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    ファウスト

    rotten_Mame

    DOODLE学パロネファ。フォ学じゃない。
    前に書いた学パロと同じ設定で、ファウストが高校を卒業する前の話。
    今回は健全。
    違う家の子どもだった男 そう言えば、と独り言ちて、彼は突然立ち上がった。そして部屋に備え付けのクローゼットの中から何かを探る。しばらくその様子を座ったまま見ていると、ようやく目当てのものを発見したのか、彼はこちらを振り向いた。

    「使っていないネクタイがあったけど要る?」

     クローゼットから取り出されたのは、買ってから一度も使っていないことが明らかな、ビニル袋に入った状態のネクタイだった。学校で指定されている、何とも言えないカーキ色のものだ。

    「どしたの、それ」
    「入学した時に予備として一本多く買ってもらったけど、結局使わなかったんだ。この間部屋の掃除をしていたら出てきた」
    「あんた、物持ち良さそうだもんな」

     あと一ヶ月で、ファウストは引っ越しをする。大学進学を機に、彼が18年間過ごしてきた名残で満ちたこの実家から出ていくのだ。今二人で寛いでいる彼の部屋には、既に段ボールがいくつか積まれている。引っ越しの準備を少しずつ進めているのだろう。その荷物をまとめている最中に、未使用のネクタイをクローゼットから見つけたのだと想像を働かせた。
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    しすい

    MOURNINGレイヴィニア・ファウスト、あるいはレイヴィニア・ゴーントに対するオミニスのお話を書こうとした何か
    悪魔、あるいはゴーント その転入生は奇妙な娘であった。
     スリザリンでありながら勇猛果敢、知的好奇心に溢れており、困った人間を助けて回る。組分け帽子はグリフィンドールかスリザリンかでウンウン唸ったというのが噂だが、あながち間違いではないのかもしれないな、とオミニスは思う。彼女はいつもどこかしらから血の匂いがしていたし、ある時はウィゲンウェルド薬の匂いをこれでもかとばかりにさせていたので、あまり危険な事に首を突っ込むなよと口を出してしまった事もある。──まあ、聞き入れられた事はないが。
     レイヴィニアの名前を、オミニスは彼女が転入するずっと前から知っていた。何しろ彼女は己の従姉妹に当たる存在だからだ。ゴーント家にあってマグルと交わったが為に異端とされた魔女、その忘れ形見だと言うのは記憶に新しい。当然の如く家系図からは消され、ほんの半年前にようやっと夫婦諸共殺されたが、娘のレイヴィニアが魔女としての才を開花させた事で面倒な事になっていることもオミニスは知っている──レイヴィニアは知らないことだが。
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    mitaka

    DONE開門フェス2開催おめでとうございますー!!!

    弟子大好きなフィガロとまだ素直になれないファウストが歩み寄るきっかけのお話です。
    フィガロがめんどくさかったり、弱気になったりしますが、悲しい話ではありません。
    ※嵐の谷の様子や師弟時代などなど、捏造満載です。

    後日、年齢制限部分の続きとファウスト視点の短編を加えて、支部に掲載したいと思っています。
    ブルーモーメントに染まる朝いつからこうしていたのか。
    それすらわからなくなるほど、緋色の焔に冒されて、次第に現の感覚を失っていく。
    確かなのは、そこにきみがいて、そこに俺がいるということ。
    ただそれだけ。

    それだけのことが、なぜこんなにも苦しくて、なぜこんなにも幸福なのだろう。







    ◇◇◇

     ひと目見て、ああ今日は一等気分が良いのだ、ということがわかった。薄檸檬の柔らかい空気の色と、可愛いらしい幸福の小花。それを全身に纏っていることが可視化できそうなくらいだ。口元は軽く緩んでいて、心なしか笑みを浮かべているようにも見える。本人は周囲には漏れていないと思っているのかもしれないが、その実、自身の内に正直で、存外顔に出やすいタイプなのだ。何よりも、拒否されず対面で食堂の席に座っていられることが大きな証拠だった。悲しいけれど、普段ならこんなにあっさりと近くに寄ることはできないから。
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