レトユリ
Satsuki
CAN’T MAKE一応レトユリ。TSレト先生。ギャグにもエロにもならなかった。210902最初の異変に気付いたのは、ユーリスだった。
「あんた……ちょっと、痩せたか?」
がし、と掴んだ大司教猊下の裸の腰は、以前よりほっそりとしているように思えた。ついでにそのまま脇腹へ撫で上げて、胸元へと手を進める。以前は硬く引き締まっていた胸筋は、少々緩んで柔らかいような気がする。むに、と揉まれて、ベレトは
「痩せてはいないと思うが……最近は体を動かすことが減ってしまったから、筋肉が衰えたのかもしれない」
と少し悲しそうな顔をした。腕のあたりは変わっていないようだが、確かに剣よりもペンを持つことの方が多くなり、戦場を駆けまわることもなくなった今では筋肉の量が減っても不思議ではない。
「今度、お忍びで孤児院の子どもたちに剣術でも教えに行こうぜ」
4368「あんた……ちょっと、痩せたか?」
がし、と掴んだ大司教猊下の裸の腰は、以前よりほっそりとしているように思えた。ついでにそのまま脇腹へ撫で上げて、胸元へと手を進める。以前は硬く引き締まっていた胸筋は、少々緩んで柔らかいような気がする。むに、と揉まれて、ベレトは
「痩せてはいないと思うが……最近は体を動かすことが減ってしまったから、筋肉が衰えたのかもしれない」
と少し悲しそうな顔をした。腕のあたりは変わっていないようだが、確かに剣よりもペンを持つことの方が多くなり、戦場を駆けまわることもなくなった今では筋肉の量が減っても不思議ではない。
「今度、お忍びで孤児院の子どもたちに剣術でも教えに行こうぜ」
Satsuki
DOODLEレトユリ。どこかの世界線で賭けポーカーをする二人。賭博をするユーリスの夢を見たから書きました。「レイズだ」
ベレトが完全なる『ポーカーフェイス』でそう宣言したので、ユーリスは信じられないといった面持ちになる。
路銀が必要だった。前金が出そうな傭兵の仕事も、雑用めいた手伝いもない場末の酒場。ユーリスの提案で、二人はあまり素行の良くはなさそうな連中に混じってカードゲームに参加した。勝てる賭けしかしない、と言って憚らないユーリスらしからぬことに、負けが続いた。何のことは無い。イカサマだ。相手は二人組で、何かカードに仕掛けをしてあるらしい。ユーリスが「これで仕舞いだ」と言ったにも関わらず、相手は大勝負を持ち掛けてきた。テーブルの上の金を全部賭けようというのだ。
「俺がやろう」
一瞬しり込みしたユーリスの代わりに、ベレトが勝負を受けた。止める間もなく、相手はさっさとカードを配ってしまう。ああ、とユーリスは頭を抱えた。「あんた、カードなんてやったことないだろ!」と囁くと、ベレトは「きみのを見て、今覚えた」なんてさらりと言う。ああ畜生、これで素寒貧だ。ユーリスはもうどうにでもなれという気持ちでベレトの手元を見守った。あーあ、この短剣でも売り払えばちょっとは金になるだろうか。そう考え始めた時、ベレトは配られた手札を一枚も交換することなく、重ねて手の下に隠してしまった。
1452ベレトが完全なる『ポーカーフェイス』でそう宣言したので、ユーリスは信じられないといった面持ちになる。
路銀が必要だった。前金が出そうな傭兵の仕事も、雑用めいた手伝いもない場末の酒場。ユーリスの提案で、二人はあまり素行の良くはなさそうな連中に混じってカードゲームに参加した。勝てる賭けしかしない、と言って憚らないユーリスらしからぬことに、負けが続いた。何のことは無い。イカサマだ。相手は二人組で、何かカードに仕掛けをしてあるらしい。ユーリスが「これで仕舞いだ」と言ったにも関わらず、相手は大勝負を持ち掛けてきた。テーブルの上の金を全部賭けようというのだ。
「俺がやろう」
一瞬しり込みしたユーリスの代わりに、ベレトが勝負を受けた。止める間もなく、相手はさっさとカードを配ってしまう。ああ、とユーリスは頭を抱えた。「あんた、カードなんてやったことないだろ!」と囁くと、ベレトは「きみのを見て、今覚えた」なんてさらりと言う。ああ畜生、これで素寒貧だ。ユーリスはもうどうにでもなれという気持ちでベレトの手元を見守った。あーあ、この短剣でも売り払えばちょっとは金になるだろうか。そう考え始めた時、ベレトは配られた手札を一枚も交換することなく、重ねて手の下に隠してしまった。
Satsuki
MOURNINGレトユリ。突然の人魚パロ「トリック……!!」
ひどい嵐だった。船は傾き、船員たちは大声で怒鳴り合いながら走り回り、帆を操り、舵を切ってなんとかしようと力を尽くしている。ユーリスは他国の商人との取引を終えて帰国する途中だった。船室で、子供が見当たらない、と発狂寸前になっている女を宥め、もしやと思って甲板に出た。かろうじて縄に捕まり、隅で体を縮めて泣いていた子供を見つけて手を伸ばした、その時。船が大きく傾き、小さな体が宙に舞っていた。
あのままじゃ、海に落ちるーーー!
そう思った瞬間、ユーリスは考えるより先に力を使っていた。自分の位置と子供の位置が入れ替わる。あ、やべ。そう思ったのは海面に落ちてからだった。ここからどうするか、考えてなかった……
1693ひどい嵐だった。船は傾き、船員たちは大声で怒鳴り合いながら走り回り、帆を操り、舵を切ってなんとかしようと力を尽くしている。ユーリスは他国の商人との取引を終えて帰国する途中だった。船室で、子供が見当たらない、と発狂寸前になっている女を宥め、もしやと思って甲板に出た。かろうじて縄に捕まり、隅で体を縮めて泣いていた子供を見つけて手を伸ばした、その時。船が大きく傾き、小さな体が宙に舞っていた。
あのままじゃ、海に落ちるーーー!
そう思った瞬間、ユーリスは考えるより先に力を使っていた。自分の位置と子供の位置が入れ替わる。あ、やべ。そう思ったのは海面に落ちてからだった。ここからどうするか、考えてなかった……
Satsuki
DONEレトユリ。蒼ルート後支援Sしてる二人。イチャイチャデートしてほしかっただけの散文です。「ずいぶん上手くなったじゃないか」
「はっ、俺様を誰だと思ってやがる」
ブルル、と鳴いた愛馬に目を細め、ベレトはユーリスに微笑みかけた。どこか照れ臭そうに手綱を操り、ユーリスも自分の馬を降りる。二人きりでの遠乗りは初めてだった。大司教とその伴侶、という立場は時として厄介だ。馬車での移動は従者がつくし、徒歩では移動が制限される。二人きりでガルグ=マクを離れてのんびりとした時間を過ごすために、馬が必要だった。賢くて、二人でも乗りこなせる馬が。……お互い、あまり馬術の訓練を真面目にやっていなかったツケが回ってきたのだ。
「どうどう、よし……大人しくしてろよ」
湖畔に繋いでやると、二頭の馬は心得たとばかりに首を振った。ユーリスはちょっとばかりむずむずする鼻を擦り、ベレトを向き直る。
4212「はっ、俺様を誰だと思ってやがる」
ブルル、と鳴いた愛馬に目を細め、ベレトはユーリスに微笑みかけた。どこか照れ臭そうに手綱を操り、ユーリスも自分の馬を降りる。二人きりでの遠乗りは初めてだった。大司教とその伴侶、という立場は時として厄介だ。馬車での移動は従者がつくし、徒歩では移動が制限される。二人きりでガルグ=マクを離れてのんびりとした時間を過ごすために、馬が必要だった。賢くて、二人でも乗りこなせる馬が。……お互い、あまり馬術の訓練を真面目にやっていなかったツケが回ってきたのだ。
「どうどう、よし……大人しくしてろよ」
湖畔に繋いでやると、二頭の馬は心得たとばかりに首を振った。ユーリスはちょっとばかりむずむずする鼻を擦り、ベレトを向き直る。
Satsuki
DOODLEレトユリのちょっとした痴話喧嘩。 どうして俺を置いていくなんて言うんだよ、と、お頭ことユーリス=ルクレールが声を荒らげているので、部屋の外で見張りに立っている部下たちははらはらと冷や汗をかきながら顔を見合わせた。
「置いていくというか……きみに留守を頼みたいだけで」
「パルミラへ外交に行くときは俺も連れていくって、あんた前からそう言ってたよな?」
「それは……すまない、連れて行けなくなった」
「だから、それがどうしてなんだって聞いてんだよ!」
ユーリスのイライラとした声に、ベレトは心の隅で
(怒るとこんな声も出すんだな)
と密かに感心していた。だがそんな場合ではない。可愛い顔を怒りに歪ませて、伴侶がこちらを睨みつけているのだから。
アビスにあるユーリスの私室には、実に彼らしい調度品が並んでいる。仕事机と、棚と、ベッド。酒と本、そして化粧品に鏡。ベレトは何故だかこの空間が結構好きなのだが、ユーリスはあまりベレトを歓迎しない。どうも自分の隠された内面を見られるようで恥ずかしいらしい。無論、地上にも伴侶としての彼の部屋をつくりはしたが、一向に引っ越してくる気配はない。ここが好きなんだ、と話したときのはにかんだような笑顔は今はどこへやら。きりきりと眉を釣り上げ、賊の頭らしい目つきでベレトを睨んでいる。外交に同行させるというかねてからの約束を破ろうとしている上に、理由を語らないのだから仕方がない。しかし、『理由を言わねえなら意地でもついていくし、一人ででもフォドラの首飾りを越えて行くからな』と言われてベレトはついに折れてしまった。
1776「置いていくというか……きみに留守を頼みたいだけで」
「パルミラへ外交に行くときは俺も連れていくって、あんた前からそう言ってたよな?」
「それは……すまない、連れて行けなくなった」
「だから、それがどうしてなんだって聞いてんだよ!」
ユーリスのイライラとした声に、ベレトは心の隅で
(怒るとこんな声も出すんだな)
と密かに感心していた。だがそんな場合ではない。可愛い顔を怒りに歪ませて、伴侶がこちらを睨みつけているのだから。
アビスにあるユーリスの私室には、実に彼らしい調度品が並んでいる。仕事机と、棚と、ベッド。酒と本、そして化粧品に鏡。ベレトは何故だかこの空間が結構好きなのだが、ユーリスはあまりベレトを歓迎しない。どうも自分の隠された内面を見られるようで恥ずかしいらしい。無論、地上にも伴侶としての彼の部屋をつくりはしたが、一向に引っ越してくる気配はない。ここが好きなんだ、と話したときのはにかんだような笑顔は今はどこへやら。きりきりと眉を釣り上げ、賊の頭らしい目つきでベレトを睨んでいる。外交に同行させるというかねてからの約束を破ろうとしている上に、理由を語らないのだから仕方がない。しかし、『理由を言わねえなら意地でもついていくし、一人ででもフォドラの首飾りを越えて行くからな』と言われてベレトはついに折れてしまった。
Satsuki
MAIKINGレトユリ。ユーリスに歌を習う先生。このあと支援Cする。210510「あら~、今日の先生、とっても機嫌がよさそうね。何かいい事でもあったの?」
メルセデスの声に、ベレトは土をいじっていた手を止めて振り返った。どうして、と言いたげな視線にメルセデスの方が目を瞬かせる。
「だって、ずっと鼻歌をうたっているんだもの~」
「鼻歌……」
そう言われればそうだったかもしれない。ベレトは少し気恥ずかしくなって、コホンと咳ばらいを一つ。誤魔化した。如雨露を傾けて花に水をやりながら、メルセデスはにこにこと続ける。
「今の、賛歌のひとつよね。私も好きな歌よ。でも、ちょっとだけ意外ね。……先生は、歌がそんなに好きじゃないのかと思っていたわ」
「そう見えるかな」
「見えるというか……気を悪くしないでほしいのだけれど、讃歌会で一緒に歌った時、全然声が聴こえなかったから……」
4037メルセデスの声に、ベレトは土をいじっていた手を止めて振り返った。どうして、と言いたげな視線にメルセデスの方が目を瞬かせる。
「だって、ずっと鼻歌をうたっているんだもの~」
「鼻歌……」
そう言われればそうだったかもしれない。ベレトは少し気恥ずかしくなって、コホンと咳ばらいを一つ。誤魔化した。如雨露を傾けて花に水をやりながら、メルセデスはにこにこと続ける。
「今の、賛歌のひとつよね。私も好きな歌よ。でも、ちょっとだけ意外ね。……先生は、歌がそんなに好きじゃないのかと思っていたわ」
「そう見えるかな」
「見えるというか……気を悪くしないでほしいのだけれど、讃歌会で一緒に歌った時、全然声が聴こえなかったから……」
Satsuki
MAIKINGレトユリ。スカウトされたばかりのユーリスと歌を知らないベレト先生。多分続く。210505大聖堂の空気が好きだった。士官学校生として初めてガルグ=マクに足を踏み入れた時、空にも届きそうな天井を見上げて、ここが女神様に一番近い場所なのかと感動したものだ。美しいステンドグラスから差し込む光は神秘的で、ああ、家族にも見せてやりてえな、と思った。祈ることはどこででもできる。女神様は全ての祈りに耳を傾けてくださっている。母さんはそう言っていたけれど、大聖堂での祈りは、やはり特別に思えた。
(俺らみたいな悪党の命でも、女神様は……)
ユーリスは祈りを終えると、周囲の視線を振り払うように堂々と胸を張り、灰狼の制服を誇るようにして椅子から立ち上がった。聖堂内にいる司祭の中には、ユーリスの罪状を知るものが少なくない。
3581(俺らみたいな悪党の命でも、女神様は……)
ユーリスは祈りを終えると、周囲の視線を振り払うように堂々と胸を張り、灰狼の制服を誇るようにして椅子から立ち上がった。聖堂内にいる司祭の中には、ユーリスの罪状を知るものが少なくない。
Satsuki
MAIKING非童貞のベレト先生がユーリスと交接できない話の続き。支援S後、蒼ルートっぽい。まだ続きます。はあ、と大きな溜息が大司教の執務室に虚しく響く。ベレトが羽ペンを置くと、セテスは怒ったような仕草で出来上がった書類を机上で揃える。実際、怒っているのだ。
「何か言うことはあるかね」
「……いや、何もない」
はああ、と今度はセテスがとびきり大きな溜息を吐く。それでももう何も言わずに部屋を出て行ってくれたのはありがたい。午前中いっぱい執務をサボッたせいで、昼食の席で彼に捕まった時はガミガミ叱られながら食事する羽目になったのだ。
ベレトは朝から昼まで、このガルク=マク大修道院を走り回った。しかし、街にも、庭園にも、士官学校にも、おまけにアビスにもユーリスの姿はなかった。狼の牙たちはベレトの問いに首を横に振り、商人たちも首を傾げた。大聖堂にも彼の姿はなく、司祭たちはベレトの姿を見て「今日はどうされたのです?」と訝し気に声をかけてきた。適当にお茶を濁してその場を後にしたが、やはり『大司教』という立場は少々息苦しい。
6090「何か言うことはあるかね」
「……いや、何もない」
はああ、と今度はセテスがとびきり大きな溜息を吐く。それでももう何も言わずに部屋を出て行ってくれたのはありがたい。午前中いっぱい執務をサボッたせいで、昼食の席で彼に捕まった時はガミガミ叱られながら食事する羽目になったのだ。
ベレトは朝から昼まで、このガルク=マク大修道院を走り回った。しかし、街にも、庭園にも、士官学校にも、おまけにアビスにもユーリスの姿はなかった。狼の牙たちはベレトの問いに首を横に振り、商人たちも首を傾げた。大聖堂にも彼の姿はなく、司祭たちはベレトの姿を見て「今日はどうされたのです?」と訝し気に声をかけてきた。適当にお茶を濁してその場を後にしたが、やはり『大司教』という立場は少々息苦しい。
Satsuki
DOODLE「あんまり見てると金取るぜ?」のセリフ、私も大好きです!!と言いたかっただけの文章。多少メタい。レトユリレト。「あんまり見てんなよ、先生。あんた相手でもそろそろ金取るぜ」
ユーリスの挑発的な言葉に、ベレトはピクッと体を揺らして驚きを表現した。表情が全く変わらないので、一部の生徒達から気味が悪いと遠巻きにされていることを気にしているのだろう。釣り針に魚がかかっても、同じように表情を変えずちょっとだけピクッと体を揺らした後に何食わぬ顔で釣り上げていることをユーリスは知っている。そして、釣り上げた後はすこし満足そうに見える顔をしていることも。
「金か……」
困ったように呟いて、ベレトはごそごそとポケットを探り始めた。いや半分冗談だったんだが……ユーリスは腕を組み、ひとまずベレトがどうする気なのか観察することにした。毎節の課題を手伝う代わりに授業を受けさせてもらっている身とはいえ、舐められるわけにはいかない。取れるものは取っておいてもいいし、受け取らずに何が交換条件を飲ませてもいい。例えば、次回の個別指導でのメニューをこちらから指定するとか、アビスに住む子供達に灰狼学級を開放して、簡単な計算や読み書きの授業をさせる、とか。
1780ユーリスの挑発的な言葉に、ベレトはピクッと体を揺らして驚きを表現した。表情が全く変わらないので、一部の生徒達から気味が悪いと遠巻きにされていることを気にしているのだろう。釣り針に魚がかかっても、同じように表情を変えずちょっとだけピクッと体を揺らした後に何食わぬ顔で釣り上げていることをユーリスは知っている。そして、釣り上げた後はすこし満足そうに見える顔をしていることも。
「金か……」
困ったように呟いて、ベレトはごそごそとポケットを探り始めた。いや半分冗談だったんだが……ユーリスは腕を組み、ひとまずベレトがどうする気なのか観察することにした。毎節の課題を手伝う代わりに授業を受けさせてもらっている身とはいえ、舐められるわけにはいかない。取れるものは取っておいてもいいし、受け取らずに何が交換条件を飲ませてもいい。例えば、次回の個別指導でのメニューをこちらから指定するとか、アビスに住む子供達に灰狼学級を開放して、簡単な計算や読み書きの授業をさせる、とか。
Satsuki
DOODLEユーリスと部下のわちゃわちゃっていいですよね!と言いたかっただけの産物。レトユリ+燕の部下たち妄想。「先生よお……あーいや、大司教猊下って呼んだ方がいいんすかねえ」
アビスの門番はポリポリと頬を掻き、ベレトを見た。
「まだ大司教ではない」
「ああ、そうでしたね。どっちにしろ、やめといた方がいいんじゃないですかねえ……俺、知りませんよ」
こくり、ひとつ頷いて見せるベレトに、門番は「せめてユーリスに知らせた方がいいんじゃ……」と呟いた。しかし、今度は首を横に振ると、ベレトは「大丈夫だ」と笑った。もはや止める術を持たない門番は、灰狼学級とは全く違う方向へと消えていくベレトの背をただ見送ることしかできない。大きなため息を一つ。
「本当に、知りませんからね……俺が道を教えたって、ユーリスには秘密にしてくださいよ〜!」
5947アビスの門番はポリポリと頬を掻き、ベレトを見た。
「まだ大司教ではない」
「ああ、そうでしたね。どっちにしろ、やめといた方がいいんじゃないですかねえ……俺、知りませんよ」
こくり、ひとつ頷いて見せるベレトに、門番は「せめてユーリスに知らせた方がいいんじゃ……」と呟いた。しかし、今度は首を横に振ると、ベレトは「大丈夫だ」と笑った。もはや止める術を持たない門番は、灰狼学級とは全く違う方向へと消えていくベレトの背をただ見送ることしかできない。大きなため息を一つ。
「本当に、知りませんからね……俺が道を教えたって、ユーリスには秘密にしてくださいよ〜!」
Satsuki
DOODLE自給自足隠居生活してるレトユリ。???歳。ボイス入力後に整えたので誤字ありそうです。雰囲気散文。「ユーリス、あの大きな建物がついに出来上がったようだぞ」
ベレトは少し興奮気味に小屋の中へと飛び込んで、キョロキョロとユーリスの姿を探した。彼の伴侶はまだベッドの中だろうか。
「ユーリス、ユーリス」
「聞こえてるよ、ここにいる」
ふあ、とあくびをしながら姿を現した彼は、『またあの場所に行っていたのか』とベレトを見た。ラフな部屋着姿で、すでに朝食が用意されているテーブルにつく。二人が暮らしているこの小屋は、フォドラの喉元に似た山の奥深く、人里から離れた場所にある。以前この国が大きな戦争に巻き込まれることなった時、二人は関わり合いになることを望まず、そっと街を後にした。
「お兄ちゃん達、どこへ行くの?街を出て行くの?」
1679ベレトは少し興奮気味に小屋の中へと飛び込んで、キョロキョロとユーリスの姿を探した。彼の伴侶はまだベッドの中だろうか。
「ユーリス、ユーリス」
「聞こえてるよ、ここにいる」
ふあ、とあくびをしながら姿を現した彼は、『またあの場所に行っていたのか』とベレトを見た。ラフな部屋着姿で、すでに朝食が用意されているテーブルにつく。二人が暮らしているこの小屋は、フォドラの喉元に似た山の奥深く、人里から離れた場所にある。以前この国が大きな戦争に巻き込まれることなった時、二人は関わり合いになることを望まず、そっと街を後にした。
「お兄ちゃん達、どこへ行くの?街を出て行くの?」