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    独り言

    Unyanyanganyan

    MEMOなんのカップリングでもない小説でもない独り言です。
    無題 一年前の夏。景色はあまりに鮮やかだった。絵の具を零したような彩度で飾られた風景と、全てが物語の一部のような日々だった。私は、彼女が好きだった。彼女が好きで、自分自身も好きになろうとしていた。自分を受け入れようとして、自分を許せる気がしていた。

     きっと上手くいくと思っていた。ゆっくりと、ゆっくりと、新しい何かが生まれてくるような心地に生きていた。

     それを、全部、捨ててしまおうと思ったのはいつからだったか。頑張って、努力して、我慢して、我慢して、我慢して、まだ頑張れて、まだ平気で、進み続けているうちにもうダメな場所にいる事にも気が付けなかった。
     鮮やかだった夏の景色は色褪せた。風に揺れる木の葉の音色が好きだった気がする。でももうそんなものは聴こえてこなかった。鉛玉を舐めているような毎日だった。人を憎んだ。憎くて、憎くて、この世界が消え去って欲しいと願った。何もかもがつまらなかった。くだらなかった。好きではなかった。そんな腐った感情を飲み下して笑った。人と会話を交わした。全ては嘘ばかり。何一つ興味もなくて、何もかもがどうでも良くて、私はただの嘘吐きになった。嘘が嫌いだった。自分も嫌いだった。自分が憎くて憎くて、殺してしまいたかった。つまらないくせに、楽しそうに過ごす自分が憎かった。
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    さみぱん

    MENU2022.10.9開催の笹唯webオンリー”恋のはじめはまばゆい音色”にて発行の笹唯本『Butterfly Effect』に収録しました③

    笹さんの独り言+回想
    やっと唐揚げ食べてもらえました

    初出:2021.12.12
    去年のクリスマスLINEがずっと根底にある…
    あまいもの 糖分補給は大事だ。気持ち良く音の海を泳いでいたのにいつの間にか現実に引き戻されていることがある。そんな時はだいたい糖分が不足して集中が切れてしまった時だ。脳を動かすのに使えるエネルギーが糖だけというのは、恐らく生物としては合理的なんだろうが少し面倒な仕組みだ。
     空腹感がある訳でもなく血糖値を上げるだけなら飴でもチョコでも何でもいい。手近に何もなければ、常備しているブドウ糖タブレットを口に放り込むことになる。美味くも不味くもない、ただ甘いだけのアレはあれで合理的だし、脳みそに直接染み渡る感じがいい。
     腹が減っていると感じる時は、十中八九食い物の匂いがしている。仁科がどうやって俺の空腹を察知しているのか不思議で仕方がないが、腹が減ったなと思う前に既に食料が用意されていることが多い。自分ではそのつもりがなかったのに、その美味そうな匂いを感知した途端に腹が鳴り、空腹に気付くこともしばしばだ。
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