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    ロマンス

    michiru_wr110

    PASTanzr
    初出2022.8.28.
    イベストバレ有(遊園地の怪人+ハイサマーロマンス)
    どうかしている。君も俺も(夏メイ) 夏井流星はけたたましい音を立てながらスマホを伏せた。
     液晶ディスプレイに表示された画像の正体に気づいたからである。

    (…………何なの)

     いつもより比較的静けさ漂う特対内。スマホを叩きつけた勢いで右手が僅かに痺れたまま、夏井は自席のデスクに勢いよく突っ伏す。一連の動作に、休日出勤中の他数名の課員たちは遠巻きに夏井の様子を伺うばかりだ。

     瞼の裏に過ぎるのは、後輩である秋元からFINEに送信された1枚の画像。青い空と透き通るほど眩しい海を背景に寛ぐ七篠メイの写真である。
     海の家らしいチープなつくりのテーブルの上には鮮やかな色味のスムージーが入ったグラスがいくつも乗っており、七篠はそのうちのひとつを口にしながら僅かに目を見開いていた。秋元は「個人的な用件」で春野と行動を共にしていたはずだったが、何がどうしてこうなったのか現時点では予想もつかない。それに、不意打ちの如く無防備な姿を撮られている七篠も七篠だ。身にまとう眩しい色味のチューブトップは七篠の肌の白さを殊更に強調している。しかもわき腹の辺りにはうっすらと不自然な翳りがあり、見方によっては影のようにも古傷や火傷の跡のようにも受け取れる。羽織るものを何も身につけていない点も相まって、夏井の平常心はすっかり隅に追いやられてしまっている最中だった。
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    yo_lu26

    MENU2022年11月5日23時~11月6日22時50分リチリバWEBオンリー展示作品。

    ※ジェイドが記憶喪失になったまま誕生日を迎えてしまう話。リーチ兄弟のブロマンス寄りのリチリバです。バースデーのとてもとても仲が良い二人に情緒がめちゃくちゃになったです。ハッピーバースデー、リーチ兄弟!生まれてきてくれてありがとう。
    ※誕生日召喚、誕生日パソスト、グルビ絵の多大なネタバレを含みます。
    カタチのない花束を君に「ジェイドの記憶がない?」

     アズールからその話を聞いたのは、誕生日の一週間前だった。恨みを買っている生徒からのユニーク魔法を避け損ねた結果、ジェイドが記憶を全て失ってしまったのだと聞いたときには、フロイドはにわかには信じられなかった。今のジェイドは自分が何者であるかも、周りにいる人間との関係性も、なにひとつとして覚えていないのだという。アズールから呼び出されて保健室に駆けつけたフロイドは目の前にいるジェイドに視線を向ける。ベッドの上で起き上がっている彼は、一見いつもとなにも変わりがないように見えた。しかし、彼と目を合わせた瞬間に、自分の知っているジェイドとの決定的な違いをまざまざと思い知ることになった。一対の、不審の色を隠そうともしない瞳がこちらに向けられている。瞳の奥底に漂う鋭い警戒心は、いつものジェイドの視線にはないものだった。生まれる前から一緒である自分達には、初めましての瞬間なんて存在しない。だから、自分をこんな目でみてくるジェイドなんてフロイドは知らない。初めての経験に、喉の奥がからからに錆びたようになる。少なくとも、生まれてから一度も自分には向けられたことのない類の冷たささえ感じるまなざしに、一瞬怯む。
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