春夏秋冬代行者パロ代行者:一織 護衛官:大和
それは、神話の時代から続く春夏秋冬を、現代に下す神様の代行者たる現人神と、代行者を守護する護衛官の日々の話。
「イチ! また約束破ったな!?」
「破ってません」
「じゃあなんで力を行使した?」
静かな冬離宮に響く怒声は、氷のように厳しくて氷柱のように鋭い。普通の人間ならその声だけで竦み上がりそうなのに、声をかけられているはずの人間は顔を背けて膝を組んでいる。偉そうな態度だけれど、その雪の花を思わせる凜とした美しさはその不遜な姿すら美しく見せる。
身につけている一級品の和服もまた濡羽色の髪と合っていて、呼気のたびにわずかに肩が沈まなければ、精巧な人形だと思われたかもしれない。
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