聖なる夜だから(愛暦) 温暖な沖縄も、十二月ともなればそれなりに肌寒くなってくる。
少し前までハロウィン一色だった街が、今度はイルミネーションに彩られ、あちらこちらの店先にクリスマスツリーやリースといったわかりやすい装飾が施される。
キラキラと華やかな空気に、街行く人々もどこか浮き足立って見える。
そんないつもとは違う装いの通りをいつも通りにスケートで滑りながら、暦は飲み込みきれなかったため息を吐き出した。
――折角のクリスマスだっていうのに。
段差を飛び越えて綺麗な着地を決められても、今日はどうにも気分が上がらない。
原因は、暦が一番分かっている。
***
「……え、東京?」
「あぁ。仕事の付き合いでな」
呼び出されたホテルの一室。
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