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    yurikoARASHIANS

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    yurikoARASHIANS

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    大正時代idaoちゃんの続き。まだ最後載せるまでの段階ではないけど流れ考えたらタイトルは決まったのでタイトル有りに。

    #イダアオ
    #いだあお
    father-in-law
    #idao
    #keki

    傷落ちの雄花~④~ 筆を置き、伸びをして、浩介を手招きする。もう恒例となりつつある流れに自然と隣に移動するも、間近で見る青木の横顔に浩介は狼狽えた。

    反射的に浩介に膝を避けられ、青木は重みのままに畳に頭を打った。
    「った!!何をするんだ浩介!」

    頑なに膝枕を拒む浩介に流石にお手上げになった青木はようやく姿勢を直し、腕を組んだ。
    「何故に拒む…?もしや、好きなおなごでも出来たのか?」
    「それは違います!」
    即座に否定する浩介を青木は意味深に見上げる…。
    「それはそうと浩介お前、この前寝入っている俺に、何をしようとした?」
    「!!」
    気付かれていたのか…浩介の顔から一気に血の気が引く…。
    「寝込みを襲うなんて卑怯な奴め」
    「す!すみません先生!あの時は…その…自身でも訳が分からず…」
    姿勢のままに土下座した。冷や汗が止まらない。もしかしたらこの仕事も今日限りで、今後一切この家の敷居を跨ぐ事さえ許されなくなるかも知れない…恐れていたのは叱責や懲罰より、青木と会える機会を永遠に失うことだった。浩介は自分の感情を改めて自覚し、驚く。

    「頭を上げろ。謝ってほしい訳ではない。何を思って、あのような行動に出た?」
    もう正直に話すより無い。浩介は覚悟を決め、口を開いた。
    「せ…先生のお着物の襟元がいつもより開いていて…その、目を逸らせなくなりました。そのうち心臓の音が早くなり、顔に熱が上がって…先生のことをもっと知りたい、触れたいと思いました」
    言っている間にまた、どんどん顔に熱が集まってくる。
    「申し訳ありませんでした。本当に…。どんな罰でも受けます」
    「ほう、どんな罰でも?」
    「はい、あの…!でもこの家に二度と入るなと、先生ともう面会を謝絶される未来を言い渡されるくらいなら、先生からお預かりしているあの瓶を飲み干す罰で今すぐ俺をこの世から…!」
    「待て待て、そう急ぐな浩介」
    「本当…です。先生と二度とお会い出来なくなる今後を考えたら、未来なんて何の意味も…」
    「それが《恋》だよ、浩介」
    思ってもない言葉に自然と顔が上がる。
    「そして俺もお前に、恋をしている」
    「え?」
    「俺が誰にでも膝枕を要求すると思っているのか?まったく鈍いな、浩介は」
    ようやく顔を上げた浩介に安堵した表情を見せ、青木は傷痕に目線を移し語り始めた。
    「お前が俺の事を抱き締めて涙を流してくれた日から、もう子供騙しに浅くしか腕を切れなくなった。先日の闇市での小瓶の買い物も本気ではなく、止めてくれるお前の行動が嬉しかったんだ。」
    「今まで説教は喰らったことはあるが、血の処理が大変だの、包帯も只ではないだの、俺の体の事なんて二の次三の次だ。でもお前は…お前だけが、俺の心配をいの一番にしてくれた。涙まで流してくれた…」
    「浩介…俺、お前のことが好きだ」
    ふにっと柔らかな感触が浩介の頬に当たった。
    たったそれだけの事に顔に熱が集まり目を背ける浩介の初々しさに、青木はまた楽しげにカラカラと笑った。
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