銀の残影 祝杯が乾くことはない。飲み干したそばから、新たな酒が注がれ、男たちの口元に運ばれる。一室の片隅に山と積まれた金品が、明日には懐を温めている。その未来図が、男たちを浮き足立たせていた。
宴は続く。各々が盗ってきたものを、魔法の灯りに照らしながら、持ち主がいかに愚鈍で間抜けだったのか、大げさな身振り手振りを交えて、自慢げに解説している。盗ってきた物が、高価な品であればあるほど、品評会は盛り上がった。
「ーーそうして手に入れたのが、この指輪ってわけだ」
歓声がわっとあがり、杯をぶつけ合う音が響く。家には結界と、防音の魔法をかけているので、遠慮をする必要はない。もっとも魔法をかけていなくとも、遠慮などしなかっただろうが。
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