吸血鬼パロディ 幼き日より自分の隣には常に「死」が纏わりついていた。
それは姿も匂いも音もなく近付いてきて、身近な人を次々と奪っていく。
祖父母を、両親を、兄弟を、立て続けに流行り病で亡くし、天涯孤独の身でありながら、家族の遺した財産で、住まいを移し、牧場の経営を始めた。経営が安定し始め、妻を迎え、穏やかで裕福な生活を送って、やっと「死」から逃げられたと思ったが、今回は身重の妻を「死」に奪われた。それは自分が仕事の為に首都に向かった、たった数日、家を空けた時のことであった。
こんな田舎町では珍しい猟奇的な殺人事件であった。当時、家にいた使用人も皆殺しにされた上、妻は腹を切られ、胎盤ごと子供が抉り出されていた。
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