書かずとも(忠暦) 今から会えないだろうか。そんなメッセージを受信したのは、夕食を食べ終えて自室に戻ってきたタイミングだった。
会う時は必ず前日までに予定を確認してくる律儀な恋人にしては珍しい突然の誘いに、首を傾げながらも大丈夫だと返信するとすぐに反応が返ってきた。
ここで待っていると自宅から一番近い公園を指定されて、ますます珍しいと思う。
こんな時間に一体なにがあったのだろうと思いながらも、部屋に置いてあるスニーカーとボードを手に窓からいつも通り抜け出すと、こっそりと公園に向かった。
「——急にすまなかった」
「全然だいじょーぶ」
ベンチと小さな遊具があるだけの小さな公園に入ってすぐ、奥のベンチに座っている忠を見つけて駆け寄る。
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