すれ違う廊下冬休みが終わり、雪がまだ残る校舎の裏庭を抜け、スティーブとバッキーは並んで寮へと戻ってきた。
手にはそれぞれ、実家から持ち帰った荷物。少し重たいけれど、肩を並べて歩くこの時間が、楽しくもあった。
ドアを開けると、二人の部屋は数週間前と変わらずそこにあった。
スティーブがバッグをベッドに置きながらちらりと視線を向けると、バッキーの手元の鍵にふと目が留まる。
黒革に《B》の刻印が入った、あのキーチェーン。
スティーブが年末、少し緊張しながら渡したプレゼントだった。
「……ちゃんと、つけてくれてるんだ。」
思わずこぼれた言葉は、自分でも気づかないくらい小さな声だった。
けれど、すぐそばにいたバッキーには、しっかりと届いていたようで。
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