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    卒業

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    PAST【FB】1年生のテセウス・スキャマンダーと卒業数年後のアルバス・ダンブルドア
    ラブではないし将来的にもラブにはならない距離感のふたり
    テセウスとアルバス 大広間の一角がにわかに騒がしくなったので、テセウスは手紙に落としていた視線を上げた。扉の前で、長身の男性が教師と話している。鳶色の髪は、ほのかに濡れているのが見て取れた。外では雪が降っているらしかった。
     周りの生徒たちも、その男性の存在に気づき出したようで、長テーブルのあちこちから興奮した囁き声が上がる。鼓膜で捉えた名前に、テセウスは納得する。ホグワーツ魔法魔術学校に通う生徒で、その名を知らない者はいないだろう――アルバス・ダンブルドア。我が校始まって以来の秀才であり、呪文や変身、錬金術など多彩な分野で才能を高く評価されている、極めて優れた魔法使い。
     つい数年前までここに在籍していた彼が、今度は教鞭を取る側になるという噂は本当なのだろうか。それが現実となることを、多くの生徒が待ち望んでいる。収まるどころか徐々に大きくなっていくざわめきが、そのことをを表していた。テセウスは小さく嘆息し、母からの手紙を折り畳んでローブのポケットにしまった。愛すべき大広間だが、今は何かに集中するに相応しい空間とは言えなかった。
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    つーさん

    MOURNING卒業前に盛大に拗れるガプアガ、その3。年齢操作です。
    無駄に文字数増えそうで完成できるか怪しいので、書けた分だけ供養に投げます。タグでシリーズ管理してます。
    無自覚ガープと自覚ありなので距離を取ろうとするアガレスという話です。
    菫青石は砕けない3「……何で」
    「ん?何がでござるか?」
    「何でここにいるんだよ、お前」

     眉間に指を押し当てて皺を伸ばしながら、アガレスは面倒くさそうに問いかけた。ここはアガレスの実家で、当たり前みたいな顔をして玄関前にいるのは、ガープだ。アガレスの問いかけに、きょとんとしている。
     見慣れた、見慣れすぎた、どこまでも他人との間合いが分かっていない剣士の、ポンコツな姿である。

    「アガレス殿に会いたくなったでござる!」
    「……明日学校で会うだろうが」
    「そうでござるが、明日は学校に行っても別行動でござるし、今日は家にいると聞いたので」
    「俺は、休みの日は家でのんびりしたいの。知ってるだろう」
    「そうでござるが……」
    「何だよ」

     別に何も間違っていない主張をするアガレスに、ガープはしょんぼりと肩を落とした。少しずつ、少しずつガープとの距離を取ろうと努めているアガレスにとって、休みの日に押しかけられるのは困る案件だった。気持ちが揺らぐ。
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