スペード
Kuon_ao3
DONE[13/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス「我ながら冴えてる。狼煙を頼りに進めばいいんだわ」
「お。君も随分と俺のことを分かってきたね」
狼煙、もとい焚き火の煙を目指して森の中に姿を現したアリスを見て、エースは嬉しそうに薪を打ち鳴らした。
「これ、たくさん作ったから、あなたにもお裾分け」
アリスは手提げから簡易の包装を施したスコーンを取り出す。水色の細いリボンで留められた、中身の見える透明な袋。焼き色に個体差はあるが、大きさが全て揃っているあたりに彼女の真面目な性格が現れている。
「うわ、今ちょうどお腹ぺこぺこだったから助かるぜ。それに君の手作りなら、美味しいに違いない」
「以前の私の実力がどの程度か分からないけど」
食べる前から期待値を上げられては困ると予防線を張るアリスなどお構いなしに、エースは手早く折り畳みのテーブルを広げた。
471「お。君も随分と俺のことを分かってきたね」
狼煙、もとい焚き火の煙を目指して森の中に姿を現したアリスを見て、エースは嬉しそうに薪を打ち鳴らした。
「これ、たくさん作ったから、あなたにもお裾分け」
アリスは手提げから簡易の包装を施したスコーンを取り出す。水色の細いリボンで留められた、中身の見える透明な袋。焼き色に個体差はあるが、大きさが全て揃っているあたりに彼女の真面目な性格が現れている。
「うわ、今ちょうどお腹ぺこぺこだったから助かるぜ。それに君の手作りなら、美味しいに違いない」
「以前の私の実力がどの程度か分からないけど」
食べる前から期待値を上げられては困ると予防線を張るアリスなどお構いなしに、エースは手早く折り畳みのテーブルを広げた。
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DONE[12/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス 打ち粉をした丸い型で生地を抜く。常温に戻らないよう、手早く抜いたそれらを天板に並べたら、卵液を塗って真っ直ぐにオーブンへ。
じりじり。隣同士で膨れるタイミングを見計らっている、これからスコーンになっていく予定の生地達。オーブンの窓越しに様子を見ながら、アリスはぼんやりと考え事をしていた。
会いたくて、会えなくて降り積もる。
エースのそれは、誰に向けられているものなのだろう。
催しの夜の、なんとなくいつもと違う様子だったエースを思い出す。思えば彼には時折そういう節があった。面と向かって話しているにも関わらず、アリスではない誰かを見ているような、心ここに在らずといった様子の、質量のない違和感。
元気が無い、というよりは、いつもが必要以上に空元気で、それを纏うのをやめて素が出たという表現の方がしっくりくる。
433じりじり。隣同士で膨れるタイミングを見計らっている、これからスコーンになっていく予定の生地達。オーブンの窓越しに様子を見ながら、アリスはぼんやりと考え事をしていた。
会いたくて、会えなくて降り積もる。
エースのそれは、誰に向けられているものなのだろう。
催しの夜の、なんとなくいつもと違う様子だったエースを思い出す。思えば彼には時折そういう節があった。面と向かって話しているにも関わらず、アリスではない誰かを見ているような、心ここに在らずといった様子の、質量のない違和感。
元気が無い、というよりは、いつもが必要以上に空元気で、それを纏うのをやめて素が出たという表現の方がしっくりくる。
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DONE[10/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス カジノに併設しているバーカウンターで酒を煽っていたエースは、ポーカーテーブルの間を右往左往する少女の姿に気が付いた。人々の隙間をかいくぐって、ゲームの進行を見るでもなく場を離れ、また別のテーブルへと向かう。それをテーブルの数だけ繰り返していた。
最後のテーブルを離れ、振り返ったアリスと目が合う。ぱっと一回り大きくなった、翠の瞳。うろうろと彷徨っていたそれまでの挙動が嘘のよう。迷い無く真っ直ぐに歩を進めるアリスに、今度はエースが目を見開く番だった。
「俺のこと、探してくれていたんだ?」
「だって顔を見せないとあなた、次に会った時に煩いじゃない」
「はは、君がそういうことにしたいならまあ、それでいいか」
566最後のテーブルを離れ、振り返ったアリスと目が合う。ぱっと一回り大きくなった、翠の瞳。うろうろと彷徨っていたそれまでの挙動が嘘のよう。迷い無く真っ直ぐに歩を進めるアリスに、今度はエースが目を見開く番だった。
「俺のこと、探してくれていたんだ?」
「だって顔を見せないとあなた、次に会った時に煩いじゃない」
「はは、君がそういうことにしたいならまあ、それでいいか」
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DONE[9/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス 交差する形で横たわる大鎌、二挺。それでも屋敷は平然と静まり返っており、部外者が侵入した様子は見られない。
帽子屋屋敷の門番二人は浅い息を繰り返し、血の止まらない切り傷を押さえながら必死に訴えた。
「~~、あいつ、馬鹿だから、」
「そうだよ、馬鹿だから」
「間違えたから帰るよ! って言ったその足で、正面から入ろうとしたんだ」
「それで門番らしくしっかりと働いた……結果がこれ、と」
屋敷のメイド達の隣でアリスもまた、ディーとダムの応急処置のフォローに回っていた。渦中の迷子騎士は、既に影も形もない。
ガーゼと包帯、絆創膏を、アリスは代わる代わる救急箱から取り出す。最初こそ強がって抵抗していた双子達も、少女に心配されることが嬉しくなってきたのか、こっちも痛いあっちも痛いと口々に騒ぎ始めた。傷口はどの箇所も浅く、剣の主が本気を出していないことはアリスの目にも明らかだ。
536帽子屋屋敷の門番二人は浅い息を繰り返し、血の止まらない切り傷を押さえながら必死に訴えた。
「~~、あいつ、馬鹿だから、」
「そうだよ、馬鹿だから」
「間違えたから帰るよ! って言ったその足で、正面から入ろうとしたんだ」
「それで門番らしくしっかりと働いた……結果がこれ、と」
屋敷のメイド達の隣でアリスもまた、ディーとダムの応急処置のフォローに回っていた。渦中の迷子騎士は、既に影も形もない。
ガーゼと包帯、絆創膏を、アリスは代わる代わる救急箱から取り出す。最初こそ強がって抵抗していた双子達も、少女に心配されることが嬉しくなってきたのか、こっちも痛いあっちも痛いと口々に騒ぎ始めた。傷口はどの箇所も浅く、剣の主が本気を出していないことはアリスの目にも明らかだ。
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DONE[8/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス 歪みのない完全な球体。気泡ひとつ入っていない美しいその氷を、無遠慮にグラスに放り込む。
「お前、本っっっ当に馬鹿だな」
ジョーカーは片手でウイスキーを注ぎ、マドラーを手に取るのが面倒だとばかりにグラスの縁を掴んで回した。透明で大きな氷が、僅かに浮上して円を描く。
「せっかくあの女が全部忘れて、うだうだ迷ってるお前の悩みごとぶった斬れるかもしれねぇチャンスだってのによ」
嘲りと共にケタケタと笑う彼は、接客をする気など毛頭無く、音を立ててグラスを置いた。カウンターに座った赤い男がそれを、ひょいと掴む。
「なにせ処刑人である前に騎士だからね」
橙色の灯りに翳せば、中の液体は琥珀色に煌めいた。体温で温まらないように余分な指先を離す。緩い曲線を描く小指の先を眺め、エースは唇を綻ばせた。
473「お前、本っっっ当に馬鹿だな」
ジョーカーは片手でウイスキーを注ぎ、マドラーを手に取るのが面倒だとばかりにグラスの縁を掴んで回した。透明で大きな氷が、僅かに浮上して円を描く。
「せっかくあの女が全部忘れて、うだうだ迷ってるお前の悩みごとぶった斬れるかもしれねぇチャンスだってのによ」
嘲りと共にケタケタと笑う彼は、接客をする気など毛頭無く、音を立ててグラスを置いた。カウンターに座った赤い男がそれを、ひょいと掴む。
「なにせ処刑人である前に騎士だからね」
橙色の灯りに翳せば、中の液体は琥珀色に煌めいた。体温で温まらないように余分な指先を離す。緩い曲線を描く小指の先を眺め、エースは唇を綻ばせた。
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DONE[7/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス どこに座ったら良いのか迷ったアリスは、草原の上にハンカチを広げてから腰を下ろした。手渡されたマグカップからは、珈琲の良い香りが立ち上っている。
「青空の下、星空の下で飲む珈琲も、旅の醍醐味だよな!」
エースは焚き火を挟んで向かいに座ると、晴れ渡った空を暢気に見上げた。あと少し歩くだけで屋根のある場所で落ち着いて飲めるけどね、という無粋な発言をぐっと堪え、アリスは適当に話を振る。
「旅って主に何をしているの?」
「俺の旅には目的なんて無いよ。風の向くままに歩いて、気の向くままに寝起きして、心の赴くままに自然と共に過ごす。自由気儘な旅だ」
手土産に貰ったチョコレートを立て続けに三粒口に放り込み、エースは珈琲を啜った。
521「青空の下、星空の下で飲む珈琲も、旅の醍醐味だよな!」
エースは焚き火を挟んで向かいに座ると、晴れ渡った空を暢気に見上げた。あと少し歩くだけで屋根のある場所で落ち着いて飲めるけどね、という無粋な発言をぐっと堪え、アリスは適当に話を振る。
「旅って主に何をしているの?」
「俺の旅には目的なんて無いよ。風の向くままに歩いて、気の向くままに寝起きして、心の赴くままに自然と共に過ごす。自由気儘な旅だ」
手土産に貰ったチョコレートを立て続けに三粒口に放り込み、エースは珈琲を啜った。
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DONE[6/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス「ようこそ我が家へ!」
効果音でも鳴りそうなくらい大きく両腕を広げ、エースが指し示したのは愛用の緑のテントだった。目と鼻の先にある黒の領土の門とテントを順番に視線で追ってから、「我が家」に招待されたアリスは頭を痛める。
テントの前では、はぱちぱちと焚き火が燃えさかっていた。
「やっと遊びに来てくれたんだ、目一杯おもてなししないとな。紅茶と珈琲、どっちがいい?」
エースは鼻歌混じりでケトルを火にくべる。数十メートル後方では、客人が想定外の場所で捕まっている様子を見て門番の兵士が狼狽していた。アリスは兵士に向かって右手を軽く挙げ、問題ないですという意図を込めた合図を送る。
「珈琲を頂こうかしら」
「紅茶じゃないんだ?」
568効果音でも鳴りそうなくらい大きく両腕を広げ、エースが指し示したのは愛用の緑のテントだった。目と鼻の先にある黒の領土の門とテントを順番に視線で追ってから、「我が家」に招待されたアリスは頭を痛める。
テントの前では、はぱちぱちと焚き火が燃えさかっていた。
「やっと遊びに来てくれたんだ、目一杯おもてなししないとな。紅茶と珈琲、どっちがいい?」
エースは鼻歌混じりでケトルを火にくべる。数十メートル後方では、客人が想定外の場所で捕まっている様子を見て門番の兵士が狼狽していた。アリスは兵士に向かって右手を軽く挙げ、問題ないですという意図を込めた合図を送る。
「珈琲を頂こうかしら」
「紅茶じゃないんだ?」
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DONE[5/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス 部屋の姿見の前に立つ。金茶の長い髪、青いリボンと揃いのエプロンドレス。鏡面にそっと触れて、平々凡々なその顔と互いにじっと見つめ合う。
個人を形作っている大きな要素は、記憶であると最近読んだ本に書かれていた。積み重ねてきた時間が、生きてきた軌跡が、その人を「その人」たらしめている。
ならば記憶をなくしたこの身は、一体何者なのだろう。
水を飲むのに使っていたグラスに花を生けたら、それを花瓶と呼ぶ者もいるだろう。二つを区別するのは中身と、それから、過去の姿を知っているかどうか。
まるきり中身の違う自分が尚、彼らにアリスと呼ばれるのは、容れ物であるこの姿形が以前と同一であるから、ただ、それだけだ。この容れ物がグラスなのか、花瓶なのか。はっきりと名乗る自信を持てないまま、アリスは唇を震わせた。
444個人を形作っている大きな要素は、記憶であると最近読んだ本に書かれていた。積み重ねてきた時間が、生きてきた軌跡が、その人を「その人」たらしめている。
ならば記憶をなくしたこの身は、一体何者なのだろう。
水を飲むのに使っていたグラスに花を生けたら、それを花瓶と呼ぶ者もいるだろう。二つを区別するのは中身と、それから、過去の姿を知っているかどうか。
まるきり中身の違う自分が尚、彼らにアリスと呼ばれるのは、容れ物であるこの姿形が以前と同一であるから、ただ、それだけだ。この容れ物がグラスなのか、花瓶なのか。はっきりと名乗る自信を持てないまま、アリスは唇を震わせた。
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DONE[4/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス ディーラーが締め切りの合図を告げ、プレイヤー達にカードを配る。一歩後ろからその様子を眺めながら、次のラウンドから参加するべく、エースはアリスに初心者向けのルール説明を始めた。
配られるカードは二枚。二十一を超えないようにカードの数字をコントロールするゲーム。十から上のトランプ札は全て十点扱い。そしてAは。
「Aは、一点または十一点、都合の良い方で数えることが出来る」
エースの声に耳を傾けていたアリスは、妙な感覚を覚えて口を開いた。
「……あなたって、ディーラーもやっていたりする?」
隣に居ることに対する、強烈な違和感。隣に並び立つプレイヤー同士ではなく、例えばそう、卓を挟んだ向かい側に座っている方が。何故かどことなくしっくりくる気がして、アリスは改めてエースに向き直った。
543配られるカードは二枚。二十一を超えないようにカードの数字をコントロールするゲーム。十から上のトランプ札は全て十点扱い。そしてAは。
「Aは、一点または十一点、都合の良い方で数えることが出来る」
エースの声に耳を傾けていたアリスは、妙な感覚を覚えて口を開いた。
「……あなたって、ディーラーもやっていたりする?」
隣に居ることに対する、強烈な違和感。隣に並び立つプレイヤー同士ではなく、例えばそう、卓を挟んだ向かい側に座っている方が。何故かどことなくしっくりくる気がして、アリスは改めてエースに向き直った。
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DONE[3/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス 煌びやかな内装、気後れしてしまう社交場独特の空気。チップは卓に積み上げられ、メダルは穴に飲み込まれていく。
前髪を片側だけ上げ、白黒の正装に身を包んだ、常と異なる印象のエースはしかし、中身はまるきり普段と変わらぬことを主張せんとばかりに分かりやすく拗ねてみせた。
「全員集まる時期になるまで会いに来てくれないなんて、薄情だよな~」
「だから、何回行ってもあなたがたまたま領土に居ないだけなんだってば」
サイドテールの毛先を胸元で弾ませ、アリスもまた正装に似合わぬ幼い態度で言い返す。
頭一つ分以上高い位置から、エースは彼女の顔を探るように覗き込む。
「敢えて俺が出掛けているタイミングを狙って来ていたりして」
558前髪を片側だけ上げ、白黒の正装に身を包んだ、常と異なる印象のエースはしかし、中身はまるきり普段と変わらぬことを主張せんとばかりに分かりやすく拗ねてみせた。
「全員集まる時期になるまで会いに来てくれないなんて、薄情だよな~」
「だから、何回行ってもあなたがたまたま領土に居ないだけなんだってば」
サイドテールの毛先を胸元で弾ませ、アリスもまた正装に似合わぬ幼い態度で言い返す。
頭一つ分以上高い位置から、エースは彼女の顔を探るように覗き込む。
「敢えて俺が出掛けているタイミングを狙って来ていたりして」
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DONE[2/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス 警備をしていた男性に会釈し、アリスは門を後にした。無意識のうちに緊張していたのだろう、途端に肩が弛緩して呼吸もしやすくなる。
ソロプレイヤーだと明言していた領主ハンニバル=ゴールドは、カードだけでなくボードゲームでも強者であった。彼の都合で今回は一ラウンドのみで解散する流れになったが、ルールを把握出来たこともあり、次回は是非とも勝つまで挑みたい。
「なんだ、せっかく来たのに俺とは遊んでくれないのか?」
正面に見える小道の先からではなく、声は頭上から降ってきた。続けて、ガサガサと葉が音を立て、紅い男が眼前に降り立つ。片膝をついた姿はまさに騎士然としているにも関わらず、笑う瞳はアリスが帰路についたことを言外に責めている。
631ソロプレイヤーだと明言していた領主ハンニバル=ゴールドは、カードだけでなくボードゲームでも強者であった。彼の都合で今回は一ラウンドのみで解散する流れになったが、ルールを把握出来たこともあり、次回は是非とも勝つまで挑みたい。
「なんだ、せっかく来たのに俺とは遊んでくれないのか?」
正面に見える小道の先からではなく、声は頭上から降ってきた。続けて、ガサガサと葉が音を立て、紅い男が眼前に降り立つ。片膝をついた姿はまさに騎士然としているにも関わらず、笑う瞳はアリスが帰路についたことを言外に責めている。
Kuon_ao3
DONE短期集中連載、毎日更新で♠黒発売前日に完結予定です。[1/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス 見上げた空は青く、澄み切っている。ちぎれ雲が浮いているが、空気は乾いているため雨は降りそうにない。
いや、そもそも雨は降らないのだったっけ、と。余所者の少女は白の領土で受けた山のような説明の中からぼんやりと思い出す。四つの領土については聞かされたが、時間帯や天候についてまで話していたか定かではない。空っぽの状態に近い脳内にとんでもない量の情報を一気に詰め込まれた少女は、心なしか重くなったような気のする頭を抱え、頼りない足取りで小道を往く。
まずはどの領土から回ろうか、分かれ道で思案する彼女の視界の片隅。林道に相応しからぬ鮮やかな赤に、思わず目を奪われた。
すらりとした長身に、茶髪。携えた金の大剣が無かったとしても、鍛えているのが分かる逞しい背中。彼もまた、良く晴れた青空を見上げているようだった。鳥か、真昼の月か。少女も同じ方角を見てみたが、これといって特筆すべきものは視線の先に無い。
710いや、そもそも雨は降らないのだったっけ、と。余所者の少女は白の領土で受けた山のような説明の中からぼんやりと思い出す。四つの領土については聞かされたが、時間帯や天候についてまで話していたか定かではない。空っぽの状態に近い脳内にとんでもない量の情報を一気に詰め込まれた少女は、心なしか重くなったような気のする頭を抱え、頼りない足取りで小道を往く。
まずはどの領土から回ろうか、分かれ道で思案する彼女の視界の片隅。林道に相応しからぬ鮮やかな赤に、思わず目を奪われた。
すらりとした長身に、茶髪。携えた金の大剣が無かったとしても、鍛えているのが分かる逞しい背中。彼もまた、良く晴れた青空を見上げているようだった。鳥か、真昼の月か。少女も同じ方角を見てみたが、これといって特筆すべきものは視線の先に無い。
K(木苺潰す)
DONE※怪人タウラス=燐音(牡牛座)×スペードちゃん(スコルピオスト劇中劇設定)
5/28イベントお疲れ様でした!
差し入れのSSです。
楽しんで頂けましたら幸いです。
「空蝉」仮宿にしている廃ビルの、割れた窓ガラスの隙間から飛び込んできたスペードのエースのトランプ。
床に落ちたそれを拾った途端、
「僕は『スペード』の天城一彩。僕を喚んだのはどこの誰かな?」
トランプから煙と共に人が現れた。
初見なら驚くだろうが、怪人にとっては慣れきった光景で。
お決まりの文句と共に現れ、カードの持ち主に使役される存在。
「怪人タウラス、……お前のお兄ちゃんだよ」
使役する相手は誰でも良く、どんな命令でも聞く便利な道具。
なぜだか弟は俺と同じ怪人ではなく、そんな存在としてこの世に生まれ落ちてしまった。
「兄さん!何だか久しぶりだね」
一彩が嬉しそうに笑う。
「お前がトランプに戻ってフラフラ出かけちまうからだろ?こないだは怪人スコルピオに使役されてたって聞いたぜ?」
1042床に落ちたそれを拾った途端、
「僕は『スペード』の天城一彩。僕を喚んだのはどこの誰かな?」
トランプから煙と共に人が現れた。
初見なら驚くだろうが、怪人にとっては慣れきった光景で。
お決まりの文句と共に現れ、カードの持ち主に使役される存在。
「怪人タウラス、……お前のお兄ちゃんだよ」
使役する相手は誰でも良く、どんな命令でも聞く便利な道具。
なぜだか弟は俺と同じ怪人ではなく、そんな存在としてこの世に生まれ落ちてしまった。
「兄さん!何だか久しぶりだね」
一彩が嬉しそうに笑う。
「お前がトランプに戻ってフラフラ出かけちまうからだろ?こないだは怪人スコルピオに使役されてたって聞いたぜ?」
さとうばけ
DONEスペード×ダークアイ。性描写あり注意(R12くらい?)スペアイはプロポーズするまでキスもしないと思うけど
それはそれとして、なし崩しもいいよね、と。
webオンリー「怪盗は眠らない」参加作品 3441
sirohumo
DONEwarm bath作品「お慕い申し上げております」の萩原!お玉&フライパンを鳴らして朝起こしてくれる執事…テンプレの安心感が身に染みる😂
萩原って自身の性格(?)に問題があるのを自覚があるからこそ恋慕を抱きながらお嬢様からいっとき離れて性格の去勢をして頑張ったのに、なんか出来上がったのは合いに狂ってた男っていうのが絶妙怖いんですよね…。
ちなみに今回はミリシタの「スペードのQ」をよく聞いてた。
nchp_chu
PROGRESSA ♠️ スペードの国のアリス ♠️第1部攻略〜〜❕過去作㍉も知らないのでみんな知り合いだったって接してきて困惑したけどアリスの物言いが面白いしキャラも個性的で楽しかった🤣🤣✨推しはまだ定まってないから第2部も楽しみ🎶
好きな√は双子NORMAL、クリスNORMALです⛓⛓
2022.11.16
せろぽ
MOURNING1枚目に説明がありますのでよくお読み下さい。出てくるのはスペードとアイちゃんだけです。私はスペジョのつもりで描きましたがそう思われない方が多いと思います。地雷等がある方はご注意ください。 5月詠ショコラ
TRAINING #スペアリ #スペードの国のアリス髪の塗り方(髪の光)水彩バージョンにしてみた…。
髪の塗りはましにはなってきていると思う…。
色を淡く塗る練習中…。
次は横向き顔と全身描けるようになりたい。
なぎー
DOODLE⚠️ スペアリ エリオット ネタバレ ⚠️なぎー「犬の友達に生きる術を教わったエリオット、『俺はうさぎじゃねえ!』はブラッドの犬っていう意味で否定してるだけじゃなくて、物心ついた頃から犬に育てられたからガチで犬だと思ってる?『俺はうさぎじゃねえ!』シリアスじゃん」
友「エリオットマーチはもののけ姫なの?」
エリオットマーチもののけ姫じゃん……
月詠ショコラ
TRAINING #スペードの国のアリス#スペアリ #アリス=リデル
久々に絵描いた…。月に2枚は描きたいな…
もう少し塗りをなんとかしたい←いつも言ってる。
レイヤー間違え気をつけたい。
左向き自主練。絵垢に載せたもの。