レトユリ
Satsuki
SPOILER無双青√中のレトユリ。灰色の悪魔さんが前哨基地で情緒育ってるの可愛いね~~人食い燕さんにつまみ食いされててくれ!!!!というだけの妄想。220710(220715改稿) 1835Satsuki
DOODLE謎時空の灰色の悪魔さんと人食い燕さんの話。中の人はまだ青EP11なので全部幻想だし妄想です。はやく無双のレトユリ支援が見たいなあ(妄言)220706「手を貸そう」
突然現れた影は、ユーリスの目の前にいた男を銀色の剣で一閃すると、無造作に片手を突き出した。掌から光が迸り、周囲にいた兵士たちが文字通り吹き飛ぶ。魔法だ。振るおうとしていた自分の剣を止めて、ユーリスは真っ黒い悪魔のような男がちらりとこちらを振り返る冷たい眼差しを見た。それも一瞬のことだった。まるでユーリスのことになど興味はない、とでも言いたげに、悪魔のような男はそれきり何の一言もなく走り去っていってしまった。
「お頭!」
部下の声にハッとする。また敵の増援が来たのだ。雄たけびと血の匂い。ユーリスは行儀悪くひとつ舌打ちをすると、剣を握り直した。
あの男には見覚えがあった。もちろん噂も耳にしていた。
2756突然現れた影は、ユーリスの目の前にいた男を銀色の剣で一閃すると、無造作に片手を突き出した。掌から光が迸り、周囲にいた兵士たちが文字通り吹き飛ぶ。魔法だ。振るおうとしていた自分の剣を止めて、ユーリスは真っ黒い悪魔のような男がちらりとこちらを振り返る冷たい眼差しを見た。それも一瞬のことだった。まるでユーリスのことになど興味はない、とでも言いたげに、悪魔のような男はそれきり何の一言もなく走り去っていってしまった。
「お頭!」
部下の声にハッとする。また敵の増援が来たのだ。雄たけびと血の匂い。ユーリスは行儀悪くひとつ舌打ちをすると、剣を握り直した。
あの男には見覚えがあった。もちろん噂も耳にしていた。
Satsuki
DONEレトユリ。蒼√後のいつかのどこか。こくほこ15の無配でした。
てのひらの肖像ユーリスはふと手を止めて、引き出しの中を見つめた。ベレトが使っている部屋は相変わらず簡素で、物が少ない。はるか昔、傭兵として育った環境がそうさせているのか、それとも生まれついた彼の性分なのかは分からない。この小さな家にも、もう数年住み着いてはいるが、ベレトの部屋にあるものといったら。机と椅子、壁にかけられた釣り竿。本や服が収められた棚。それ以外は、すっきりと片付いている。
その唯一の棚の引き出しに、乾いた服をしまってやろうとして気が付いた。間違えて、別の場所を開いてしまったのだ。
そこには、古い本が一冊と、小さな帳面。その上に、セイロス教のシンボルが模られた首飾り。それに使い込まれた懐中時計が、きちんと置かれていた。
2919その唯一の棚の引き出しに、乾いた服をしまってやろうとして気が付いた。間違えて、別の場所を開いてしまったのだ。
そこには、古い本が一冊と、小さな帳面。その上に、セイロス教のシンボルが模られた首飾り。それに使い込まれた懐中時計が、きちんと置かれていた。
sesami___n
DONE【5年目の同窓会展示⑦】20230604追記…台詞の修正を行いました
20230531追記…末尾に没ページを追加しました
【紅√支援S後】
以下の注意書きをご覧の上閲覧して下さい
※注意※
・レトは紋章石が消えるまで自らも心音が聞こえていなかったという解釈で描いてます(違ってたらすいません)
・ユが優勢(描写はありませんが肉体的な役割はレトユリです)
・モブの部下、宿場の親父が出てきます 16
Satsuki
DOODLE紅√以外のレトユリ。何百年後かの何か。220417「今日はありがとな」
「いや、わかんないことあったらまた聞いてください」
「マジで? 助かる」
ニカッ、と嬉しそうに笑う顔が眩しい。俺は思わず、ドキリとしてしまった心臓を押さえて、こっそり深呼吸した。バイト先に新しく入ったユーリスさんは、気さくで優しいお兄さん、て感じの人だ。最初に会った時は、背の高い美女が男物の制服を着てるのかと思った。それくらい顔が整っていて、紫色の長い髪をすっきりまとめているところも好感度が高い。ただ、喋るとめちゃくちゃかっこ良い声をしているから、一度それを聴いてしまえば二度と女と間違えることはないだろう。
ただし、俺の方が年下だからタメ口でいいっすよ、と言った時はすごく嬉しそうにしていて、その顔がすごく可愛かったことは内緒だ。あと、指先がなんかエロいところも……
1631「いや、わかんないことあったらまた聞いてください」
「マジで? 助かる」
ニカッ、と嬉しそうに笑う顔が眩しい。俺は思わず、ドキリとしてしまった心臓を押さえて、こっそり深呼吸した。バイト先に新しく入ったユーリスさんは、気さくで優しいお兄さん、て感じの人だ。最初に会った時は、背の高い美女が男物の制服を着てるのかと思った。それくらい顔が整っていて、紫色の長い髪をすっきりまとめているところも好感度が高い。ただ、喋るとめちゃくちゃかっこ良い声をしているから、一度それを聴いてしまえば二度と女と間違えることはないだろう。
ただし、俺の方が年下だからタメ口でいいっすよ、と言った時はすごく嬉しそうにしていて、その顔がすごく可愛かったことは内緒だ。あと、指先がなんかエロいところも……
Satsuki
DOODLEレトユリ。歌を知らない先生。https://poipiku.com/404040/4350257.htmlとhttps://poipiku.com/404040/4378689.htmlの続き。220331「よお、先生」
パタン、と帳面を閉じ、ユーリスはひょいと瓦礫の山から立ち上がる。先日までそこにあった豪奢な椅子は片づけられていた。アビスの中は日々様変わりしており、どこからか怪しげな木箱や樽が大量に運び込まれたり、一夜にして忽然と無くなっていたりする。やはりあの椅子も商品だったのだな、と、ベレトは納得して、しげしげとユーリスを見た。
「この間は助かった、礼を言っとく。あんたのおかげで命を拾ったやつもいる。……信頼、とまではいかないが、恩は返すよ」
「では、今日も歌を教えてくれるのか?」
「ははっ……そんなんでいいのか? いや、歌を教える対価はもう貰ってあるしな……この借りは別で、ちゃんと返させてもらうよ」
3263パタン、と帳面を閉じ、ユーリスはひょいと瓦礫の山から立ち上がる。先日までそこにあった豪奢な椅子は片づけられていた。アビスの中は日々様変わりしており、どこからか怪しげな木箱や樽が大量に運び込まれたり、一夜にして忽然と無くなっていたりする。やはりあの椅子も商品だったのだな、と、ベレトは納得して、しげしげとユーリスを見た。
「この間は助かった、礼を言っとく。あんたのおかげで命を拾ったやつもいる。……信頼、とまではいかないが、恩は返すよ」
「では、今日も歌を教えてくれるのか?」
「ははっ……そんなんでいいのか? いや、歌を教える対価はもう貰ってあるしな……この借りは別で、ちゃんと返させてもらうよ」
Satsuki
DOODLE蒼√S後レトユリ。何百年後かのなにか。220221「すみません、ちょっと」
突然マイクを向けられた男性はほんの少しだけ目を丸くすると、すぐに立ち止まってくれた。隣を歩いていた紫色の髪をした青年を背中に隠すようにして、しかしカメラに薄く微笑んでくれる。
「はい、何か?」
「あの、今この街で取材をしていて……よければ少し、お話を聞かせて貰えませんか?」
「へえ~、地元のテレビ局か? ま、いいんじゃねえの?」
ひょい、と後ろから顔を出した青年は、びっくりするほど綺麗な顔をしていた。モデルか、バンドマンか何かだろうか。そう思ったのは、青年の顔にメイクが施されていたからだ。ちょっと困惑した顔の男性は――こちらも、素晴らしく整った顔立ちをしている――若葉色の髪を揺らして少し考えて、頷いてくれた。
2426突然マイクを向けられた男性はほんの少しだけ目を丸くすると、すぐに立ち止まってくれた。隣を歩いていた紫色の髪をした青年を背中に隠すようにして、しかしカメラに薄く微笑んでくれる。
「はい、何か?」
「あの、今この街で取材をしていて……よければ少し、お話を聞かせて貰えませんか?」
「へえ~、地元のテレビ局か? ま、いいんじゃねえの?」
ひょい、と後ろから顔を出した青年は、びっくりするほど綺麗な顔をしていた。モデルか、バンドマンか何かだろうか。そう思ったのは、青年の顔にメイクが施されていたからだ。ちょっと困惑した顔の男性は――こちらも、素晴らしく整った顔立ちをしている――若葉色の髪を揺らして少し考えて、頷いてくれた。
Satsuki
DOODLE銀雪をクリアした記念の短文。レトユリ風味。220125その日は、いやに胸が騒いだ。温室で花を選ぶ間、頭の中がざわざわとして落ち着かない気分だった。ジェラルトの好きな花なんて分からない。だからいつも、手当たり次第に、その時美しく咲き誇っている花を束にして墓に供えていた。そのうちのどれかが父の魂を慰めてくれれば良い。いつだったか自分がそう考えていることを口にすると、ユーリスは可笑しそうに笑って頷いてくれた。茶会の席だった。
『いいんじゃねえの、それでさ』
彼が面白がっている時に、少しだけ歯を見せて笑うのが可愛らしいと思う。目を細めて、こちらを見ながら、ニッと笑う。出会った当初に浮かべていた、こちらの出方を窺うような、わざとらしく口角を上げて笑顔をつくるやり方ではない。懐疑的な色を湛えていた朝焼け色の瞳は、今は澄み切って真っ直ぐにベレトを見る。
1306『いいんじゃねえの、それでさ』
彼が面白がっている時に、少しだけ歯を見せて笑うのが可愛らしいと思う。目を細めて、こちらを見ながら、ニッと笑う。出会った当初に浮かべていた、こちらの出方を窺うような、わざとらしく口角を上げて笑顔をつくるやり方ではない。懐疑的な色を湛えていた朝焼け色の瞳は、今は澄み切って真っ直ぐにベレトを見る。
Satsuki
DOODLEレトユリ。遅刻クリスマス2021.12.26「あっ! ねえ、見て!」
かまってほしがり屋のエリーが声を上げたので、僕は仕方なく振り返った。鬼ごっこの途中なのに、エリーはいつだってそうなんだ。一番小さくて、足が遅いし、女の子だからしょうがないんだけど、でも時々僕らはうんざりしてしまう時がある。司祭様はいつだってみんな仲良くしなさい、って言うけれど、男の子は男の子だけで遊びたい時だってあるのに。
「なんだよエリー、そういうの、ダメだよ!」
「そうだよ、するいよ!」
「ちがうもん、あそこに何か置いてあるの!」
エリーが一生懸命そう叫ぶので、僕らは立ち止まってエリーが指さす方を見た。ちょうど、庭から外へ出る門のところだ。あそこは、たまに赤ん坊が捨てられていたり、他の教会からの荷物が届いていたり、村の人たちからの野菜や差し入れが置いてあったりする場所だ。こんなに寒いのに、赤ん坊がいたら大変だ。けれど、僕は新しい子が来るのは嫌だなあ、なんて考えてしまう。だって、小さい子は誰かが面倒を見てやらなくちゃならないし、その子の分までご飯を用意するってなると、自分の分が減ってしまう。それに、……小さい子の方が、新しい家族のところに引き取って貰えることが多いから。
2320かまってほしがり屋のエリーが声を上げたので、僕は仕方なく振り返った。鬼ごっこの途中なのに、エリーはいつだってそうなんだ。一番小さくて、足が遅いし、女の子だからしょうがないんだけど、でも時々僕らはうんざりしてしまう時がある。司祭様はいつだってみんな仲良くしなさい、って言うけれど、男の子は男の子だけで遊びたい時だってあるのに。
「なんだよエリー、そういうの、ダメだよ!」
「そうだよ、するいよ!」
「ちがうもん、あそこに何か置いてあるの!」
エリーが一生懸命そう叫ぶので、僕らは立ち止まってエリーが指さす方を見た。ちょうど、庭から外へ出る門のところだ。あそこは、たまに赤ん坊が捨てられていたり、他の教会からの荷物が届いていたり、村の人たちからの野菜や差し入れが置いてあったりする場所だ。こんなに寒いのに、赤ん坊がいたら大変だ。けれど、僕は新しい子が来るのは嫌だなあ、なんて考えてしまう。だって、小さい子は誰かが面倒を見てやらなくちゃならないし、その子の分までご飯を用意するってなると、自分の分が減ってしまう。それに、……小さい子の方が、新しい家族のところに引き取って貰えることが多いから。
Satsuki
DOODLEレトユリ。時計を直す話。 カラン、とドアベルが鳴り、黒い服の男が静かに店へと足を踏み入れた。顔を上げて、俺は少しぎょっとして目を瞬かせた。影みたいな、死神みたいな男だった。お客に対して失礼だけれど、そんな言葉がパッと思いつく程度には、なんだか浮世離れしているように見えたのだ。薄緑色の髪を揺らして、男は真っ直ぐにカウンターへと近づいて来る。
「すみません、時計の修理を頼みたいんですが……」
思ったよりずっと、柔和な声色だった。冷たい印象を受けた横顔も、目元も、少し微笑んだ様子はとても優し気で、俺は胸の中でほっと溜息を吐く。
「ああ、はい……こちらの懐中時計ですね」
「しばらく前から動かなくて。この店で買ったものだと聞いていたから」
2059「すみません、時計の修理を頼みたいんですが……」
思ったよりずっと、柔和な声色だった。冷たい印象を受けた横顔も、目元も、少し微笑んだ様子はとても優し気で、俺は胸の中でほっと溜息を吐く。
「ああ、はい……こちらの懐中時計ですね」
「しばらく前から動かなくて。この店で買ったものだと聞いていたから」
Satsuki
INFOレトユリレトWeb再録まとめ本、「Eternal Happy Wedding」の書き下ろしサンプルです。「悪いな、先生。今日はこれから野暮用があってね」
「そ、うか。……まだ、この前の一件が片付いていないのか?」
「……まあ、それもあるが、今回は別件でね」
茶会の誘いを断られ、ベレトは少々残念そうに眼を瞬かせた。ユーリスはちょっとバツが悪そうに頭を掻く。しかし、どうせこの担任教師のことだ、茶会に誘う相手には困っておるまい。自分の他にも茶会に誘えるような生徒は沢山いる。いや、そもそも誘わなくても、生徒の方から寄って来るに違いない。そう割り切ると、真正面から誘いを突っぱねた罪悪感も薄れる気がした。実際、今日はガルグ=マクの外に出て、母への仕送りを仲間に託す用がある。、仲間たちの近況についても確認が必要だ。ユーリス率いるごろつきどもの集団が、教団や王国に隠れて密かに行っている取引のことや、それを支えるために自分がせねばならない交渉事についても考えなくては。
3426「そ、うか。……まだ、この前の一件が片付いていないのか?」
「……まあ、それもあるが、今回は別件でね」
茶会の誘いを断られ、ベレトは少々残念そうに眼を瞬かせた。ユーリスはちょっとバツが悪そうに頭を掻く。しかし、どうせこの担任教師のことだ、茶会に誘う相手には困っておるまい。自分の他にも茶会に誘えるような生徒は沢山いる。いや、そもそも誘わなくても、生徒の方から寄って来るに違いない。そう割り切ると、真正面から誘いを突っぱねた罪悪感も薄れる気がした。実際、今日はガルグ=マクの外に出て、母への仕送りを仲間に託す用がある。、仲間たちの近況についても確認が必要だ。ユーリス率いるごろつきどもの集団が、教団や王国に隠れて密かに行っている取引のことや、それを支えるために自分がせねばならない交渉事についても考えなくては。
Satsuki
REHABILIリハビリレトユリ。支援s妄想。「こっちか……いやうん、やっぱりこっちかな」
ユーリスは煌々と蝋燭の火が照らす卓上で、小さな石を摘まみ上げると明かりにかざして見た。
「台座は、こんな感じのシンプルな細工にしてもらいたい」
「大きさはいかが致しましょう」
そう、そこが肝心だ。職人の言葉に、ユーリスは細工の構想が書き付けられた紙と、あらかじめ用意しておいたガントレット取り出した。
「これの左手の薬指に合わせてくれ」
言って、もう一度、卓上で一番美しい翡翠を慎重に手のひらに乗せてみる。
「うん、やっぱりこれだ。こいつで頼む」
ユーリスの言葉に、職人は「すぐに取り掛かりましょう」と頷いた。
戦争が終結して、ベレト率いる軍隊は無事、ガルグ=マク修道院へと凱旋した。集結していたベレトのかつての教え子たちも、ぽつりぽつりと自分の今後の身の振り方を決め、行動を始めようとしている。各々、平和になったこの国での新しい生活が始まるのだ。これからの人生を共にする相手を見つけ、平凡な幸福を手にする者もいれば、戦争によって大切なものを失い、新たな決意や目的を胸にこの地を離れようとしている者もいた。
2909ユーリスは煌々と蝋燭の火が照らす卓上で、小さな石を摘まみ上げると明かりにかざして見た。
「台座は、こんな感じのシンプルな細工にしてもらいたい」
「大きさはいかが致しましょう」
そう、そこが肝心だ。職人の言葉に、ユーリスは細工の構想が書き付けられた紙と、あらかじめ用意しておいたガントレット取り出した。
「これの左手の薬指に合わせてくれ」
言って、もう一度、卓上で一番美しい翡翠を慎重に手のひらに乗せてみる。
「うん、やっぱりこれだ。こいつで頼む」
ユーリスの言葉に、職人は「すぐに取り掛かりましょう」と頷いた。
戦争が終結して、ベレト率いる軍隊は無事、ガルグ=マク修道院へと凱旋した。集結していたベレトのかつての教え子たちも、ぽつりぽつりと自分の今後の身の振り方を決め、行動を始めようとしている。各々、平和になったこの国での新しい生活が始まるのだ。これからの人生を共にする相手を見つけ、平凡な幸福を手にする者もいれば、戦争によって大切なものを失い、新たな決意や目的を胸にこの地を離れようとしている者もいた。
Satsuki
BLANKアスクのレトユリレト。ちょっと暗い。ユーリス第一部ロスト世界線、翠風√から来ているレト先生との話。続きです。いつかまたきみに「あぁ……せん、せいか……」
「ッ……今は、静かに」
目を開き、弱々しく呻くユーリスに治癒魔法を注ぎ込む。ベレトの額から汗が流れ落ちて鼻筋を伝い、ぽたりと落ちた。眉を顰め、集中し続ける様子をぼんやりと眺め、ユーリスは弱々しく笑う。
『コニーと水を取って来るね』
『俺は他にも癒しの手が空いてねえか探してくる』
灰狼学級の面々は、自分自身のケガなど構わずにユーリスのことを考え、城の中に散って行った。バルタザールはベレトの耳元に、『伝えときたいことがあるなら、今のうちだぜ』と低く囁くと、横たわるユーリスの姿を振り切るように部屋を出て行った。コンスタンツェは魔力の使いすぎで黙りこくったまま、ハピに支えられて歩いて行く。自分の無力さが悔しかったのかもしれない。ベレトは浅い呼吸を繰り返すユーリスに癒しの魔法を注ぎ続ける。
5546「ッ……今は、静かに」
目を開き、弱々しく呻くユーリスに治癒魔法を注ぎ込む。ベレトの額から汗が流れ落ちて鼻筋を伝い、ぽたりと落ちた。眉を顰め、集中し続ける様子をぼんやりと眺め、ユーリスは弱々しく笑う。
『コニーと水を取って来るね』
『俺は他にも癒しの手が空いてねえか探してくる』
灰狼学級の面々は、自分自身のケガなど構わずにユーリスのことを考え、城の中に散って行った。バルタザールはベレトの耳元に、『伝えときたいことがあるなら、今のうちだぜ』と低く囁くと、横たわるユーリスの姿を振り切るように部屋を出て行った。コンスタンツェは魔力の使いすぎで黙りこくったまま、ハピに支えられて歩いて行く。自分の無力さが悔しかったのかもしれない。ベレトは浅い呼吸を繰り返すユーリスに癒しの魔法を注ぎ続ける。
Satsuki
BLANKアスクのレトユリレト。暗い。続く。いつかまたきみにその日、アスク王国軍は大敗した。
敵勢力の思惑にまんまとはめられたのだ。かろうじて城を守ることはできたが、被害は甚大だった。白魔法の得意な者は怪我人の手当てに回ってくれ、と叫ぶアルフォンスは、隠しきれない焦りを浮かべた表情で英雄たちの間を駆け回っている。ベレトはそこかしこに漂う血の匂いに眉を顰める。彼もまた、別な戦線から戻ったばかりだった。召喚師は無事らしいが、姿は見えない。彼に何かあった場合、彼の力に呼ばれてこの世界に来た自分たちはどうなるのだろう。
背筋がひやりとした。無意識に周囲に目を配ると、顔見知りの英雄たちや、同郷の生徒たちの無事な姿が見つけられた。
よかった。ほっとしてそう思う自分と、その感情に疑問を投げかける自分がいる。
1916敵勢力の思惑にまんまとはめられたのだ。かろうじて城を守ることはできたが、被害は甚大だった。白魔法の得意な者は怪我人の手当てに回ってくれ、と叫ぶアルフォンスは、隠しきれない焦りを浮かべた表情で英雄たちの間を駆け回っている。ベレトはそこかしこに漂う血の匂いに眉を顰める。彼もまた、別な戦線から戻ったばかりだった。召喚師は無事らしいが、姿は見えない。彼に何かあった場合、彼の力に呼ばれてこの世界に来た自分たちはどうなるのだろう。
背筋がひやりとした。無意識に周囲に目を配ると、顔見知りの英雄たちや、同郷の生徒たちの無事な姿が見つけられた。
よかった。ほっとしてそう思う自分と、その感情に疑問を投げかける自分がいる。
Satsuki
PROGRESSアスクのレトユリレト。トリックオアトリート!書けば出る!!!!「トリックオアトリート、ユーリス」
「…………」
担任教師がにっこりと笑って自分の前に立つので、ユーリスは頭痛を覚え、片手で頭を押さえた。黒っぽい、少し気取ったような装いは、およそユーリスの記憶の中にある彼の様子とは違って見えた。平素の彼は……まあその「平素の」ベレトもここアスクにいることはいるのだが、傭兵らしい、ごく平凡な装備を身に纏っていたはずだ。
あと、その決まり文句を言いながら自分に砂糖菓子を渡してくるのは、何かが違う気がする。異界の祭りの扮装らしいが、『トリックオアトリート』と言われた方がお菓子を渡すのだと、そう召喚師には説明されたはずだ。
「あんたが俺に菓子をくれてどうするんだよ、先生」
1775「…………」
担任教師がにっこりと笑って自分の前に立つので、ユーリスは頭痛を覚え、片手で頭を押さえた。黒っぽい、少し気取ったような装いは、およそユーリスの記憶の中にある彼の様子とは違って見えた。平素の彼は……まあその「平素の」ベレトもここアスクにいることはいるのだが、傭兵らしい、ごく平凡な装備を身に纏っていたはずだ。
あと、その決まり文句を言いながら自分に砂糖菓子を渡してくるのは、何かが違う気がする。異界の祭りの扮装らしいが、『トリックオアトリート』と言われた方がお菓子を渡すのだと、そう召喚師には説明されたはずだ。
「あんたが俺に菓子をくれてどうするんだよ、先生」
Satsuki
DOODLEレトユリレト。戦争終了間近の二人。以前ぴり子さんと、「レト先生は無自覚に気をもたせる発言してそう。しかもそれを謝ってそう」「ユリはそれに振りまわされる。かわいそう」「自棄酒しちゃう」「そこに先生が来て、また無神経なこと言いそう」というようなお話をして楽しかったので短文にしてみました。ちょっとした妄想文のつもりだったので色々雑ですが書いたので投げます。レト先生、酒に強くても弱くても可愛いな。
ダンッ、と派手な音を立てて、空っぽの杯が粗末な机に叩きつけられた。
「だ~~っはっはっは!! 見たか! 俺様の勝ちだぜ、ざまあみな!!!」
言葉の乱暴さとは裏腹に、どこか情の込められた笑い声を上げたのは、ここアビスの酒場にたむろしているごろつきどもの元締めである青年、ユーリス=ルクレールその人である。立ち上がり、自分の座っていた椅子が倒れるのも構わず、隣で潰れている人物の背中を叩いて喜んでいる様子は、年相応の若者が酒を飲んで騒ぐ姿に相違ない。周囲ではらはらとその姿を見守っているのは、彼の組織に所属しているチンピラたちだ。お頭、もうその辺で……と止めに入ろうとする者も先刻までは見られたが、酒場の端で同じように酒を嗜んでいた灰狼学級の面々に「やめとけ」「好きにさせたげたらいいんじゃん?」「わたくしには関係ありませんわ」等と言われて引き下がってしまった。その面々も、もう部屋に戻ったのだろう。酒場には数人の常連客とユーリスの部下数名が残っているだけだ。それに、ユーリス自本人と、その飲み比べの相手が机に突っ伏しているくらいである。
3492「だ~~っはっはっは!! 見たか! 俺様の勝ちだぜ、ざまあみな!!!」
言葉の乱暴さとは裏腹に、どこか情の込められた笑い声を上げたのは、ここアビスの酒場にたむろしているごろつきどもの元締めである青年、ユーリス=ルクレールその人である。立ち上がり、自分の座っていた椅子が倒れるのも構わず、隣で潰れている人物の背中を叩いて喜んでいる様子は、年相応の若者が酒を飲んで騒ぐ姿に相違ない。周囲ではらはらとその姿を見守っているのは、彼の組織に所属しているチンピラたちだ。お頭、もうその辺で……と止めに入ろうとする者も先刻までは見られたが、酒場の端で同じように酒を嗜んでいた灰狼学級の面々に「やめとけ」「好きにさせたげたらいいんじゃん?」「わたくしには関係ありませんわ」等と言われて引き下がってしまった。その面々も、もう部屋に戻ったのだろう。酒場には数人の常連客とユーリスの部下数名が残っているだけだ。それに、ユーリス自本人と、その飲み比べの相手が机に突っ伏しているくらいである。
Satsuki
DOODLEFEHのユーリスたちがわちゃわちゃはなしをしているだけのレトユリレト匂わせただの散文。うちには三人しかいませんが二人がたくさんいるアスクではえらいことになってそうですね……💚💜「……で? 俺様を呼び出した要件は何なんだよ?」
偉そうに足を組み、ユーリスはカップを傾けた。ベリーの甘い香りが鼻から抜け、期待を裏切らない瑞々しい果実の味がほんのりと舌に乗る。このアスクにも、フォドラと同じような種類のベリーがあるのだと、興味がそそられた。しかしこの地も戦禍の真っ只中。茶葉だってそう簡単には手に入るまいに、この男はどうやってこの茶会セットを入手したというのか……ユーリスは、目の前に座る男……他でもない、ユーリス=ルクレールを懐疑的な眼差しで見つめた。
「ああ、俺もそれが気になっていたところさ」
隣に座っていた男も、この茶会の意図が気になるらしい。彼、そう……ユーリス=ルクレールもカップを置くと、テーブルに行儀悪く肘をついてユーリス=ルクレールのことを見た。
2183偉そうに足を組み、ユーリスはカップを傾けた。ベリーの甘い香りが鼻から抜け、期待を裏切らない瑞々しい果実の味がほんのりと舌に乗る。このアスクにも、フォドラと同じような種類のベリーがあるのだと、興味がそそられた。しかしこの地も戦禍の真っ只中。茶葉だってそう簡単には手に入るまいに、この男はどうやってこの茶会セットを入手したというのか……ユーリスは、目の前に座る男……他でもない、ユーリス=ルクレールを懐疑的な眼差しで見つめた。
「ああ、俺もそれが気になっていたところさ」
隣に座っていた男も、この茶会の意図が気になるらしい。彼、そう……ユーリス=ルクレールもカップを置くと、テーブルに行儀悪く肘をついてユーリス=ルクレールのことを見た。
Satsuki
DOODLE書けば出る!!の気持ちでユーリスFEH実装直前に書いたFEH軸の妄想レトユリレト。ユーリスを第一部でロストしている先生とユーリス。第一部でロストしていると、5年間の間にユーリスは……しているようなので、士官学校時代に足に大怪我でもして素早い身のこなしができなくなってしまいそれが原因で……みたいな妄想をしつつ書きました。明るくないです。
「よお、先生」
「……! ユーリスか」
ぐい、と額の汗を拭ったベレトは、どこかぎこちない笑みを浮かべて振り返ると、すぐにまた作物の方を向いてしまった。ニルヴァーナとかいう大仰な職の服を着崩して、畑仕事に勤しんでいるこのベレトは、なんとなくユーリスに対してそっけない。
アスクとかいう得体の知れない場所に“召喚”されたユーリスを、士官学校の生徒たちが出迎えてくれたときは驚いた。年齢もさまざまな仲間、別の時空とやらから召喚されたという英雄たち。説明をされてもよく分からなかったが、とにかく呼ばれた目的は理解した。
この戦いが、勝てる賭けなのかどうかは、ひとまず先客の中に『先生』がいたことで判断するしかなかった。この人がいてくれるなら、きっと大丈夫。そう思える程度には、元の世界でユーリスはベレトを信頼していた。同じようにアスクに召喚されていた、青みがかった黒髪の彼は、もちろんユーリスを歓迎してくれた。驚いたことに、髪の色が変わった後の彼もこの城に存在し、しかも複数人がいると知ったことはさすがにめまいがしそうになったが、そういう場所なのだと納得するしかない。扮装が普段と違っている人物がいることもそうだ。
2577「……! ユーリスか」
ぐい、と額の汗を拭ったベレトは、どこかぎこちない笑みを浮かべて振り返ると、すぐにまた作物の方を向いてしまった。ニルヴァーナとかいう大仰な職の服を着崩して、畑仕事に勤しんでいるこのベレトは、なんとなくユーリスに対してそっけない。
アスクとかいう得体の知れない場所に“召喚”されたユーリスを、士官学校の生徒たちが出迎えてくれたときは驚いた。年齢もさまざまな仲間、別の時空とやらから召喚されたという英雄たち。説明をされてもよく分からなかったが、とにかく呼ばれた目的は理解した。
この戦いが、勝てる賭けなのかどうかは、ひとまず先客の中に『先生』がいたことで判断するしかなかった。この人がいてくれるなら、きっと大丈夫。そう思える程度には、元の世界でユーリスはベレトを信頼していた。同じようにアスクに召喚されていた、青みがかった黒髪の彼は、もちろんユーリスを歓迎してくれた。驚いたことに、髪の色が変わった後の彼もこの城に存在し、しかも複数人がいると知ったことはさすがにめまいがしそうになったが、そういう場所なのだと納得するしかない。扮装が普段と違っている人物がいることもそうだ。