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    RF

    Asahikawa_kamo

    PAST電車に乗るkgmの話。マシ"ラホ"、雑キ(というかchaiチャン)、のわ、rfがいます。
    漂う死表現、ざっくりファンタジー時空。
    選は「不老」及び「長命」、「異世界人」でした。
    転生電車 かたんかたんと、電車の音がする。眠気に揺られながらも少しずつ醒めた意識を持ち上げるように瞼を開いて、ぼうっとする頭を少しだけ擡げる。ああ、どうやら知らぬ間に寝てしまっていたようだった。ふと視線を左右に彷徨わせて、辺りには私以外の人がいないことに気付く。どうやらこの車両には私しか乗っていないらしかった。
     身体は小刻みに心地の良いリズムで私を揺らしていた。電車はずっと真っ直ぐに向かって走っている。眠気からまだぼんやりとする意識が、鈍く私の思考を遅らせていく。思えばいつ電車に乗っていたのだろう。ひどく長く眠っていた気がするが、寝てしまう前のことが何も思い出せなかった。
     途轍もない眠気に欠伸を噛み殺して、ふわふわ、ゆらゆらと揺れる頭をそのままに、電車の揺れに身を任せる。振動に合わせて視界に映る前髪が右往左往し、何となく身体を包む温かさが更に眠気を助長させていた。もう一度寝てもいいだろうか、なんて少しばかり思考が過ぎりながらも、どうにかして視線をゆるやかに上げた。
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    Asahikawa_kamo

    PASTrf四神パロ、朱雀が街でお散歩する話。
    フォロワーさん300人記念としてネップリに登録していたお話でした。
    朱雀散歩「あ、みなと!」
    「みなとだー!」
    「おーおーちびっ子元気か~?」
    「げんきー!」
    「そーかそーか、んならええやん」

     朱雀領南西部にある、桔梗の市。この領で一番に大きい観光名所であり商い処でもあるその市には、時々ミナトと呼ばれる華美な見目の青年が訪れることがあった。市で働く者の間では特に有名で、彼がやってくると近いうちに何故か大きい商機が舞い込むなどという迷信さえあるような謎の男として、まことしやかに囁かれていたのだ。
     とはいえ彼自身が何か市へと干渉するわけではなく、ただ他の客と同じように市で物を買い、飯を食い、時折馴染みの子供と遊んでくれるという、ごくごく普通の客であった。やはり昔馴染みも多いからか、見知らぬ者が増えていれば挨拶をし、見知っていたはずの誰かが居なくなっていたらその所在を訊いたりもするが、それは他の馴染みの商人でも良くやることである。人によっては彼を旅人だと言う者もいたが、それにしては旅人らしい様相もしていない。何処に住んでいるのかも分からないとされているため、市で働く者たちは彼がどこからやってきているのか、何者であるかということをてんで知らないのである。
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    Asahikawa_kamo

    PASTあまりにも中二病がすぎるrf異能パロ。気狂いが途中で覚めたためにお話も途中で終わってます。
    特殊設定がすぎる、中二もすぎる、今回の主人公はid。まじで特級呪物と化した。ゆるして。
    異能パロ① 人が異形の生物に変貌する現象は、遡れば十九世紀後半のヨーロッパから始まっているとされていた。とある小さな村で起こったその悪夢の始まりは、現代の魔女裁判を彷彿とされる疑対象の磔刑と火炙りで一度は途絶えたとされていた。が、気付かぬうちに世間の認知外で少しずつ、病魔のように広がっていたのだと誰かは言う。
     『それ』になった者は、関節の痛みから始まる。身体中の関節が軋み出し、気が付かぬうちに短期間で身長が──否、四肢が伸びるのだ。そうして足と手が細長い生物と化した後、全身が白く変化し、人間であった意識も面影も失われては、ただ人を襲うだけの異形と化す。故にそれを人は、白化獣ゲファレナと呼んだ。
     二十世紀も半ばをとうに折り越した日本。首都、東京。紅蓮に沈む夕焼け空を少しばかり見上げていたとある青年は、現代では珍しい黒の羽織りを翻しながら歩いていた。グラデーションになった青緑の裾は、既に失われかけている新緑を彷彿とさせる。揺れるブロンドグレーの淡い光彩は、その奥に潜んでいる青空にも良く似た双眸を隠しながら、少しの風を起こしつつ人気のない雑居ビル群の中を進んでいた。
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    Asahikawa_kamo

    PASTテス勉してるmcとそれを応援するrfの話。
    かち、かち、と時計の鳴る音に混ざりながら、ペン先がノートを滑っている。机に向かっていたその背中が、ふと伸びた。上げた視線の先は壁掛けの時計。既に、午前二時を回っているところだった。
     集中の糸が少し途切れたその緑色がぐっと背伸びをする。流石にそろそろ寝るべきかと巡る思考と、書きかけの勉強の後。ここまで、このページまで解き終わって答え合わせをしてしまったら寝よう。そう思いふと息を細く吐いた彼のスマホが、ぶぶ、と音を立てる。いつもであれば勉強中はそもそも耳にさえ入ってこないその鳴りが、ちょうど休憩中故か気になってしまったので、彼──剣持は、伏せていたスマホを持ち上げてちらりとロック画面を見た。
     剣持刀也はライバーである。しかしそれ以前に、高校生でもあった。この年で仕事をしているとはいえ、彼の本業は間違いなく学生だ。それはライバー仲間誰しもがそうであるだろうが、きちんとどちらも両立できていなければ胸を張って学生兼ライバーだとは到底言えないのである。故に剣持は自分が学生であるということもおろそかにはしたくなかった。今目の前に広がっているそれも、ちょっとした努力の一環。数日後に控えたテストのための追い込み勉強だった。
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