嘘か実か「何で。そんなものを」
「いいから、貸しなさいよ」
「……パジャマなんて、持ってないぞ」
「え、どうして」
「………パジャマなんて着なくても。それこそ…、Tシャツとかで、寝れるだろ」
「そう、分かったわ。じゃあ私がプレゼントするから」
「……はあ?」
「日頃たくさんお世話になっているし! お礼として渡させて、ね」
「いやいや、何で」
「そうしたら、貸してちょうだいね! 絶対よ」
という訳の分からない会話を経て。今渡されたのは、可愛らしく透明の袋にパッケージされている、ネル生地のパジャマ。
手にしたものの、唖然としてそれを見つめてしまう。深い緑色が基調のマドラスチェック柄で、前ボタンのシックながらもお洒落なもの。いや、こんなもの着て寝たら暑くてたまらないのでは、と見当違いの困惑も抱きながら志保を見ると。至ってご機嫌で、すぐ降谷の手からその袋を取り戻した。
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