かなり慌てた様子のテメノスを見かけたので、声をかけた。なんでも、何処か身を隠せる場所を探しているらしい。
「盗賊の貴女なら、隠れ家的な何かが何ヵ所か有るでしょう!今すぐ教えて下さい、さぁ早く!!」
「教えてあげても良いけど、何で?子羊くんと、喧嘩でもしたの?」
理由教えてくれないと、無理。
何で?と首を傾げる私に、それは…とテメノスは言いにくそうに視線をさ迷わせてた。けれど、背に腹は変えられなかったのだろう。何か諦めた様に、ポツリと言った。喧嘩だったならどれだけマシだったか、と。
「子羊くんに、結婚を申し込まれました。油断した、予兆が分かっていればこんな事には…。」
「あんたを出し抜くなんて、子羊くんやるじゃん。…で?」
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