
「今すごく失礼なこと考えましたね。さざなみの考えることくらいぼくにはお見通しなのですよ」
3464これを言われたとき、オレは古典的にずっこけそうになった。
季節はすっかり冬で、気温は一桁台が日常化していき、吐いた息がすっかり白くなった12月。
リハビリがてら散歩というか。気取った、少しの期待を込めた言い方を許してもらえるのなら、デートしていたときのことだった。
街中はいつのまにか赤や白、または緑に彩られ、あたりには軽快なクリスマスソングのイントロが流れている。夢みたいに平和そのものの世界だった。
そんななか、デフォルメされたサンタクロースを指しながら要は不思議そうな顔をしていた。
「嘘だろ……」
「今すごく失礼なこと考えましたね。さざなみの考えることくらいぼくにはお見通しなのですよ」
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DONEジュン要。さざなみと漣とそしてその未来の話。要と呼ぶさざなみがいる。
限りある瞬間を抱きしめたいよ 眠れないとき、そっと寝返りを打ちスマートフォンを浮かび上がらせる。
時刻は22:14と何かをするには微妙な時間帯であり、なんとなく持て余した。
今日のぶんのトレーニングは済ませてあるし、走り込みに行くなら朝のほうがいい。
「オレも……別に寝起きが悪いほうでもないんですけどねぇ」
隣にいる要を起こさないようにそっと呟いた。
これぐらいでは起きないと知っているけれど念のため。
気遣いはあるに越したことはないし、別段それが苦痛ではないと気付いたときはいつだっただろうか。
「さざなみって意外と気が利きますよね……」
なんて訝しげに言われたことがある。心外だ。
所作や生き方がお上品なものではないと言い切るだけの雑さは持ち合わせているものの、人並みくらいの丁寧さはなくはないつもりだ。
1620時刻は22:14と何かをするには微妙な時間帯であり、なんとなく持て余した。
今日のぶんのトレーニングは済ませてあるし、走り込みに行くなら朝のほうがいい。
「オレも……別に寝起きが悪いほうでもないんですけどねぇ」
隣にいる要を起こさないようにそっと呟いた。
これぐらいでは起きないと知っているけれど念のため。
気遣いはあるに越したことはないし、別段それが苦痛ではないと気付いたときはいつだっただろうか。
「さざなみって意外と気が利きますよね……」
なんて訝しげに言われたことがある。心外だ。
所作や生き方がお上品なものではないと言い切るだけの雑さは持ち合わせているものの、人並みくらいの丁寧さはなくはないつもりだ。
hiehiereitoko
DONE体不ワンドロ作。テーマ「白湯」「不安」
ジュン要。
バッドエンドの続きを「なに座り込んでんだよ」
ばくばくと煩い心臓の音の中に清涼感のある鈴の音が響いた。
振り返らなくてもわかる。だってぼくはそのひとのことをよく知っているから。
……不本意ですけど。
ぼくは巽先輩とのライブに備え、ひとりになりたいと言って講堂の舞台袖から離れた。だから今いるところはどこか非常階段の隅である。誰も通らなそうな場所を選んだから。
巽先輩にはちょっと外の空気を吸ってくるだけ、と言い残して。
「なんですか……。見ての通り、ぼくは今忙しいのですよ」
「忙しいんなら座り込んでる場合じゃないだろ。具合でも悪いのか」
「そ、そんなことないのです。ぼくは体調管理も完璧なのです」
首から、水滴がつつーと流れて落ちていく。熱くなっている全身に対して、その汗は冷たい。熱さと冷たさのコントラストが気持ち悪い。
3008ばくばくと煩い心臓の音の中に清涼感のある鈴の音が響いた。
振り返らなくてもわかる。だってぼくはそのひとのことをよく知っているから。
……不本意ですけど。
ぼくは巽先輩とのライブに備え、ひとりになりたいと言って講堂の舞台袖から離れた。だから今いるところはどこか非常階段の隅である。誰も通らなそうな場所を選んだから。
巽先輩にはちょっと外の空気を吸ってくるだけ、と言い残して。
「なんですか……。見ての通り、ぼくは今忙しいのですよ」
「忙しいんなら座り込んでる場合じゃないだろ。具合でも悪いのか」
「そ、そんなことないのです。ぼくは体調管理も完璧なのです」
首から、水滴がつつーと流れて落ちていく。熱くなっている全身に対して、その汗は冷たい。熱さと冷たさのコントラストが気持ち悪い。
まこつ
DONE要くん入院中のジュン要。あらすじ
いつものように見舞いにいくとさざなみの歌が聞きたいと要にせがまれるジュン。そこから過去の思い出話になり、自分の気持ちを段々理解していく要。
ある日ジュンにリハビリに付き合ってもらううちに想いが溢れてしまった要は…。
これで付き合ってないの?という付き合う前のイチャイチャジュン要から実を結ぶまで。付き合った後のジュン要もいいけど告白が好きすぎて二作目です。
その手を離さない/ジュン要要が入院している病室。オフの日の昼前、ジュンは差し入れのプリンをコンビニで買って病院を訪れた。
今日は「さざなみの曲が聴きたいのです」というリクエストから、部屋で眠っていた未使用のイヤホンも持ってきた。この部屋にはテレビもCDプレイヤーもない。スマホも持っていないそうで、連絡はもっぱら兄のHiMERU伝い。そういったものを再生できるのはHiMERUがいる時だけだという。今日の曲を聞かせるのだって、一応HiMERUに聴かせてもいいかと許可を取ったくらいだ。
本人は「前は思い出して混乱して、パニックになったりしましたけど、もう大丈夫なのです」と言っていたが。
「これ、イヤホン」
「ありがとうございます。ふふ、楽しみですね」
10467今日は「さざなみの曲が聴きたいのです」というリクエストから、部屋で眠っていた未使用のイヤホンも持ってきた。この部屋にはテレビもCDプレイヤーもない。スマホも持っていないそうで、連絡はもっぱら兄のHiMERU伝い。そういったものを再生できるのはHiMERUがいる時だけだという。今日の曲を聞かせるのだって、一応HiMERUに聴かせてもいいかと許可を取ったくらいだ。
本人は「前は思い出して混乱して、パニックになったりしましたけど、もう大丈夫なのです」と言っていたが。
「これ、イヤホン」
「ありがとうございます。ふふ、楽しみですね」
hiehiereitoko
DONEメンヘラ要/ジュン要リスカの手当てをする話。
許されるようなそんな気がしてびりびりと痺れた腕が真っ赤になって、変色していく。
頭がぼやけて、雲の上に乗っている心地がする。
そんな時、ドアの開閉音が鳴った。ガチャっと静かでも、かといってうるさくもない音が響く。
誰、かなんて考えることもない。この家の住人はぼくとさざなみだけなのだから。
「HiMERU」
「……なんですか」
呼ばれた。
さざなみがぼくの名前を呼ぶ。
だからひと呼吸置いて、なんでもない顔をして口を開く。
「…………」
なのに、さざなみは黙ってしまった。何かを言いたげにしたかと思えば、特に声になることなく飲み込まれていく。
呼んだくせに何も喋らない。
「さざなみ」
「なんだよ」
「言いたいことがあるならはっきり言うといいのです」
「まぁ……それはそうだけど」
2753頭がぼやけて、雲の上に乗っている心地がする。
そんな時、ドアの開閉音が鳴った。ガチャっと静かでも、かといってうるさくもない音が響く。
誰、かなんて考えることもない。この家の住人はぼくとさざなみだけなのだから。
「HiMERU」
「……なんですか」
呼ばれた。
さざなみがぼくの名前を呼ぶ。
だからひと呼吸置いて、なんでもない顔をして口を開く。
「…………」
なのに、さざなみは黙ってしまった。何かを言いたげにしたかと思えば、特に声になることなく飲み込まれていく。
呼んだくせに何も喋らない。
「さざなみ」
「なんだよ」
「言いたいことがあるならはっきり言うといいのです」
「まぁ……それはそうだけど」
まこつ
DONE要くん元気時空。要くんが退院してからのジュン要。いつのまにかジュンくんを好きになっていた要くんが、気持ちを伝えたいけど今の関係を壊したくないと迷う話。
ハッピーエンド。
オブリガートの設定含みます。読了推奨。
二人の関係を思う時、美しいなと思います。
友達以上はダメですか【ジュン要】退院して、もう4ヶ月が経った。まだ通院はしているけれど、街に出かけたりも出来るようになったのです。
今日はさざなみが美味しいケーキ屋さんのケーキを持って遊びにきてくれました。ちなみにお兄ちゃんは仕事です。
さざなみは、入院している時から足繁くお見舞いに来てくれて、こうやって退院してからもあまり外に出られないぼくに合わせて家に遊びに来てくれます。お兄ちゃんはあまりいい顔をしませんが。
さざなみはぼくの過去を知る人なのに、あの忌まわしい玲明学園の生徒なのに、一緒にいると心が穏やかになるのです。特待生でもそうでなかった時も、変わらず接してくれて。入院中も今も、さざなみの接し方は変わらないのです。
ぼくを、何者でもないぼくを見てくれているんだと、ぼくとお兄ちゃんとよく似た瞳の色を見て思うのです。
3614今日はさざなみが美味しいケーキ屋さんのケーキを持って遊びにきてくれました。ちなみにお兄ちゃんは仕事です。
さざなみは、入院している時から足繁くお見舞いに来てくれて、こうやって退院してからもあまり外に出られないぼくに合わせて家に遊びに来てくれます。お兄ちゃんはあまりいい顔をしませんが。
さざなみはぼくの過去を知る人なのに、あの忌まわしい玲明学園の生徒なのに、一緒にいると心が穏やかになるのです。特待生でもそうでなかった時も、変わらず接してくれて。入院中も今も、さざなみの接し方は変わらないのです。
ぼくを、何者でもないぼくを見てくれているんだと、ぼくとお兄ちゃんとよく似た瞳の色を見て思うのです。
まこつ
DOODLEソリッドステージ(Exceed)時空のジュン要。落ち込むジュンくんと元気づける要くん。
読み返したらここに要くんいてほしいな…!となったので思いつきで。
Developing休日の昼下がり。いつものように要の家で余暇を過ごす。最近はボードゲームなどを持ってきて一緒に遊んだりオススメの漫画の感想なんかを話したり、アニメ化した映像を一緒に見たりしている。
今日も最近ハマっているボードゲームをしていたのだが、ついボーッとしてしまう瞬間が多かった。
「何か悩んでいるのですか?」
「え?ああいや…別に。なんでもねえよ」
ついに心配そうな目線を向けられてしまってたじろぐ。あまり心配をかけたくないという気持ちと、弱っている姿を見せるのが恥ずかしいという気持ちからついそっけない態度をとってしまう。
「でも、今日のさざなみは変なのです。上の空ですし、空返事ですし。疲れているなら、無理に会わなくても良かったのです」
2827今日も最近ハマっているボードゲームをしていたのだが、ついボーッとしてしまう瞬間が多かった。
「何か悩んでいるのですか?」
「え?ああいや…別に。なんでもねえよ」
ついに心配そうな目線を向けられてしまってたじろぐ。あまり心配をかけたくないという気持ちと、弱っている姿を見せるのが恥ずかしいという気持ちからついそっけない態度をとってしまう。
「でも、今日のさざなみは変なのです。上の空ですし、空返事ですし。疲れているなら、無理に会わなくても良かったのです」
まこつ
DONEジュンくん誕生日のおまけストーリー。誕生日パーティー後要くんに会いに行くジュンくんと、保護者サイドのHiMERUと日和の話。
ジュン誕余談/ジュン要ESでの誕生日パーティーが無事に終わりお開きになる。大量の誕生日プレゼントは後で部屋に届けてもらえるらしいので、帰る時も手ぶらでいいのが楽だ。
ポケットからスマホを取り出して時間を確認すると、夕ご飯には少し早いくらいの時間だった。
今日はパーティーがあるため会わない予定だったが、日付が変わった瞬間にかかってきたお祝いの電話のせいで今日の予定が終わったら会いに行く、と恋人に言ってしまった。そして言った手前、約束は守らなければ。
電話口の声を思い出して、もう少しで会えると思うとパーティーの時とは違う高揚感に胸が躍る。
ほとんどの人が会場から出たのを確認して、自分もレスティングルームを後にしようと一歩を踏み出した時だった。
4145ポケットからスマホを取り出して時間を確認すると、夕ご飯には少し早いくらいの時間だった。
今日はパーティーがあるため会わない予定だったが、日付が変わった瞬間にかかってきたお祝いの電話のせいで今日の予定が終わったら会いに行く、と恋人に言ってしまった。そして言った手前、約束は守らなければ。
電話口の声を思い出して、もう少しで会えると思うとパーティーの時とは違う高揚感に胸が躍る。
ほとんどの人が会場から出たのを確認して、自分もレスティングルームを後にしようと一歩を踏み出した時だった。
まこつ
DONEジュンくんおたおめでジュン要でお祝いデートする話。要くん元気時空。あらすじ
水族館の招待券をもらったジュンは要と水族館に行くことに。いつもと違いやけに甲斐甲斐しい要に戸惑うジュンだがそれには理由があるらしく…。
要→←←→→←←←←ジュンみたいな感じで好きが溢れている甘々です。
付き合ってしばらく経っていて一通り経験済み。
追憶オブリガートのネタバレ有り。おまけにクレビメンツ出ます
【ジュン誕】要くんは祝いたい/ジュン要今日はオフの日のお出かけ。という名のデートの日。
日和は個人の仕事だし、寮を出る時に色々言われる心配もない。
いつもより服装に悩んでいたらこはくに冷やかされて思わず赤面したが、結局どっちの服がいいかと女子みたいな相談をしてしまった。
寮を出て街路樹の蝉が忙しなく鳴く中、病院近くのマンションへ向かう。つい足が逸って、暑いというのに気づいたら小走りにしまっていた。
マンションのエントランスに着き、空調が効いていて涼しい空気で呼吸を整える。馴染みの部屋番号を呼び出すと、聞きたかった声がスピーカーから聞こえてきた。
『さざなみ!早かったですね。もう少ししたら行くので待っていてください』
「いや、いいよ。しばらくかかるんだったら部屋まで行く」
12674日和は個人の仕事だし、寮を出る時に色々言われる心配もない。
いつもより服装に悩んでいたらこはくに冷やかされて思わず赤面したが、結局どっちの服がいいかと女子みたいな相談をしてしまった。
寮を出て街路樹の蝉が忙しなく鳴く中、病院近くのマンションへ向かう。つい足が逸って、暑いというのに気づいたら小走りにしまっていた。
マンションのエントランスに着き、空調が効いていて涼しい空気で呼吸を整える。馴染みの部屋番号を呼び出すと、聞きたかった声がスピーカーから聞こえてきた。
『さざなみ!早かったですね。もう少ししたら行くので待っていてください』
「いや、いいよ。しばらくかかるんだったら部屋まで行く」
まこつ
DONE支部に投稿したジュン要。(小説)玲明の革命前時空のジュン要初夜。してるだけ。
初書きなので口調、語尾違いはご容赦ください。
どこのベッドとか深く考えていません。
※モブ要の表現があります
ジュン要ほんとにかわいい。
かわいいのに現在のことを考えるとつらい。
少しでも、彼らに幸せな時間が与えられますように。
パスワード
18歳以上ですか?(高校生不可)
y/n 3270
YUKIMERO_HMR
MAIKINGジュン要。昔お兄ちゃんと乗ったメリーゴーランドのことを思い出す要くんとジュンくんの話。かきかけ。【ジュン要】そういうところもかわいいよ ゲームセンターに行きたいです、なんて世界一ワガママな同級生にお願い(命令)されて学校から電車で十五分程揺られた栄えた場所にやってきた。ワガママな同級生、十条要はあまりこの辺には来たことがなかったのかショッピングセンターに入るとキョロキョロと周りを見渡していて面白かった。
「さざなみさざなみ、こんなところにメリーゴーランドがあります!すごい!」
「あ?……ああ、そういや昔乗ったことあったなぁ」
小さい頃、恐らく幼稚園とかその頃だと思う。夏休みで人が沢山いたけれど乗りたかった馬に乗れて喜んでいたような気もする。懐かしいな、なんて思っていたら隣にいた十条に服をくいくいと引っ張られる。まさか、と思ってゆっくりと後ろを振り返るとはちみつ色の瞳がキラキラと輝いていた。うそだろ、ちょっと待てよ。頼むからやめろ、なんてオレの願いがこのアホに届くわけなかった。
2190「さざなみさざなみ、こんなところにメリーゴーランドがあります!すごい!」
「あ?……ああ、そういや昔乗ったことあったなぁ」
小さい頃、恐らく幼稚園とかその頃だと思う。夏休みで人が沢山いたけれど乗りたかった馬に乗れて喜んでいたような気もする。懐かしいな、なんて思っていたら隣にいた十条に服をくいくいと引っ張られる。まさか、と思ってゆっくりと後ろを振り返るとはちみつ色の瞳がキラキラと輝いていた。うそだろ、ちょっと待てよ。頼むからやめろ、なんてオレの願いがこのアホに届くわけなかった。