にゃんちょぎ♀(年上なお兄さんな南泉×長義♀)

気持ちいいことは大体南泉に仕込まれてるし、エッチの時に毎度1回は噛まれるのでその痛みすら快楽になるよう教えこまれちゃった長義♀。日常生活で普通に2人でのんびりとしたお休みを過ごしてる時に長義♀が食べてたお菓子を摘んで南泉にも何気なく『はい、あーん』って食べさせてやったら『ん。』って口を開けた南泉の尖った犬歯がちらりと見えて、ベッドの上でのことが思い起こされて思わず(あ………//)ってなる。それを感じ取った南泉がお菓子を食べるふりして指をかぷりと甘噛みするので、噛まれること=気持ちいいことって教えこまれてる長義♀は反射的に軽く『んっ』って甘い声を出してしまって、それを聞いた南泉は『なに期待してんだぁ？』って愉快そうに笑ってからお菓子をかっさらっていく。

chocolate？　南泉が集荷に来る曜日と時間帯ははいつも決まっていて、けれど集荷エリアでチェックをしたら、よほどのことがない限りこちらには来ない。たとえすぐそこに、愛しい恋人氏が寝そべるみたいな妙な姿勢でパソコンを睨みつけていても、だ。
　業務中だから当たり前といえば当たり前なんだけど、どうしてここからやんごとない関係に発展できたのかは、国広は謎で仕方がない。
　そんな月曜の午後、珍しく南泉がふらりと国広の座る島までやってきた。――残念ながら長義は経理部との打ち合わせに行って、いない。
「よお。長義、いねえよな」
「――ああ」国広は壁の時計をちらりと見上げて答えた。「あと三十分くらいはかかると思うぞ」
「ふうん」
　南泉はどうでもいいみたいに返事をして、それから、ことりと長義のデスクに缶入りの飲み物を置いた。スリムなタイプの缶は、こげ茶色のフォルムをしている。

情報システム部の国広くんと長義くんの話　マシンルームから帳票の束を持って戻ってくると、朝から挨拶周りで出ずっぱりだった長義がデスクに戻っていた。
「あれ。長義。もう終わりなのか」
　俯いて何か作業をしているらしい長義のつむじに声をかける。キーボードを叩くときはいつも椅子の背にもたれかかって寝転ぶような姿勢だから、こんなふうに俯いているのはそういえば珍しい。一体何をやっているんだ……。
「げっ。字、書いてる」
「うるっさい。今、話しかけるな！　字が歪む」
「あんたの字、元々歪んで――、あいたっ」
　新年早々同じパターンである。素早く手を伸ばした長義に、脇腹をグーパンされた。どうして長義は美人なのに口も回るのに、最終的には真っ先に手が出るのだろう。

トマトとカボチャとマトリッツォトマトとカボチャとマトリッツォ



　白壁が続く、旧市街地にその店はあった。
　数十種類のスパイスが空間いっぱいに漂う、その店の名は、『月と矢』。もとは使用人用の長屋だった建物をリノベーションした内装は、店名でもある月と矢のモチーフを散りばめたインテリアともども好評で、先日は東京から〝リノベーション〟を主題にした雑誌の取材も受けたほどだ。
　まぁ――
　内装で注目されるのはしゃーないとして。
　カレーの味のほーをメインにして欲しいんだけど、にゃ。
　本当は。
「南くん、カレー」
　そんな『月と矢』の本日イチバンの客が、言った。
「や、姫鶴の兄貴、南くんはやめてくれにゃ」
　蜜色の金髪の長めの襟足を白いゴムで縛った、店主が答えた。