レトユリ
mug-taro3
MOURNING240310、追加イベント当日は参加していなかったのもあり載せるのを躊躇っていたんですけど、今更ではありますが何となくそんな気分になったので…😳
ポスカ企画の没にしたラフです。描こうと思っていた内容自体は一緒ですね。
置いた色が気に入っていたんですけど、折角レトユリオンリーなのにメインの二人が小さ過ぎるかな…と思って構図を変えました。イベント、盛り上がっていたみたいで良かったです!! 2
ぬ~~
DOODLE本日開催のレトユリプチオンリー「導きの炎は薄闇を照らす」様のポストカード企画にお茶会風のイラストを寄稿させて頂きました。会場の内装や展示など楽しませて頂いてます。遅れてハマったので再録とても嬉しいです。私も今年こそは漫画描きたいです。 2Satsuki
PROGRESS3/10サンプル追加しました。3月17日(日)に開催される、「刻印の誇り21」にてヒーローズ軸のレトユリまとめ本を発行予定です。本編軸でユーリスをロストしているベレト先生が、アスクで悩んでいる話の完結編を鋭意執筆中です。よろしくお願いします。本日はイベントに合わせて進捗を載せておきます。まだ下書き状態です……240211
かわたれどきのふたりたび
帝国歴一一八七年
目を覚ますと、部屋の空気はシンと冷たくベレトを包んでいた。ひとつ大きく息を吐き、毛布の誘惑から身を引きはがす。窓の外は、どうやら雪が降っているらしかった。
戦争が終結し、新しい未来を切り開いた代わりに、人々は多くを失った。この先も彼等を導き続け、このフォドラを治めて行かねばならない。
勝者は死体の上を歩き、そこに道を創る。後ろを見ている暇などない。縋り付く民の手を取り、傷ついた仲間たちを率いて、歩き続けなくてはならない。より良い未来を夢見て、自分の道を進み行くために斬った者たちへの、それが手向けだ。
手向け。そうだ、敵だけではなく、自分のために死んでいった仲間に報いるためにも、歩き続ける必要があった。歩くのは得意だ。今も、昔もそうだった。
4904帝国歴一一八七年
目を覚ますと、部屋の空気はシンと冷たくベレトを包んでいた。ひとつ大きく息を吐き、毛布の誘惑から身を引きはがす。窓の外は、どうやら雪が降っているらしかった。
戦争が終結し、新しい未来を切り開いた代わりに、人々は多くを失った。この先も彼等を導き続け、このフォドラを治めて行かねばならない。
勝者は死体の上を歩き、そこに道を創る。後ろを見ている暇などない。縋り付く民の手を取り、傷ついた仲間たちを率いて、歩き続けなくてはならない。より良い未来を夢見て、自分の道を進み行くために斬った者たちへの、それが手向けだ。
手向け。そうだ、敵だけではなく、自分のために死んでいった仲間に報いるためにも、歩き続ける必要があった。歩くのは得意だ。今も、昔もそうだった。
Satsuki
DONE五年目の同窓会&レトユリプチオンリー「導きの炎は薄闇を照らす」開催おめでとうございます!お題「同窓会」をお借りして、なんてことなさすぎる小話を書きました~~ユーリスとのこの散策会話好きすぎて💚💜賑やかしになりますように!!230211五年目の同窓会灯りを避けて暗闇を踏み、足音を忍ばせて歩く。なるべく目立たぬよう、誰の目にも留まらぬように。
深夜のガルグ=マク大修道院は静けさに包まれている。昼間の授業や訓練で疲れ果てた生徒たちを、星々が見守っている。無論、夢の中にいる者たちばかりではない。勉強熱心なことに図書室でなにやら本を探している者もいれば、まだ槍を握り、自らを律するかのように鍛錬に打ち込む者もいる。寝台で物思いに耽り、眠りにつけぬ者もいるだろう。そのどれにも当てはまらぬ自分は、やはり異物なのだろうな。と、ユーリスは唇の端をちょっとだけ持ち上げた。人には人の事情がある。他者のそれに首を突っ込むつもりは毛頭ないのだが、厄介なことに学級が同じだというだけでユーリスに関わってこようとする人間もいる。いやそもそも、物好きなことに自分を地上の学級にスカウトした『担任教師』がそうだった。
2786深夜のガルグ=マク大修道院は静けさに包まれている。昼間の授業や訓練で疲れ果てた生徒たちを、星々が見守っている。無論、夢の中にいる者たちばかりではない。勉強熱心なことに図書室でなにやら本を探している者もいれば、まだ槍を握り、自らを律するかのように鍛錬に打ち込む者もいる。寝台で物思いに耽り、眠りにつけぬ者もいるだろう。そのどれにも当てはまらぬ自分は、やはり異物なのだろうな。と、ユーリスは唇の端をちょっとだけ持ち上げた。人には人の事情がある。他者のそれに首を突っ込むつもりは毛頭ないのだが、厄介なことに学級が同じだというだけでユーリスに関わってこようとする人間もいる。いやそもそも、物好きなことに自分を地上の学級にスカウトした『担任教師』がそうだった。
sesami___n
PROGRESS【5年目の同窓会展示①】『HisLips』
蒼√のレトユリ妄想漫画。できたところまでを展示しております。今年中の完成が目標です!
※蒼√ベースで設定やエピソードを多々捏造しております
※流血表現あり
※この作品は【モブユリ】を含みますご注意下さい
※蒼√EP21の散策会話の引用があり、ネタバレにご注意下さい 42
sesami___n
DONE【5年目の同窓会展示②】無双レトユリ支援S妄想イラスト安宿で逢瀬している無双レトユリが支援Sするシーンです。寝台でくつろぎながら互いが大事にしている兵法の指南書と銀の指輪を交換しています。ユーリスはベレトが寝てる間に指のサイズ計ってそうだなと思いました!
当初ポストカード企画用にと思って描いたものなのですが設定がわかりにくく込み入った内容だったので個人的な展示とさせていただきました
Satsuki
DONE紅ルートエンディング後レトユリらくがき。リハビリ中。231121チラチラと、燭台の炎が揺れている。部屋の中は温かで、酒と料理の匂いが、ちょっと埃っぽい空気に漂っていた。ユーリスはゆったりと足を組んで座り、思い思いに酒を飲み交わしている部下たちを眺める。今日もまた、生き残った。戦争の後始末も、組織同士の抗争も、少しずつ落ち着き始めている。ファーガスの暗黒街にも、ようやっと秩序というものが訪れようとしているのかもしれない。でも、まだまだだ。
戦争によって親や故郷を失った者たちは、心が荒み、やけっぱちになって賊に身を落とす。街道の追い剥ぎやら、村々を襲う盗賊やら。そんな奴らを少しずつ懐柔して、きちんと躾けて、使える部下にしていくのがユーリスの仕事だった。無論、教育していく上で、ユーリスに絶対の忠誠を刷り込ませていくわけだが。
2128戦争によって親や故郷を失った者たちは、心が荒み、やけっぱちになって賊に身を落とす。街道の追い剥ぎやら、村々を襲う盗賊やら。そんな奴らを少しずつ懐柔して、きちんと躾けて、使える部下にしていくのがユーリスの仕事だった。無論、教育していく上で、ユーリスに絶対の忠誠を刷り込ませていくわけだが。
Satsuki
DOODLEいつかのどこかのレトユリ。無双のユーリスの支援を噛み締めた。前にもこういう文章書いた気がする。230728罵声が飛び、側頭部に衝撃が走った。奥歯を食いしばり、ユーリスは石の飛んできた方を睨みつける。言ってやりたいことが山ほどあった。善人面したクズ共が、一体どんな顔で自分に石を投げているのかと。
その口で、屋根もない場所に蹲る子どもに、優しい言葉の一つでもかけてやったことがあるか。その手を差し伸べて、パンのひとつでも恵んでやったことがあるのか。
拘束された両手にかけられた縄を引かれ、ユーリスはよろめくように前に進む。美しい顔に鮮血が伝い、唇を紅く彩っている。眼の前の兵士の無機質な鎧。その背中に、どんなうまい話を持ち掛けてやれば、この場を逃れることができるだろう。なんて、馬鹿げた考えだ。全ては遅すぎる。いや、こうなるのがそもそも遅かったのかもしれない。あの時、教団の司祭を斬り捨てた時。流行病で高熱を出した時。何度も、この命が尽きたと思った。けれど生き延びた。だから少し、思い上がってしまっていたのだろう。そう簡単には、自分は窮地に立たされまいと。そうして辿ってきた道の先で、今は地面を踏みしめて歩く。一歩、一歩、と、死に近付いていく。
1367その口で、屋根もない場所に蹲る子どもに、優しい言葉の一つでもかけてやったことがあるか。その手を差し伸べて、パンのひとつでも恵んでやったことがあるのか。
拘束された両手にかけられた縄を引かれ、ユーリスはよろめくように前に進む。美しい顔に鮮血が伝い、唇を紅く彩っている。眼の前の兵士の無機質な鎧。その背中に、どんなうまい話を持ち掛けてやれば、この場を逃れることができるだろう。なんて、馬鹿げた考えだ。全ては遅すぎる。いや、こうなるのがそもそも遅かったのかもしれない。あの時、教団の司祭を斬り捨てた時。流行病で高熱を出した時。何度も、この命が尽きたと思った。けれど生き延びた。だから少し、思い上がってしまっていたのだろう。そう簡単には、自分は窮地に立たされまいと。そうして辿ってきた道の先で、今は地面を踏みしめて歩く。一歩、一歩、と、死に近付いていく。
Satsuki
DOODLEうさぎとレトユリの小話。支援Sから何年か後のどこか。うさぎ年なので積極的にうさぎ創作したいと思いました。230723「母さんが、うちじゃ飼えないって言うんだ」
少年が大事そうに抱えているのは、二羽の子うさぎが入った小さな箱だった。柔らかそうな布の上で、身を寄せ合っているうさぎは、ふわふわとしていてなんとも可愛らしい。ユーリスは足を組み、公園のベンチで溜息を吐いた。
「妹の咳が酷くなるから、って」
「そりゃあ、お前の母さんの言うことを聞くべきだ」
「咳やくしゃみはつらいからな……」
ベレトは、俯いた少年の隣に腰かける。ユーリスと二人で、少年を挟むような格好だ。子うさぎがひくひくと鼻先を動かして、ピクリとこちらを見上げた。動物を飼うということは、ただ可愛いから、というだけでは済ませられない問題があるものだ。
「学校で産まれちゃったんだもん。僕がもらわなけりゃ、処分されちゃってたかも」
1820少年が大事そうに抱えているのは、二羽の子うさぎが入った小さな箱だった。柔らかそうな布の上で、身を寄せ合っているうさぎは、ふわふわとしていてなんとも可愛らしい。ユーリスは足を組み、公園のベンチで溜息を吐いた。
「妹の咳が酷くなるから、って」
「そりゃあ、お前の母さんの言うことを聞くべきだ」
「咳やくしゃみはつらいからな……」
ベレトは、俯いた少年の隣に腰かける。ユーリスと二人で、少年を挟むような格好だ。子うさぎがひくひくと鼻先を動かして、ピクリとこちらを見上げた。動物を飼うということは、ただ可愛いから、というだけでは済ませられない問題があるものだ。
「学校で産まれちゃったんだもん。僕がもらわなけりゃ、処分されちゃってたかも」
Satsuki
DONEエアスケブいただいていた「お茶会でユーリスに初恋の話を振って失敗するレト先生のレトユリ」です。いつも青√にしてしまう。エアスケブリクエストありがとうございました!大変お待たせしてすみません!!230715淹れたての紅茶の、甘いベリーの香り。カチリと、目の前に置かれたティーカップが立てる、微かな音さえ好ましかった。太陽の光は少しばかり眩しい。木陰に置かれたティーテーブルに向かい、ユーリスは正面に腰かけている、無表情な教師を見つめた。出がけに、自室の鏡で整えた化粧は今日も完璧だ。襟元も、級長の証である白いマントも、靴の先まで磨いて綺麗にしておいた。この人に一切の隙を見せたくなかったからだ。最初は、自分を地上の学級にスカウトするなんて、酔狂な男だと思っていた。元傭兵の士官学校教師ともなれば、考えることも普通ではないということか。泣く子も黙る灰色の悪魔と呼ばれた青年、それが目の前にいるベレトだった。学級の課題として出撃した時は、見事な指揮と圧倒的な剣術を見せ、その経験を周囲に知らしめていた。どうやら紋章を持っているらしいが、本人はそのことを一切知らずに育っていたようだ。セイロス教のことも、レア様のことも、ガルグ=マク大修道院に来てからその知識を得たという。
4217Satsuki
DONEエアスケブいただいていた「レトユリの結婚前夜」です。青√後の二人が結婚前夜というか直前に色々考えている話。友情出演のシルヴァン。エアスケブリクエストありがとうございました!お待たせしてすみません!!230620大聖堂内の瓦礫が撤去され、人々はまたそこに集い、敬虔に祈りを捧げるようになった。まだ壊れたままの屋根からは優しい陽の光が差し込み、職人たちは汗を拭って修復作業を急いでいる。新しい大司教猊下が伴侶を迎えるという報は、瞬く間にフォドラを駆けた。戦争の英雄であり、元士官学校教師にして、傭兵産まれ。そんな型破りな彼が娶る花嫁は、共に戦い抜いた将兵の一人。誰よりも義侠心に厚く、美しくて、聡明な男性。その名も、ユーリス=ルクレール。民衆は喜び、一部の貴族は眼を剥いた。だが、誰も彼も口を開けば祝福の詞だけが躍り出る。それでよかった。
「俺の過去の知り合いについては、一応手を打ってある」
ユーリスはそう言って唇の端をクッと上げて見せたし、ベレトもそれで納得した。尤も、ユーリスの生まれや裏稼業のことをベレトに吹き込み、彼を貶めようとする者がいたとしたら、大司教として丁重に裁きを下すつもりだったのだが。
4243「俺の過去の知り合いについては、一応手を打ってある」
ユーリスはそう言って唇の端をクッと上げて見せたし、ベレトもそれで納得した。尤も、ユーリスの生まれや裏稼業のことをベレトに吹き込み、彼を貶めようとする者がいたとしたら、大司教として丁重に裁きを下すつもりだったのだが。
Satsuki
DONEエアスケブいただいていた「ちょっとしたことで喧嘩もしくはすれ違いをしてしまうレトユリ」のお話です。青√後の二人、いつかのどこかにて。エアスケブリクエストありがとうございました!多分、思ってたんと違うと思いますごめんなさい。私も思ってたんと違います(は???)230529 昔々、といっても私が生まれる少し前のこと。大きな戦争があったそうです。それまで、人々は平和に暮らし、鳥や獣たちの息吹が地に満ちていました。けれどもそこに、恐ろしい者たちがやってきて、何もかもを壊そうとしたのだそうです。その力は強大で、幾つもの命が失われ、人々は悲しみ、絶望に飲まれました。
もう駄目かと思われたその時、光の中から白くて大きなものが現れて、敵を蹴散らし、この地を守ってくださいました。豊かな国をずっと見守っていた彼は、戦争がどうしても許せなかったのです。炎を操り、悪者たちをやっつけると、白くて大きなものはやがて疲れ果て、大地に横たわりました。その手には、彼が大切に、大切に持っていた紫色の宝石が、悲しく光っていたそうです。
4786もう駄目かと思われたその時、光の中から白くて大きなものが現れて、敵を蹴散らし、この地を守ってくださいました。豊かな国をずっと見守っていた彼は、戦争がどうしても許せなかったのです。炎を操り、悪者たちをやっつけると、白くて大きなものはやがて疲れ果て、大地に横たわりました。その手には、彼が大切に、大切に持っていた紫色の宝石が、悲しく光っていたそうです。
Satsuki
DONE超刻印の誇り2023の無料配布で書いた無双のレトユリです。新刊の途中のどこかで親睦を深める二人、として書きました。年相応の青年同士らしく、盤面遊戯や真実か挑戦かみたいなゲームで遊ぶレトユリがいたらいいな……♡20230503束の間の休息「っしゃあ! 二匹目!」
パシャ、と水が跳ねる。隣の釣り竿がしなり、笑顔が弾けた。水面から勢いよく飛び出した魚が光り、ベレトは目を眇める。まるで年端も行かぬ少年のように喜ぶユーリスが、眩しく見えた。
「結構デカいな。これなら、昼飯には十分かもしれないけど……あんたが釣れねえと、勝負にならねえな」
「勝負をするとは言っていないが……」
ベレトは釣り竿を上げて、自分の釣り針を確認した。獲物の気配はなく、餌もそのままついている。魚たちは、腹が減っていないのだろうか。それとも、よほどユーリスの使っている仕掛けが気になるのか。
「さて、じゃあ次の質問だ。そうだな……そういえば、あんたって歳はいくつなんだ?」
「歳……」
2402パシャ、と水が跳ねる。隣の釣り竿がしなり、笑顔が弾けた。水面から勢いよく飛び出した魚が光り、ベレトは目を眇める。まるで年端も行かぬ少年のように喜ぶユーリスが、眩しく見えた。
「結構デカいな。これなら、昼飯には十分かもしれないけど……あんたが釣れねえと、勝負にならねえな」
「勝負をするとは言っていないが……」
ベレトは釣り竿を上げて、自分の釣り針を確認した。獲物の気配はなく、餌もそのままついている。魚たちは、腹が減っていないのだろうか。それとも、よほどユーリスの使っている仕掛けが気になるのか。
「さて、じゃあ次の質問だ。そうだな……そういえば、あんたって歳はいくつなんだ?」
「歳……」
Satsuki
PASTオメガバースパロのレトユリ。ここには投下してなかったっぽいので再放送&書きたいところまで加筆してあります。そのうちまた加筆するかもしれない。多分。230131ユーリス・ルクレールはβ性である。
この世界には、男女のほかに三つの性がある。貴族階級の家に紋章と共に発現しやすい「アルファ」、平民をはじめとして多くの者がもつ「ベータ」、そして極一部の「オメガ」と呼ばれる性別だ。才能やカリスマ性に溢れるアルファは紋章がなくとも持て囃され、ヒートと呼ばれる発情期によって周囲をかき乱すオメガは疎まれている。ただし、オメガの容姿端麗さは目を引くものがあるし、アルファとの相性から、由緒ある家の当主がオメガを妾や養子にとることも珍しくなかった。過去、紋章同士を掛け合わせるためにアルファ同士の婚姻が盛んに行われた歴史もあったようだが、上手くいった例は少ないようである。ユーリスはその秀麗さからオメガではないかと囁かれることもあったが、ヒートなんぞという面倒くさいものが起きたこともないし、ローベ伯爵やその他の貴族共のアルファフェロモンだかなんだかにクラクラしたこともない。貧民街にはオメガの娼婦もいたが、そのヒートにあてられたこともなかった。自身の紋章や出生についてコッソリ調べた時についでで確認した際も、ベータであろうという結果だった。だから、第二の性については、オメガ性をもつ仲間が苦しんでいるときに薬を差し入れしたり、アルファに見つからないよう匿ってやったりする時くらいにしか意識したことがない。
12749この世界には、男女のほかに三つの性がある。貴族階級の家に紋章と共に発現しやすい「アルファ」、平民をはじめとして多くの者がもつ「ベータ」、そして極一部の「オメガ」と呼ばれる性別だ。才能やカリスマ性に溢れるアルファは紋章がなくとも持て囃され、ヒートと呼ばれる発情期によって周囲をかき乱すオメガは疎まれている。ただし、オメガの容姿端麗さは目を引くものがあるし、アルファとの相性から、由緒ある家の当主がオメガを妾や養子にとることも珍しくなかった。過去、紋章同士を掛け合わせるためにアルファ同士の婚姻が盛んに行われた歴史もあったようだが、上手くいった例は少ないようである。ユーリスはその秀麗さからオメガではないかと囁かれることもあったが、ヒートなんぞという面倒くさいものが起きたこともないし、ローベ伯爵やその他の貴族共のアルファフェロモンだかなんだかにクラクラしたこともない。貧民街にはオメガの娼婦もいたが、そのヒートにあてられたこともなかった。自身の紋章や出生についてコッソリ調べた時についでで確認した際も、ベータであろうという結果だった。だから、第二の性については、オメガ性をもつ仲間が苦しんでいるときに薬を差し入れしたり、アルファに見つからないよう匿ってやったりする時くらいにしか意識したことがない。
Satsuki
DONE士官学校時代のレトユリ。くっついてない。230125「ユーリス。きみは今日、自分と個人指導だ」
「おう」
「飛行訓練場に来なさい」
「げっ」
最悪だ、と呟いたユーリスだったが、その足は思いのほか素直にベレトに付き従った。いい加減、上空警備の当番を級友に代わってもらうのも限界だ。というか、もしかしたらそれもバレていて怒られるのかもしれない。
(まあ、怒られたところで俺様の体質がどうにかなるわけでもなし……)
青獅子学級にスカウトされ、最初の飛行訓練を行った時のことを思い出す。女子は天馬、男子はドラゴンに騎乗する方法を教わったが、シルヴァンが天馬を横を通りすがっただけで抗議の鳴き声が上がっていた。
『あ~あ、俺、昔っから天馬には嫌われるんですよねえ』
『ふん。色情魔め、天馬には分かるのだろうさ』
3712「おう」
「飛行訓練場に来なさい」
「げっ」
最悪だ、と呟いたユーリスだったが、その足は思いのほか素直にベレトに付き従った。いい加減、上空警備の当番を級友に代わってもらうのも限界だ。というか、もしかしたらそれもバレていて怒られるのかもしれない。
(まあ、怒られたところで俺様の体質がどうにかなるわけでもなし……)
青獅子学級にスカウトされ、最初の飛行訓練を行った時のことを思い出す。女子は天馬、男子はドラゴンに騎乗する方法を教わったが、シルヴァンが天馬を横を通りすがっただけで抗議の鳴き声が上がっていた。
『あ~あ、俺、昔っから天馬には嫌われるんですよねえ』
『ふん。色情魔め、天馬には分かるのだろうさ』
Satsuki
Deep Desire書き納めでした。現パロ(完全にパロ)なレトユリが大晦日にいちゃついている話です。現パロだと教師と生徒(夜間定時制)とかで出会って、卒業してから付き合って欲しいですね。卒業してから五年待たせるレト先生(大学、就職してからじゃないと……)もいるかもしれない……いやでもそんなのユーリス待てませんよね。お幸せに。230101 1234sesami___n
DONE7月のwebオンリーでリクエスト頂いたイラストをまとめました。①ベレス先生とユーリス
②14~15歳頃のレトユリ
③女神の塔イベントでユーリスが現れたif
④イチャイチャする伴侶レトユリ
⑤無双ディミトリとユーリス
とても楽しかったです!ありがとうございました! 12
Satsuki
DONEイベントでエアスケブリクエストいただいたレトユリです。支援Aでお互いの気持ちが分かっているくらいのお茶会の話。MAMIさんリクエストありがとうございました!221110やっと見つけたユーリスは、珍しく軽装だった。彼らしい薄鼠色のシャツを着て、腰に短剣を下げている。片手には小さな花束を下げて、ベレトを見かけると、少し早足に近づいて来た。
「よお先生。あんたも買い物か?」
「ユーリス、偶然だな。きみは今戻ったところ?」
ガルグ=マクの市場は今日もほどほどに賑わっている。ベレトは脇に紙袋を抱えて、ユーリスをまじまじと見た。長い髪は今日もつやつやと両肩に遊んでおり、化粧の施された両目は悪戯っぽく微笑んでベレトを見ている。もしかしたら、誰かと会って来た帰りなのかもしれない。およそ彼の持ち物らしくない花束と、どこかうきうきとした様子がそう思わせた。誰かと楽しい時を過ごし、花を受け取って帰って来たところなのだとしたら、相手は誰だろう。そう考えるより先に、鼻を利かせたユーリスが、ベレトの持つ紙袋から漂う甘い匂いを嗅ぎつけた。
4137「よお先生。あんたも買い物か?」
「ユーリス、偶然だな。きみは今戻ったところ?」
ガルグ=マクの市場は今日もほどほどに賑わっている。ベレトは脇に紙袋を抱えて、ユーリスをまじまじと見た。長い髪は今日もつやつやと両肩に遊んでおり、化粧の施された両目は悪戯っぽく微笑んでベレトを見ている。もしかしたら、誰かと会って来た帰りなのかもしれない。およそ彼の持ち物らしくない花束と、どこかうきうきとした様子がそう思わせた。誰かと楽しい時を過ごし、花を受け取って帰って来たところなのだとしたら、相手は誰だろう。そう考えるより先に、鼻を利かせたユーリスが、ベレトの持つ紙袋から漂う甘い匂いを嗅ぎつけた。
Satsuki
DONEレトユリレトまとめ本「Eternal Happy Wedding」に書きおろしとして載せていた話の再録です。本は完売しています、ありがとうございました!「三年目の同窓会」で展示していました。221103 11106Satsuki
DONEハロウィンぽいレトユリっぽなにか2022。「三年目の同窓会」で展示していました。221031「あの家はヤダ! 行きたくない!」
「じゃあ、一人でそこで待ってれば?」
僕がいくら止めても、友達はあきれ顔で村はずれの小さな家へと歩いて行ってしまう。シーツを頭からかぶり直し、カボチャ型の小さなバケツを持って。
「ま、待てよ! 一人にするなよ……! 僕も、行くから……」
慌てて追いかけた。今日は、死者が蘇るといわれている祭りの夜。昔からファーガスには、戦争で亡くなった人たちの霊を慰めるお祭りがあった。戦争があったのなんて、うんと昔の話だけど、当時の王様と大司教様が、戦争で活躍した人たちにイケーの念というものを示して? それで取り決めた祭りらしい。それに、ここファーガス西部を治めていた領主さまが子供好きで、おまけに甘いものにも目がなかったとかで、このお祭りでは子どもたちがお菓子を貰える日になっているんだ。家々を回って、お決まりの台詞を言う。そうすると、このバケツにお菓子を入れて貰える。今日だけはどの家もお菓子を準備して子供を待っているものだ。でも、僕はあの家にだけは近づきたくなかった。町はずれにぽつんと立っている、どこか異国風の家。木々に囲まれて、ひっそりとしているあの家には、男の人が二人で住んでいるけれど、あまり姿を見かけたことはない。僕たちが学校へ行っている間に、お母さんたちは挨拶をしたり、野菜を交換し合ったりしてるみたいだ。
2938「じゃあ、一人でそこで待ってれば?」
僕がいくら止めても、友達はあきれ顔で村はずれの小さな家へと歩いて行ってしまう。シーツを頭からかぶり直し、カボチャ型の小さなバケツを持って。
「ま、待てよ! 一人にするなよ……! 僕も、行くから……」
慌てて追いかけた。今日は、死者が蘇るといわれている祭りの夜。昔からファーガスには、戦争で亡くなった人たちの霊を慰めるお祭りがあった。戦争があったのなんて、うんと昔の話だけど、当時の王様と大司教様が、戦争で活躍した人たちにイケーの念というものを示して? それで取り決めた祭りらしい。それに、ここファーガス西部を治めていた領主さまが子供好きで、おまけに甘いものにも目がなかったとかで、このお祭りでは子どもたちがお菓子を貰える日になっているんだ。家々を回って、お決まりの台詞を言う。そうすると、このバケツにお菓子を入れて貰える。今日だけはどの家もお菓子を準備して子供を待っているものだ。でも、僕はあの家にだけは近づきたくなかった。町はずれにぽつんと立っている、どこか異国風の家。木々に囲まれて、ひっそりとしているあの家には、男の人が二人で住んでいるけれど、あまり姿を見かけたことはない。僕たちが学校へ行っている間に、お母さんたちは挨拶をしたり、野菜を交換し合ったりしてるみたいだ。
Satsuki
DOODLE無双のレトユリとシェ⚔くん。どこかのエンディングの後のいつか。短い。220905「よお、二人とも偶然だな。それに、久しぶり!」
シェズが気安く片手を上げて挨拶するので、ユーリスは懐かしさに緩む頬をそのままに笑顔を返した。
「おう。元気そうだな、シェズ」
「何年ぶりだろう、本当に久しいな」
「ベレトも相変わらずって感じだな。二人の噂は聞いてるぜ、ファーガスの暗黒街を統べる……」
「っと、滅多なことを口にするなよな。お前の傭兵団まで危なくなるぜ?」
ユーリスに止められ、シェズは苦笑いした。その名を口にすることも憚られる、フォドラの裏社会の総統とその用心棒。そのどちらもが目の前にいるのだ。あの戦争が完全に終結した後、二人はささやかな婚儀を挙げて結ばれていた。いつの間にそんな仲になっていたのかと、報告を受けたシェズは驚いたものだ。確かに二人が一緒に作業をしたり、戦場で背中を預け合って戦っていたりする場面は見かけていたが、同じ剣士として通じ合うものがあるのだろうと思っていた。それが、互いに想い合い、結婚の約束をしていたなんて。
1466シェズが気安く片手を上げて挨拶するので、ユーリスは懐かしさに緩む頬をそのままに笑顔を返した。
「おう。元気そうだな、シェズ」
「何年ぶりだろう、本当に久しいな」
「ベレトも相変わらずって感じだな。二人の噂は聞いてるぜ、ファーガスの暗黒街を統べる……」
「っと、滅多なことを口にするなよな。お前の傭兵団まで危なくなるぜ?」
ユーリスに止められ、シェズは苦笑いした。その名を口にすることも憚られる、フォドラの裏社会の総統とその用心棒。そのどちらもが目の前にいるのだ。あの戦争が完全に終結した後、二人はささやかな婚儀を挙げて結ばれていた。いつの間にそんな仲になっていたのかと、報告を受けたシェズは驚いたものだ。確かに二人が一緒に作業をしたり、戦場で背中を預け合って戦っていたりする場面は見かけていたが、同じ剣士として通じ合うものがあるのだろうと思っていた。それが、互いに想い合い、結婚の約束をしていたなんて。
ぬ~~
DONE紅花以外の支援S後~婚儀前くらいのレトユリが初夜どうする?ってお喋りしてる漫画。これまで一切合切の色仕掛けが効いていないのでエッチな展開期待しないようにしてるユーリス
VS
人外意識強めの情緒赤ちゃん先生 16
Satsuki
DOODLE無双のレトユリ。ジェラルト&ベレトの支援会話を擦った結果。220821(220809)「ふうん、なかなか様になっちゃあいるが……着心地はどうだ?」
ユーリスの言葉に、ベレトは自分の格好をしげしげと見下ろした。この士官学校の礼服は、ユーリスが数年前に使用していたものだという。父であるジェラルトがかつて騎士団長を務めていた、セイロス騎士団。その本拠地であるガルグ=マク大修道院に併設されている士官学校に、自分が入学する道もあったのかもしれない。以前そんな話を聞かせた時に、じゃあ気分だけでも味わってみるか、なんて笑っていたユーリスが、わざわざ自分の服を持って来てくれたのだ。
「少し、きついな……それに、動きがとりにくい」
「ま、礼服は戦闘向けじゃねえしな」
言いながら、ユーリスは両手を伸ばしてベレトの首元を緩めてやる。肩や背中も、ちょっと、いや結構な具合で窮屈そうだ。ユーリスが十代の頃に着ていたものなのだ、仕方がないだろう。かくいう本人も当時の級長服を身に付けてみているのだが、やはりこの戦争のせいで筋肉がつき、体格が変わったらしく、寸法が合わなくなっている。
1363ユーリスの言葉に、ベレトは自分の格好をしげしげと見下ろした。この士官学校の礼服は、ユーリスが数年前に使用していたものだという。父であるジェラルトがかつて騎士団長を務めていた、セイロス騎士団。その本拠地であるガルグ=マク大修道院に併設されている士官学校に、自分が入学する道もあったのかもしれない。以前そんな話を聞かせた時に、じゃあ気分だけでも味わってみるか、なんて笑っていたユーリスが、わざわざ自分の服を持って来てくれたのだ。
「少し、きついな……それに、動きがとりにくい」
「ま、礼服は戦闘向けじゃねえしな」
言いながら、ユーリスは両手を伸ばしてベレトの首元を緩めてやる。肩や背中も、ちょっと、いや結構な具合で窮屈そうだ。ユーリスが十代の頃に着ていたものなのだ、仕方がないだろう。かくいう本人も当時の級長服を身に付けてみているのだが、やはりこの戦争のせいで筋肉がつき、体格が変わったらしく、寸法が合わなくなっている。