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    住めば都

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    住めば都

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    あくねこ、テディ夢。
    階段を上る気力を失って段差に腰掛けていた主様を、テディが部屋まで抱き上げて運ぶ話。テディがオープンすけべになってしまったような気がしないでもない……
    パレス広すぎるよ…ネタ第二弾です

    #あくねこ夢
    cats-eyeDream
    #aknkプラス
    aknkPlus
    #aknk夢
    #テディ

    甘える姿はSSR 玄関ホールの大階段に小柄な人影を見つけて、テディは内心、ラッキーと喜びの声を上げた。彼は厨房での手伝いを終えて、別邸に戻るところだった。慣れない作業をこなすのは大変だったが、その疲れも、彼女に会えば途端に吹き飛んでしまう。
    「主様、おかえりなさいませ!」
    「あ……テディ。うん、ただいま」
     元気いっぱい出迎えたテディとは対照的に、主人は疲れきった様子だ。応える声も、どこかぼんやりとしている。
     こんなにお疲れなのに、仕事のあとわざわざ屋敷に顔を出してくださるのだから、主様は本当に優しい人だなあ。そんなふうに思って、テディは自然と笑顔になる。
    「主様、こんなところで、なにをしていらっしゃるんですか?」
    「いやあ……特になにをしていたわけでもないんだけど……」
     主人はうろうろと視線を彷徨わせた。テディが不思議に思って首を傾げていると、やがて小さな声で訳を話し出す。
    「帰ってきたものの、階段を上る気力がなくて……ちょっと休憩してました……」
    「なるほど、そうだったんですね。お仕事、本当にお疲れ様です」
     それなら、早く部屋へ戻って寛いでもらわなければ。テディは執事としての使命感を燃やした。彼女が自力では階段を上れないというのなら、テディが抱えて部屋まで連れていけばいい。幸い、彼は力には自信があった。
    「では主様、俺がお部屋までお連れいたしますね!」
     テディは張り切って申し出、小柄な体を抱き上げようと腕を伸ばした。これに慌てたのは主人だ。先ほどまでは指の一本も動かせないという風情だったのに、彼女はすばやく体を捻ってテディの腕から逃れてみせる。
    「あ、主様?」
    「いやいやいやいや、そんなことさせられないよ! 私、重いし!」
     ただでさえ逃げられてショックだったテディは、重ねて激しく拒絶され、しょんぼりと肩を落とした。
    「俺に触れられるのは、嫌ですか……?」
     テディは落ち込んだ表情で、縋るように主人を見つめる。彼女の目には、彼の瞳が涙で潤んでいるように見えた。テディの主人は、彼のこの表情に極めて弱かった。
     だって、まるで雨に打たれて震える子犬のようなのだ。可愛くて、可哀想で、つい手を差し伸べたくなってしまう。あざとさを狙って作られた表情であれば絆されてなどやらないが、相手はテディだ。
    「テディが嫌なわけじゃないよ! ……じゃあ、あの……オネガイシマス」
     根負けして、主人は彼女の執事へと腕を伸ばした。テディの笑顔と自らの羞恥心とを天秤にかけ、彼女は執事の笑顔のほうを優先したのだ。
    「はい! 俺にお任せください!」
     受け入れられた途端、テディは輝くばかりの笑顔を浮かべた。細身に見えて逞しい腕を背と膝裏に回し、彼は主人を丁寧に抱き上げる。一気に視界が高くなって怖かったのか、主人がテディの肩にしがみついた。
    「大丈夫ですか? 安全にお連れしますから、俺を信じて、安心して身を預けてくださいね」
    「う、うん。よろしくね」
    「はい! では、参りましょう」
     テディはゆっくりと階段を上り始めた。人間を一人抱えているとは思えない、軽やかな歩みだ。実際、テディはスキップでもしたい気分だった。
     執事と主人の距離は近いようで遠く、理由がなければテディが彼女に触れることはない。触れたとしても、せいぜいエスコートの際に手を預かるくらいだ。それが今は、主人はテディの腕にその身を委ねてくれている。浮かれてしまうのも仕方のないことだろう。
    「到着です! 主様、下ろしますね」
    「うん。ありがとう」
    「へへっ。主様のお役に立てて光栄です」
     声をかけてから、テディは主人を一人掛けのソファへ下ろした。心地いい温もりが遠ざかるのは名残惜しかったけれど、「もう少しこのままでいたい」なんてわがままを、執事の身で言うわけにはいかない。
    「さて、では俺は、ロノくんとフェネスさんに声をかけて来ますね。お風呂とお食事、どちらを先になさいますか?」
    「……じゃあ、お風呂で」
    「かしこまりました!」
     きらめく笑顔で一礼して、テディは踵を返しかけた。けれどふと思いついて、定位置であるソファに深く沈みこんだ主人を振り返る。
    「テディ?」
    「もし、また階段を上るのが億劫だな〜と思うことがあれば、俺をお呼びください」
     あくまでも、執事として。その線引きは守るから、これくらいの要望は許してほしい。
    「俺がどこへでも、抱き上げてお連れいたしますから」
     浴室から食堂、そしてまた二階の寝室へ。主人が運んでほしいと頼めば、多くの執事が手をあげるだろう。体を鍛えているのはテディだけではない。しかし彼は、その役目をほかの誰にも譲りたくなかった。
     しかしそんなテディの気持ちも知らず、主人はふるふると勢いよく首を横に振る。
    「あまりにも申し訳なさすぎるから、ちゃんと自分で歩くよ」
     俺がそうしたいんだから、遠慮しなくていいのに。テディはそう思ったけれど、自分のことはなるべく自分でやろうとする主人だからこそ、甘やかしたいと思うわけで。ままならないものだ。主人が今回のように素直に甘えてくれるのは、本当に珍しいことだった。
    「それにさ、抱えて運んでもらうより、隣で同じ景色を見ながら歩くほうが、私は好きだから」
     ずるいなあと思いながら、テディは「かしこまりました」と答えるほかなかった。そんなふうに言われたら、「もっと甘えてください」と押しきることなどできない。
     嫌われ者の悪魔執事に寄り添って、同じ場所で同じ風景を見ようとしてくれるのは、世界中を探しても彼女以外にはいない。出会えた奇跡を噛み締めながら、テディは今度こそ部屋を辞し、上ったばかりの階段を一段飛ばしに駆け下りていった。
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    ❤😭😭❤👏💴💴💴🇴🇴🇴🇴💠💘💘💘
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    住めば都

    DONEあくねこ、ルカス夢。
    いつもドキドキさせられて悔しい主様が、意趣返しのつもりで「ルカスは冗談ばっかり」と返したら、実は全部本気の本心だったと暴露される話。

    交渉係を務めて長い男が、自分の思いに振り回されて本音を隠せず、苦し紛れに冗談だよって見え見えの誤魔化し方しかできないのめちゃくちゃ萌えるなと思うなどしました
    いっそ全部、冗談にしてしまえたら 目の覚めるような美人ではない。愛嬌があるわけでも、聴衆を沸かせる話術を持つわけでもない。
     至って普通。どこにでもいそうな、地味で目立たないタイプ。――それが私だ。
     おおよそ三十年かけて築き上げた自己認識は、異世界で出会ったイケメン執事たちに「主様」と呼ばれ大切にされたところで、簡単に揺らぐようなものではない。
    「フフ、主様といられる時間は、本当に幸せです♪ この時間が、永遠に続けばいいのになあ……」
    「はいはい。全く……ルカスったら、冗談ばっかり言うんだから」
     上機嫌に微笑む担当執事を、私は半眼で睨みつけた。
     ルカスとアモンは、口説くようなセリフをよく言ってくる。恋愛経験の少ない私はそのたび顔を赤くしてドギマギしてしまうのだが、彼らの思惑どおりに翻弄されるのを、最近は悔しいと感じるようになっていた。
    1884

    住めば都

    DOODLEあくねこ。ナックとハンバーグの話。友情出演、ロノとテディ。
    執事たちの話題に上がるだけですが、美味しいもの大好き自称食いしん坊の女性主様がいます。
    後日、お礼を伝えられた主様は「私が食べたかっただけだから」と苦笑したそうです。

    お肉が苦手なナックに豆腐ハンバーグとか大根ステーキとか食べさせてあげたい気持ちで書きました。
    美味しいは正義 今日に夕食のメニューは、ハンバーグだ。
     食堂に向かう道すがらで会ったテディが、鼻歌混じりで嬉しそうに言うのを聞いて、ナックは落胆の気持ちを曖昧な笑顔で濁した。
     ナックは肉全般が苦手だ。メインが肉料理の日は食べられるものが少なく、空腹のまま夜を過ごすことも多い。
     だが、ハンバーグを心から楽しみにしているらしい同僚に、それを伝えることは憚られた。食事は日々の楽しみだ。テディには心置きなく、好物を味わってほしい。
     食事の時間は一応決まっているが、執事たちは全員揃って食事を取るわけではない。一階や地下の執事たちはそろって食べることが多いようだが。
     決められた時間内に厨房へ顔を出し、調理担当に、食事に来たことを告げる。そうして、温かい料理を配膳してもらうのだ。
    2130

    住めば都

    MEMO2023クリスマスの思い出を見た感想。
    とりあえずロノ、フェネス、アモン、ミヤジ、ユーハン、ハナマルの話をしている
    執事たちが抱く主様への思いについて現時点で、あるじさまへの感情が一番純粋なのはロノかなという気がした。
    クリスマスツリーの天辺の星に主様をたとえて、でもそこにいるのは自分だけじゃなくて、屋敷のみんなも一緒でさ。
    主様と執事のみんながいるデビルズパレスを愛してるんだなあということがとてもよく伝わってきて、メインストのあれこれを考えると心が痛い。ロノの感情と愛情が純粋でつらい(つらい)

    なぜロノの贈り物にこんなに純粋さを感じているかというと。
    手元に残るものを贈っている面々は、そもそも根底に「自分の贈ったものを大切に持っていてほしい」という思いがあるはずで、贈った時点である意味主様からの見返りを求めているのと同じだと思うんですよね。
    ただ、消え物にするか否かは思いの重さだけでなくて、執事たちの自分への自信のなさとか、相手に求めることへの拒否感とか、なにに重きを置くかの価値観とか、いろいろあると思うので、消え物を選んだ執事がみんなロノほど純粋な気持ちではいないんだろうなと思っている。
    1511

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    kuon

    DOODLEぽいぴく試し書き。
    💮💍(💮🌸)夢。
    💮の力の代償を捏造しています。
    続きは夜プラ予定。
    #aknkプラス
    ハナマルの力の代償に応えたい「ハナマル…大丈夫かな」
    宿屋の窓越しにすっかり暗くなった外を眺めていた私は思わず彼を思い浮かべそう呟いていた。


    ***

    時刻は3時間程前に遡る。

    ある依頼の為に私はハナマルと二人で街に出ていた。依頼の内容を卒なくこなしたハナマルのリクエストにより街で一杯飲んでから屋敷に戻ろうかと話していた時だった。運悪く天使の襲撃に遭ってしまったのだ。相手は知能天使ではなかったものの、数が6体と多かった。いち早く力の解放を行い、ハナマルは見事天使を倒したのだったが…。

    「…悪い、主様。ちょっと疲れちまった。馬車まで歩けそうになくて…何処か泊まれる宿屋ってありそうかい?」
    天使を倒しホッとしたのも束の間、そう言ってハナマルはよろよろした足取りで路地裏に入ると、壁にもたれ掛かりズルズルと座り込んでしまった。大丈夫?と声をかける私の声が聞こえるのか聞こえていないのか、ハナマルは浅い呼吸をするばかりだ。これはマズイと、私は近くにいた通行人に声を掛け急いで宿屋を探す。幸いにも空きのある宿屋を見つけたため、途中で薬等を買込み宿屋へ向かった。
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    住めば都

    DONEあくねこ、ハウレス夢。
    過労で熱を出したハウレスが主様に看病される話。
    なおハウレスは回復したあと、ボスキやアモンから主様に甲斐甲斐しく世話されたことをさんざんからかわれたそうな。

    担当執事をつついてると、いやそのセリフそっくりそのまま返すよ!?って思うことが多くて、この話もそういうアレから生まれました( ˇωˇ )
    きみに捧げる特効薬 今になって思い返して見ると、朝起きたとき、いつもより体が重いような気はしたのだ。けれど、頭が痛いとか咳や鼻汁が出るとか喉が痛むとか、ほかの症状がなかったものだから。少し疲れが溜まっているのだろうと、ハウレスは軽く考えてしまった。
    「おそらくは、過労だね」
     診察していたルカスが真剣な表情で告げるのを聞いて、ハウレスの主人はひどくショックを受けた表情になった。主様がそのように悲しそうなお顔をされる必要はないのにと、ハウレスは思ったけれど、熱があることを自覚してしまった体はやたらと重だるくて、口を開くこともままならなかった。
     ハウレスの異変に気づいてルカスの元へと連れてきたのは、他ならぬ主人だった。
     この日――。ハウレスは寝起きに体のだるさを覚えたものの、大したことではないと断じて普段どおりに仕事に取りかかった。屋敷中の窓を開けて空気を入れ替え、トレーニングをこなし、主人に起床時間を知らせにいった。身支度を済ませた彼女を食堂までエスコートするために手をとって、そこで眉間に皺を寄せ険しい顔になった主人に手首や首筋、額などを触られた。そうして、有無を言わさずここへ連れてこられたのだ。
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    住めば都

    DONEあくねこ、ハナマル夢。ホーム会話ネタバレあり
    ハナマルと桃を半分こして食べる話です

    最後のところ、本当は、守りたい存在として重なるのに、向かう思いは子どもたちへのものとは少し違っていて、恋の芽吹きというか自覚というか、そういう感じにしたかったんですが、気づいたハナマルがその感情をどう扱のか、蓋をして見ないフリをするのか、大事に育てていくのか、私の中で解釈が殴りあって結論が出ませんでした……
    重ねて、分け合って 街で所用を済ませ屋敷に戻ったハナマルは、玄関でユーハンに呼び止められてぎくりと肩を揺らした。
     もっとも、なにか叱られるようなことをしでかした覚えがあるわけではなかった。今日はきちんと言いつけられた用件を果たしてきたし、賭場へ寄り道もしていない。
     だからこれは、条件反射のようなものだ。ハナマルは普段、同じ部屋で暮らすこの真面目な青年から、小言をもらってばかりいるので。
    「な、なんだよユーハン。今日はまだ、なにもしてねえぞ」
    「……これからなにかしでかすような物言いはやめてください。小言を言うために呼び止めたわけではないですよ」
    「あれ、そうなのか?」
     なにを言われるのかと構えていたハナマルは、ユーハンの応えに拍子抜けして首を傾げた。ユーハンは大仰にため息をつく。
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