裏返しのメッセージ「!あぁ、おはよう。モリアーティ。キミが出勤してくるのを待っていたんだ」
「…………」
オフィスに足を踏み入れたと同時。相方であるシャーロック・ホームズの朗らかな声と気持ち悪いほどの清々しい笑顔がモリアーティを出迎えた。否応なしに、眉間のシワが深くなる。
長年バディを組んでいるとはいえ、可愛げのない態度と生意気な口がデフォルトのあのホームズが、まるでいつもとは別人のような態度を見せれば当然とも言えるだろう。
目の前の異様な光景にこれ以上は足を踏み入れてはいけない、そう野生の勘が告げている。
この男がこういう態度を見せるときは決まって必ず〝なにかある〟ときか、もしくは〝キめている〟ときのどちらかだ。
一度、目頭を押さえ相変わらず笑顔を向けてくるホームズは無視して、部屋の奥に鎮座する柳生へとモリアーティは視線を移す。
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