「阿絮、よい酒が手に入ったんだ。今夜は私と一緒に…」
「駄目だ」
「え?」
「魅力的な提案だがその酒はまた別の機会にしよう」
「なぜ今日は駄目なんだ」
「お前は眠れないから飲みたいだけだろう?」
「………」
「酒は寝つきをよくはしてくれないぞ。むしろ逆効果だ」
「…どうして分かったの?」
「ここ数日のお前の様子を見てれば分かる」
「いい酒なんだよ…?」
「その誘惑にはのらん」
「あーしゅー」
「そんなに飲みたければ俺の淹れた茶を飲め」
「えー…」
「なんだ、その顔は」
「…阿絮の茶は苦いじゃないか」
「ふっ…唇を尖らせて拗ねるなんてまるでお子さまだな」
「苦いのは好きじゃない」
「老温」
「ん?……え?」
「目をつぶれ」
「…(阿絮の顔が間近に!?)」
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