「桶の準備ができたよ、阿絮!」
「まて、老温。俺をどこに連れていくつもりだ」
「私の部屋だよ」
「今日は外じゃないのか」
「外は暑いから」
「今までずっと外だったじゃないか。日陰の風は心地よいとか言って」
「でも阿絮は暑いって文句を言ってただろ」
「俺がいくら言っても聞かなかったくせに」
「まだ時期じゃなかったからね」
「…なんだと?」
「何でもないよ?ほら、行こうよ阿絮」
「お前の部屋にか」
「うん」
「床が濡れるぞ」
「大丈夫、色々と準備したから!阿絮に寛いでもらおうと思って香も焚いたんだ」
「随分と凝ってるな」
「あと今日は足の按摩もやってあげるね」
「按摩?」
「水桶で涼をとりながら片足ずつやってもいいし、ある程度涼んでから寝転がってでもいいし。そうだな…寝転がったほうが阿絮は楽かな?」
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