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    yurikoARASHIANS

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    yurikoARASHIANS

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    idaoちゃんほのぼのストーリーの続き。青木のピンチ有りです。次の⑤でラストになります~😊

    #いだあお
    father-in-law
    #イダアオ
    #idao
    #keki

    底無しに好きになって、ありがとうは積もりに積もる~④~ お揚げの去勢手術の日、青木は息を切らせて帰ってきた。
    「お揚げー!大丈夫だったかー!!?」
    「ぃにゃーーん」
    「あー元気そうで良かったー!ん?これなんだ?首に巻いてる囲いみたいなの。」
    「傷口を舐めないようにするためのものらしい。『エリカラ』とか『カラー』とか呼び方は色々で、種類も沢山あるみたいだ。ネットで眺めてるだけでもけっこう楽しいぞ。」
    病院で付けてもらったの、はシンプルに透明で白縁が付いたものだった。
    「へぇーこんなに種類あるのか。付けてるのって何日くらいになんだ?」
    「長くて2週間くらいらしい。」
    「そんじゃ、可愛いの2,3個追加してあげたいな。」
    青木は画面を忙しくスライドさせた。目を輝かせつつも、懸命に吟味しているのが分かる。豆太郎の首輪を選ぶ時も、こういう顔をしていたんだろうか…。青木の見られなかった瞬間を垣間見れたようで嬉しくなる。

    丸めると黄色い花になるもの、お揚げの目の色に合わせて夜空の模様が入ったもの、嵌めればお揚げがポンデライオン化するものを、予算も考えて青木と相談して購入した。

    「…あのさ、今日は井田、学校のあとお揚げを病院連れてったりして疲れてるから…その…ダメ、、かな?」
    真後ろを向いていても、うなじと耳の裏が真っ赤になるから、言いたいことはすぐに分かった。
    「でも明日、お前も俺も早いからな…。前だけで構わないなら…」
    「うん。あ、前だけだったらその…井田もすぐ入ってきても良いから、、ってか、まどろっこしい、最初っから一緒に行こうぜ!」
    そう言って俺の手をぐっと力強く握ると、やや強引に風呂場へと連れていかれた。青木って、たまにこういうカッコイイ所もあるんだよな…。
    好きって、更に好きになって、また更に好きになる。際限が無いんだ…。こんな幸せな気持ちを、恋も分からなかった俺に浸透させてくれた青木を、またもっと好きになった。

    次の日に早速宅配でカラーを受け取った青木はお祭りのときのようにはしゃいでいた。
    「お揚げー、次はこっちの付けてみようか♪」
    「ぃにゃあ?」
    「取り返え過ぎるのも気が散るかなー?3日か4日くらいで変えていくのがいいか?お揚げ。」
    喋りかけながらパシャパシャ撮っては何処かに送信している。大方、相多に送っているのだろう。
    「あ、既読付かなくなっちゃった。あっくん寝たなー?」
    「もうこんな時間だし、相多にだって都合あるだろ。もう今日は止めておけよ。」
    「はあーい。」
    ちょっとむくれた顔も、相変わらず可愛い。

    カラーを装着した写真を送りまくった影響なのか、最近は来る頻度がめっきり減っていた相多と橋下さんが久々に訪問してきた。
    何やら荷物がいっぱいだなと思ったら猫グッズやらご飯やらちゅーるやら、いろいろ持ってきてくれたから驚いたし、何よりありがたい。
    運動不足回避に猫じゃらし、けりぐるみ、猫用の爪切り、ブラッシングの櫛、これらは相多が選んだものらしい。
    「あっくん、俺にはセンス無いから餞別もいらねーって言ったくせに、自分はガンガン持ってくるんだから…」
    「えー、だって、俺はセンスあるもん♪」
    実際、お揚げも青木の買ってきたおもちゃより相多の買ってきたおもちゃの方が食い付きが良い。
    「ところでお二人さん、もう、正式に飼う事にしたの?」
    「大方その方向で動いてる。ペット保険もいろいろ調べ始めた。」
    「そっかー、猫一匹と言えど、飼うってなったら責任持てよ。」
    「うん、分かってるよ。」
    「動物飼うことに関しては井田が先輩だからな、青木、井田の言うことちゃんと聞くんだぞ。」
    「うん。」
    「なんかはやとくん、先生みたいでカッコイイ。」
    橋下さんが目をキラキラさせて相多を見ている。と、そこにポンデお揚げがじゃれ付いてきた。
    「うわー、本当に人懐こいんだねー。」
    「お揚げ、みおちゃんは俺の彼女なんだから狙っちゃダメだぞ~。」
    「やだ、はやとくんったら猫にまで本気になっちゃってー!!」
    真っ赤な顔で橋下さんの一手が炸裂した。
    お揚げはビビって一瞬で俺の影に隠れてしまった。まぁ、家具が破壊されなかっただけ良しとしよう。
    相多が左肩を押さえつつ
    「今日はもうおいとまするわ。久々の京都観光楽しみだなー。」
    「またなんかお揚げくんが気に入りそうなの見付けたら持ってくるねー。」
    「「じゃあまた。」」
    「「お邪魔しましたー。」」

    お揚げを含めた生活が当たり前になってきた頃にはもう、秋の風が吹き始めていた。涼しくて心地良い風を感じながら乾いた洗濯物を家に入れていると、季節外れの蝉が服に付いていたらしく、そのまま気付かず入れてしまった。
    「ひいいいい!!!」
    青木の絶叫がこだまする。
    散々家の隅々を飛んで満足したかと思ったら、今度は暗くて判別出来ないような場所に入り込んでしまったようで…。朝になれば虫の活動と朝日の明かりで出てきて見付かるだろうと、当たり前に青木は俺にガッチリ引っ付いて、震えて眠った。

    だが青木の本当の恐怖は翌朝だった。
    俺が起きて隣を見ると、珍しく青木も目を覚ましていた。昨夜同様、俺の腕にガッチリと掴まっている。が、顔の色が昨夜よりヤバい。
    「どうした?青木。」
    「せ、せ、、蝉っが…」
    昨晩行方不明になった蝉は、瀕死状態でよりにもよって青木の枕元の横に居たのだ。
    「井田…怖くて動けない…頼む。どうにかして…!」
    俺は蝉を優しくティッシュでくるむと、窓を開けて放り投げた。ああなってはもう土に返すしかないだろう。せめて安らかに眠れよと、手を合わせる。
    「蝉って、こういう習性とかあるの?」
    「蝉自身じゃなくて、多分お揚げだな。猫って、まだ全部解明されたワケじゃないけど「仲間の証」として持ってきたり「戦利品を誉めて」ってことで持ってきたり、「お土産」として持ってくることがあるらしい。」
    「そ、そうか、お揚げからのお土産…。」
    「なぁお揚げ、お土産をくれる気持ちはすごく、すっごく嬉しいんだ。でも蝉は流石に怖い!ゴキとかもやめてくれ!お願いだ、お願いします、お揚げ様!!」
    跪いて必死にお揚げにお願いしている姿まで可愛く見えてしまうのだから、俺はもう重症だ。

    お揚げは相当呑み込みが早いようで、虫のプレゼントは部屋の一角に置いて、俺だけを呼ぶようになった。
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