独占欲 手ごたえの無くなった相手は白目を剥いていた。気が付けば顔の穴という穴から血が出てる。折れて飛び出した前歯が無様に唇に引っかかっていて、靴の先で顎を蹴り上げると口の中に溜まってた血と一緒に床に転がり出ていた。
「おい、まだ文句あるヤツいるか?」
革靴の先にこびり付いた血を床に伸びてる男の上着に擦り付けて落とす。
ひっくり返ったテーブルと割れたボトルから流れ出た酒の匂いが充満するVIPルーム。
視線を上げて見渡せば、怯えた表情の幹部連中と、その隣にはべってたキャバ嬢達が泣きながら身を寄せてこちらを見ていた。
新しいクラブを出したのに、ろくに金も作れない幹部とやらの顔を見に来た。
上納金を言われた通りに払うのは女たちが皆、子持ちが故に休みがちで、これ以上売り上げをあげるのは難しいと言い訳し出した挙句、ここは龍宮寺の息がかかってるといいやがった。
2019