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    みすみ

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    みすみ

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    おねショタな愛暦(アダ暦)というリクエストをいただいたので、挑戦してみました☺️
    おねショタ、読むのは好きだけど書くの難しかったです💦

    #アダ暦
    personsCalendar
    #愛暦
    calendar
    ##愛暦

    甘くて、アマイ 歳の差というものが、こんなにもどかしいと思う日が来るなんて。暦は内心で歯噛みをしながら、チラリと目の前の男を見る。
     普段はきっちりとセットされている鮮やかな藍色の髪は、休日という事で緩く流されている。秀でた額にかかる藍色が何やら艶めいて、それが普段よりも無防備に見えて思わず喉が鳴った。
     手元の本を眺めている紅い瞳に、伏せられたまつ毛が目元に影をつける。ソファに座って、長い足を組んでリラックスしているようで、けれどほんの僅か、どこか物憂げに見えるその姿は、まるで完成された絵画のようだ。
     今日も変わらず美しいと、思わずほぅと息をため息を吐いてしまう暦は、そんな彼の側に居る事を許されている存在なのだと思うと、誇らしいような、畏れ多いような、でも嬉しいような、複雑な気持ちを抱いてしまう。
     じじ、とレコードの盤面を針がなぞり、美しいクラシックが薄く流されたリビングは、完成された世界に迷い込んでしまったのではないかと、錯覚してしまう。
     いつまでも手元の本に気を取られている恋人にこちらを向いて欲しくて、けれど愛之介が自分を認識してしまったら、この脆い世界がバリバリと音を立てて壊れてしまうのではないかと思うと気後れしてしまって、ふかふかのラグに座って、触り心地の良いクッションを抱きしめながら、その世界が壊れないように無意識に息を潜めて、ただ愛之介に目を奪われている。
     自分ばかりが、こうして意識ばかりか心まで奪われてしまうのが悔しいというのに、仕方ないと納得してしまうのだから、どうしようもない。

     ーーだって、好きなんだ。

     窓から差し込む陽光を受け止めて柔らかく鮮やかな藍色も、夜の人工的な光を受け止めて黒々と夜の色に染まる藍色も。宝石のように、けれど飴玉のように甘く美しい紅い瞳も、白く陶器のような肌も、すっと通った鼻梁も、普段は柔らかな笑みを浮かべるのに、時折皮肉げに歪められる唇も。大きな手のひらや長くバランスの良い指先も、鍛えられて引き締まった体も、嫉妬してしまうくらい長い足も。全部、全部好きだ。
     けれど、もっと好きなものがある。

    「……そんなに熱い視線を向けられると、照れるな」

     ぽつり、
     暦が必死に保っていた静寂を壊したのは、目の前の美しい男(ひと)だった。穏やかで深みのある、よく通る声が笑みを含んで暦に向けられる。たったそれだけで、心が震えた。
     思わず声が漏れそうになったのを、抱きしめたクッションに顔を埋めて耐えていると、愛之介は違う捉え方をしたらしい。
    「なんだ、拗ねてるのか?」
    「……違う」
     ようやくそれだけを口にして、そっと愛之介を見上げると、優しく見下ろしてくる紅と目が合った。
    「……おいで、暦」
     本をローテーブルに置いて、愛之介が軽く両手を広げた。そこへ、クッションを抱き締めたまま飛び込んだ。危なげなく抱きとめられて、広い胸板に鼻を擦り寄せる。ふわりと鼻腔を擽る嗅ぎ慣れた香水の香りに、心拍が上がる。
     長い腕が、暦を閉じ込めるように抱き締めてくる。もぞりと落ち着く場所を探して、しっくりくる位置を見つけると体重を預ける。ツンツンと跳ねる髪を指で梳くように撫でられて、時折耳朶に軽く触れられると擽ったさに息が漏れる。
    「あいのすけ、擽ったい」
    「擽ってるからな」
    「やめろよ、もー」
    「好きなくせに」
    「好きじゃないし」
    「……ふぅん?」
     顔を上げて、口を尖らせながら文句を言えば、愛之介が楽しそうに笑った。
     腰を引き寄せられて、額に軽く口付けられる。ちゅ、と軽い音を立てて、鼻、頬、瞼と触れられる。
    「……これは?」
     意地悪な笑みに思わず見惚れている間に、耳朶にも唇が触れる。
    「……きらい?」
     耳元で囁かれて、深い声音にぞくぞくと背筋を震わせる。思わず甘い息が漏れたのを揶揄うように、首筋にも触れられる。
    「れき、答えて?」
    「……好き」
    「よくできました」
     ご褒美と言うように唇に触れられて、抱き締めていたクッションに思わず力が入る。それに気づいた愛之介が、暦の鼻を軽く摘んだ。
    「ひゃにすんらよ」
    「人には読書を諦めさせた癖に、君はいつまでクッションと仲良くいちゃついてるつもりだい?」
     肌触りが気に入っているお気に入りのクッションを、ひょいと取り上げられてしまう。そのまま腰を引き寄せられて、クッション一個分の距離が縮まった。
    「い、いちゃついてないし!」
    「ふぅん。じゃあ、僕とは?」
    「へ?」
     ゆるりと細められた紅が、柔らかく溶ける。その美しさに思わず息を呑めば、そっと唇を塞がれた。やわやわと唇を食まれて、堪えきれずに甘えたような声が漏れる。
     太い首に両腕を回して、引き寄せるように続きを強請ると、仕方ない子だなと笑われる。それでも欲しくて仕方なくて、拙く唇を重ねた。
    「……ん、はぁ」
     ぺろりと唇を舐めると、同じように舐め返される。角度を変えてそっと唇を開くと、そこから肉厚な舌が滑り込んできた。歯列をなぞって顎の裏を撫でるように擽る舌を甘噛みすると、びくりと舌が震える。その舌をちゅうと吸うと、舌同士を擦り合わせるように動かれて、腰が重たくなる。
     唇だけでなく、引き寄せられるまま、愛之介の両足にまたがって、胸も腹もぺたりとくっつけるくらいにくっついて、夢中になってお互いを求める。もっと、もっとと体を擦り寄せて、お互いの腕に力がこもっていくのが止められない。
     ぐちゅぐちゅと唾液が混ざり合い、流し込まれたものを嚥下して、飲み込みきれなかった分が口の端から溢れても、お互いの唇を求めるのを止められない。
     体が熱くなって、その熱が段々一箇所に集中していく。ぐるぐると渦巻く熱が苦しくてもどかしくて、思わず腰が揺れて愛之介の脚に押し付けるようになってしまう。
    「……っあ、」
    「もう、我慢できないのか?」
    「ちが、う……っ」
     ゆるゆると昂りを撫でるように触れられて、息を詰める。それを宥めるように唇に口付けられて、与えられるじわりとした快感に、目元が熱くなる。
    「暦は、気持ちの良いことが好きだものな?」
    「……っち、ちがう」
     確かめるような、言い聞かせるような言い方に、暦は必死に首を振って否定する。
    「じゃあ、嫌い?」
     首を傾げて問いかけてくる愛之介の額に、さらりと藍色の髪が流れる。どこか無防備な仕草に、鼓動が跳ねて仕方ない。
    「……すき」
     思わず溢れた言葉に、愛之介の笑みが深まる。
    「よくできました」
     髪を撫でられて、褒められた事が嬉しいような、嬉しくないような。けれど、そんな事を考えられなくなるようなキスを与えられて。どんどん深くなる口付けに、パーカーの裾から忍び込んでくる大きな手のひらに、散々教え込まれて覚えてしまった快感が、ぞくりぞくりと肌をざわめかせる。
    「……あいのすけ」
    「良い子だな、暦は」
     キスの合間、互いを銀糸が繋ぐのをぼやけた視界に収めながら、熱に浮かされたように名前を呼ぶ。思わず耳を塞ぎたくなるくらい甘えた声を、けれど愛之介は良い子だ、と繰り返す。
    「今日はちゃんと好きと言えたから、沢山ご褒美をあげようか」
     腹から胸へのなだらかな曲線をゆっくりと撫で上げて、既に固くなっている胸の飾りに指先が触れる。それだけでびくりと体を揺らす暦を満足そうに眺めて、ぺろりと赤い舌を見せつけるように己の唇を舐める愛之介に、期待して喉を鳴らしてしまう。
     そんな暦を優しくソファに押し倒して、愛之介は綺麗な笑みを浮かべて、暦の頬を優しく撫でた。

    「……良い子だね、れき」

     濃さを増した紅い瞳に目を奪われて、欲望で掠れた声に耳を奪われて、いつの間にか逃げ場をなくした事に気づいた時には、もう手遅れで。
     逃げなくてはと思うのに、心のどこかで、この恐ろしいくらいに優しくて綺麗な檻の中に閉じ込められたいと。思わず願ってしまう自分の矛盾を持て余したまま、暦はただ与えられる熱を受け止めるために腕を伸ばした。


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    みすみ

    MOURNING最早、ハロウィンてなんだろう、なネタその2(愛暦/アダ暦)です。
    書いて行くうちに、予定とだいぶ変わってしまいました……。
    🧛‍♂️の❤️さんと、その使い魔な🐱🌺くん。それと、🐺な🐍さんも登場します。
    パロな上にかなりの独自設定が入ってますので、いつも通りなんでも許せる方向けです。ぼんやりと中世ヨーロッパ辺りをご想像いただけますと幸いです💦
    そのままの君で 暦は、所謂使い魔と呼ばれる存在である。
     使い魔と言っても、種族も様々、誰に仕えるかも様々だ。猫魔族である暦が契約しているのは、吸血鬼の男だ。
     普通、猫魔族を使い魔に選ぶのは魔法使いが多い。人間の間でも、魔法使いと言えば黒猫、と連想するくらいだ。暦も、そう思う。
     けれど、それは叶わなかった。
     猫魔族は一般的に黒毛の者が多く、次いで白、茶やサビ柄が僅かに居る程度。そんな中、暦は生まれついての赤毛だった。
     いつからかは覚えていない。気がついた時には、路地裏でゴミを漁る生活をしていた。
     恐らく捨てられたのだろうというのは、暦を見た同族の反応でぼんやりと理解した。街中で使い魔として見かける猫魔族の中に、暦と同じ色をした者は居なかったから。
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