虜にされたのは「ふ、んっ……」
湯に当てられ上気した頬。触れた場所にぴたりと吸い付いてくるような軟い肌。そして、自身の指先一つで悩ましげに揺れる、濡れた湖の瞳。
それら一つ一つにどうしようもなく心踊らされながら、シミひとつない美しい背中を自身の胸板で迎え入れる。目の前に広がった銀の混ざった金の絹糸に顔を埋めて、その下の純白のうなじに吸い付いた。
「はぁっ、あ、ぁぁ」
「……声、抑えて。受付の人に聞こえちゃうでしょ?」
彼女の肌から吸い取った湯の感触を楽しみながら、存在を主張する胸の先端をくりくりと弄ぶ。いつも凛々しかった声音は、それだけでいとも容易く蕩けていった。
けれど悦びに震える甲高いその声音は、ここを貸切にしてくれたという気前のいい女将にさえ聞こえてしまいそうだったから、真っ赤な可愛らしい耳に向かって囁いた。
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