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    Yako_san8

    REHABILIうっすら意識し合ってるような、そうでもないような津と襟の日常の延長線お誕生日話です。お祝い感薄めだけど「おたおめ!」って言わせてるのでこれは誕生日の話しです(自己暗示)お誕生日ネタはなんぼあってもいいですからね…。ね……?
    2024.4/15・襟尾純誕生日小話 《約束の生まれた日》



     張り込み用に押さえた雑居ビルの簡素な一室で、二人の刑事が肩を並べカーテンの影から外の様子を窺っていた。クッションの薄いパイプ椅子がぎしりと音を立て、白シャツ姿も爽やかな若い方の男が口を開く。

    「いまのところ目立った動きはないですね……」

     勤務中の襟尾巡査部長は、当然といえば当然だがしごく真面目な面持ちだ。被疑者が潜伏しているとのタレコミがあった安アパートに出入りする人影に、注意深く監視の目を向けている。隣で同じく窓の外に注視していた津詰警部が「そうだな」と軽く相槌を打った。その声に常と異なる覇気のなさを感じた襟尾はチラと上官の横顔を盗み見る。

     張り込みというのは刑事の職務の中でも特に地味でツラい仕事の一つだ。時により車中からであったり、いつでも動けるよう物陰に潜み野外で立ちっぱなしという場合もある。今回は室内待機なのが幸いだが、ある程度の自由が利くと不思議なもので今度はひたすら時間の流れが遅く感じ、延々睡魔との殴り合いが続く。
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    8988dpod

    REHABILI現代転生パロのサイラス×子テリ。リハビリ小説
    裸足と寝不足先生は時々知らない言葉で誰かとお話をしている。

    ─ピッ
    「お待たせテリオン。すまなかったね」
    今しがたまで通話していた端末をダイニングテーブルに置き、テリオンのいるソファの隣に座り直したサイラスの口から発せられるのはいつもの優しい言葉だ。先程まで電話の相手と知らない外国の言葉で話していたものとは違う、聞き慣れたイントネーションの落ち着いた声はテリオンに安心感をもたらした。
    「ううん、おしごとのお話?」
    「ああ、今度外国のお客さんと会う事になってね。彼らはこちらの言葉がわからないから、私が同行する事になったんだ。もう話は終わったから大丈夫だよ。さて、何ページからだったかな」
    長い指がノートの文字列をなぞっていくのを先回りして、先程取り組んでいた問題を小さな指が指し示すと、そうだったねと微笑んだサイラスがペンを走らせながら改めて説明をしてくれた。一人でも解ける宿題だけれど、サイラスと一緒に取り組むと不思議と理解が深まるし、時折混じる蘊蓄もちゃんとテリオンにわかるよう優しい言葉を使ってくれるから面白い。始まると長いけれど、テリオンが寝る時間には必ず終わるようにしてくれる。
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