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    小説

    さくらい

    DONE蛍🔥/こいさや/小嶋家さんに頂いた現パロこいさやお家デートのイラストから勝手に小説を書かせて頂きました!
    正しい魔法の使い方先程からこの部屋には小池が鼻をすする音だけが響いている。

    たまには部屋でゆっくり映画でも観ようと、アウトドアな俺たちが珍しくインドアになった夜。スーパーで買った惣菜やピザなんかをそんなに広くもないテーブルの上に広げて、俺は洋梨の缶チューハイ、小池はビールを呑んでいた。二時間半の短期集中型だ。俺も小池もどちらかというと喋る方だが一言、いや、二言くらい短い会話をしただけでそれ以外は映画に集中していた。
    会話の内容も「音いっこ大きくする?」「ああ」とか「ビールでいいか?」「お、サンキュ」くらいのものだ。キッチンへ行く間もテレビから視線は外さなかったし、冷蔵庫から冷えたビールを取り出す時も耳はしっかりテレビの音に集中していた。リビングへ戻る靴下の足先がフローリングの上で滑りかけて、そうかスリッパを脱いだんだったなと気づいたりもした。玄関に置いてあるからつい履いてしまうんだが、ソファーに座りしばらくすると脱いでいる。しかも毎回だ。なんだか自分の家みたいで落ち着く、自分の家以上に気が抜ける。実家かと思う。居心地がよくて帰りたくなくなる、この部屋に来ると。毎回、泊まっていけよなんて言われるのを待ってしまう自分がいて、待っていたくせにいざ言われると一度は断ってみたり、渋ってみたりしてしまうんだが。
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