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    村人A

    @villager_fenval

    只今、ディスガイア4の執事閣下にどハマり中。
    小説やら色々流します。

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    村人A

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    キャラ界を舞台にした話。
    これが彼らなりの信頼。

    #ディスガイア4
    disgaea4

    信頼の形キャラ界。それは地獄にある修行プログラムのひとつで、その人物の中へと入り、基礎の能力を上げるという場所だ。

    プリニー教育係であり、政拳奪取を目指すヴァルバトーゼとその一行。
    目的を成すために更なる力を求める彼らは、現在キャラ界へと潜っていた。

    そこはブロックが積み上げられ、そのブロックを崩しながら進んでいくというものでもあった。進んでいくと、たまに“心の保守派”というものが現れる。
    保守派は潜っている人物と同じ見た目の者。
    現在潜っているのはヴァルバトーゼのキャラ界。つまりは、保守派の見た目はヴァルバトーゼそのものなのだ。

    向かってくる保守派に、フーカが苦戦していた。

    (うぅ、やり辛い…!)

    何度かキャラ界に潜ってはいるが、フーカは未だに保守派というものが苦手だ。
    これまでまともに戦ったことはないのだが、今回は彼女の目の前に降りてきたために相手せざるを得なくなった。
    防戦一方。そこに出来た一瞬の隙に、フーカの武器が弾かれる。

    「あ…!」

    やられる。
    そう思って目を瞑ったが、代わりに聞こえてきたのはグシャッという何かが潰れる音。
    来ない衝撃を不思議に思い目を開けると、目の前に見えたのは長い銀髪。
    もうすでに保守派は消えていた。同時に鋭い真鍮の目に睨まれる。

    「何ボーッとしてやがる、小娘!別にお前が死のうが構わんが、この場所で死ぬのは許さんぞ」
    「う、うるさいわね!…保守派、フェンリっちがやっちゃったの?」
    「だったらなんだ。お前が突っ立ってるのが悪い」
    「…やり辛くないの?」
    「あ?」
    「だって、見た目はあんたの主でしょ!?」

    そう訴えるフーカに、フェンリッヒはため息を返す。

    「…はぁ。お前、救いようのないアホだな」
    「なによ!?」
    「ヴァル様の見た目だからやりにくいと?ふざけるなよ。

    ─我が主が、こんなに弱いワケあるか」

    「……!」
    「実力もなにもない、ただ見た目を似せることしか出来ないクズに我が主の姿を取られてイライラするんだよ。所詮紛い物は紛い物。お前もつまらん感情はとっとと捨てるんだな」

    優しさかイラつき故か、フェンリッヒはいつもより喋ると颯爽と敵に向かっていく。
    フーカは少しの間止まって、「ただアタシにムカついただけよね」と、よく喋ったのは優しさではないと決定付け、呆れるように鼻で笑った。

    「フーカさん!大丈夫ですか?」
    「大丈夫よ、アルティナちゃん。アタシ、ちょっとデスコの所手伝って来るわね!」
    「はい、お気を付けて」

    吹っ切れたようにバットを握り直すと、フーカは少し遠くに見える妹の援護に向かうべく、力強く地面を蹴った。


    「よし、ご苦労だったな。では休憩にしよう」

    キャラ界を無事に潜り終わり、拠点に帰ってくるとヴァルバトーゼがそう言った。
    疲れた仲間たちは散開していく。

    「ねぇ、ヴァルっち」
    「ん、どうした小娘」
    「キャラ界に保守派っているじゃん?姿がフェンリっちの時とか、やり辛いなぁって思うことある?」
    「小娘…」

    その質問に怒りを含んだ声でフェンリッヒが口を挟もうとするが、それをヴァルバトーゼが制す。

    「下らぬ質問だな、小娘よ。それが敵ならば倒すべきだ。それにな、

    ─我がシモベはあのように弱くない」

    得意気にそう言ったセリフに、フーカが堪えきれない笑いを漏らした。

    「なんだ?何が可笑しい?」
    「ふ、ふふ…いや、なんでもないわ。ただやっぱりさ、アンタたちって似てるわね」
    「む…?」
    「それだけ。じゃ、また後でね」

    不思議そうな顔をするヴァルバトーゼを横目に、フーカと後ろからついてきたデスコはその場を去る。
    残されたヴァルバトーゼは、隣にいるシモベを見上げた。

    「何があったと言うのだ?」
    「…さぁ。ただ、あんな小娘に知った顔をされるのは心底腹が立ちますよ」

    去っていく少女の背に舌打ちと不機嫌な視線を浴びせながら、人狼は吐き捨てるようにそう言ったのだった。

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    related works

    last_of_QED

    DOODLEディスガイア4に今更ハマりました。フェンリッヒとヴァルバトーゼ閣下(フェンヴァル?執事閣下?界隈ではどう呼称しているのでしょうか)に気持ちが爆発したため、書き散らしました。【悪魔に愛はあるのか】


    口の中、歯の一本一本を舌でなぞる。舌と舌とを絡ませ、音を立てて吸ってやる。主人を、犯している?まさか。丁寧に、陶器に触れるようぬるり舌を這わせてゆく。舌先が鋭い犬歯にあたり、吸血鬼たる証に触れたようにも思えたが、この牙が人間の血を吸うことはもうないのだろう。その悲しいまでに頑なな意思が自分には変えようのないものだと思うと、歯痒く、虚しかった。

    律儀に瞼を閉じ口付けを受け入れているのは、我が主人、ヴァルバトーゼ様。暴君の名を魔界中に轟かせたそのお方だ。400年前の出来事をきっかけに魔力を失い姿形は少々退行してしまわれたが、誇り高い魂はあの頃のまま、その胸の杭のうちに秘められている。
    そんな主人と、執事として忠誠を誓った俺はいつからか、就寝前に「戯れ」るようになっていた。
    最初は眠る前の挨拶と称して手の甲に口付けを落とす程度のものであったはずだが、なし崩し的に唇と唇が触れ合うところまで漕ぎ着けた。そこまでは、我ながら惚れ惚れするほどのスピード感だったのだが。
    ……その「戯れ」がかれこれ幾月進展しないことには苦笑する他ない。月光の牙とまで呼ばれたこの俺が一体何を 3613

    last_of_QED

    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007

    recommended works

    last_of_QED

    CAN’T MAKE十字架、聖水、日の光……挙げればきりのない吸血鬼の弱点の話。おまけ程度のヴァルアル要素があります。【吸血鬼様の弱点】



    「吸血鬼って弱点多過ぎない?」
    「ぶち殺すぞ小娘」

    爽やかな朝。こともなげに物騒な会話が繰り広げられる、此処は地獄。魔界の地の底、一画だ。灼熱の溶岩に埋めつくされたこの場所にも朝は降るもので、時空ゲートからはささやかに朝の日が射し込んでいる。

    「十字架、聖水、日の光辺りは定番よね。っていうか聖水って何なのかしら」
    「デスコも、ラスボスとして弱点対策は怠れないのデス!」
    「聞こえなかったか。もう一度言う、ぶち殺すぞアホ共」

    吸血鬼の主人を敬愛する狼男、フェンリッヒがすごみ、指の関節を鳴らしてようやくフーカ、デスコの両名は静かになった。デスコは怯え、涙目で姉の後ろに隠れている。あやしい触手はしなしなと元気がない。ラスボスを名乗るにはまだ修行が足りていないようだ。

    「プリニーもどきの分際で何様だお前は。ヴァル様への不敬罪で追放するぞ」

    地獄にすら居られないとなると、一体何処を彷徨うことになるんだろうなあ?ニタリ笑う狼男の顔には苛立ちの色が滲んでいる。しかし最早馴れたものと、少女は臆せず言い返した。

    「違うってば!むしろ逆よ、逆!私ですら知ってる吸血鬼の弱 3923

    last_of_QED

    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007

    last_of_QED

    DOODLE主人に危機感を持って貰うべく様々なお願いを仕掛けていくフェンリッヒ。けれど徐々にその「お願い」はエスカレートしていって……?!という誰もが妄想した執事閣下のアホエロギャグ話を書き散らしました。【信心、イワシの頭へ】



    「ヴァルバトーゼ閣下〜 魔界上層区で暴動ッス! 俺たちの力じゃ止められないッス!」
    「そうか、俺が出よう」

    「ヴァルっち! こないだの赤いプリニーの皮の件だけど……」
    「フム、仕方あるまいな」

    何でもない昼下がり、地獄の執務室には次々と使い魔たちが訪れては部屋の主へ相談をしていく。主人はそれに耳を傾け指示を出し、あるいは言い分を認め、帰らせていく。
    地獄の教育係、ヴァルバトーゼ。自由気ままな悪魔たちを良く統率し、魔界最果ての秩序を保っている。それは一重に彼の人柄、彼の在り方あってのものだろう。通常悪魔には持ち得ない人徳のようなものがこの悪魔(ひと)にはあった。

    これが人間界ならば立派なもので、一目置かれる対象となっただろう。しかし此処は魔界、主人は悪魔なのだ。少々横暴であるぐらいでも良いと言うのにこの人は逆を征っている。プリニーや地獄の物好きな住人たちからの信頼はすこぶる厚いが、閣下のことを深く知らない悪魔たちは奇異の目で見ているようだった。

    そう、歯に衣着せぬ言い方をしてしまえば、我が主人ヴァルバトーゼ様は聞き分けが良過ぎた。あくまでも悪魔なので 7025

    last_of_QED

    CAN’T MAKE11/5新月🌑執事閣下🐺🦇【俺の名を、呼んで】今、貴方を否定する。
    「呼んで、俺の名を」の後日談。お時間が許せば前作から是非どうぞ→https://poipiku.com/1651141/5443404.html
    俺の名を、呼んで【俺の名を、呼んで】



     教会には、足音だけが響いている。祭壇の上部、天井近くのステンドグラスから柔い光が射し込んで、聖女の肌の上ではじけた。神の教えを広め、天と民とを繋ごうとする者、聖職者。その足元にも、ささやかな光を受けて影は伸びる。
     しんと凍えそうな静寂の中、彼女はひとり祭壇へと向き合っていた。燭台に火を分け、使い古しの聖書を広げるが、これは決してルーチンなどではない。毎日新しい気持ちで、彼女は祈る。故に天も、祝福を与えるのだろう。穢れない彼女はいつか天使にだってなるかもしれない。真っ直ぐな姿勢にはそんな予感すら覚える眩しさがあった。

     静けさを乱す、木の軋む音。聖女ははたと振り返る。開け放っていた出入口の扉がひとりでに閉まるのを彼女は遠目に見つめた。風のせいだろうかと首を傾げれば、手元で灯したばかりの蝋燭の火が揺らめき、何者かの息によって吹き消える。不可思議な現象に、彼女の動作と思考、双方が同時に止まる。奏者不在のパイプオルガンがゆっくりと讃美歌を奏でればいよいよ不穏な気配が立ち込める。神聖なはずの教会が、邪悪に染まっていく。
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