死者 死体を見付けた。陽の光も届かない、寒々しく暗い坑道の最奥に、その死体はひっそりと横たわっていた。ところどころ魔物に食べられているのか損傷が多く、申し訳程度に残った肉も腐り果てている。それでも辛うじて残った衣服の残骸から、その遺体がかつて人であったことが知れた。それも剣士だ。投げ出された一対の短剣を見下ろして目を細める。
「クロード。そちらには誰かいまして」
落ち着いた柔らかい声が聞こえて、クロードはゆっくりと振り返った。独特の装飾具を揺らしながら、紋章術師の女が近付いてくる。明るく開けた屋外では春の花のような淡紫色の髪は、彩度を欠いた闇の中では鈍い銀色に見えた。
クロードが口を開くより先に足元に視線を落とした女が、小さな声を発した。
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