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    狭山くん

    TRAINING2022-08-30/汐見♂と汐見♂に初恋を奪われた女の子の話。年下の女の子を下心一切無しで可愛がる空閑汐♂である。
    空閑汐♂デイリー【Memories】30「お嬢、他には何か見たいものあるか?」
     柔らかな声がハンナ・シェルツに降り注ぐ。幼い頃に一度だけ出逢った初恋の人は、優しげな笑みを浮かべてシェルツを見つめていた。オジョウ、というシェルツからしてみれば異国の響きを持つ言葉でシェルツを呼ぶその人は、彼女の最短最速で始まり終わった初恋を知ってか知らずかこうして時折シェルツを連れ出し積極的に財布になろうとする。
    「見たいものあるって言ったら、アマネさんまたすぐ買ってくれちゃうじゃないですか……!」
    「まぁな。何か楽しくなってきて」
    「その財布はヒロミさんに開けて下さいよ……」
    「正直あっちはネタ切れだ。お互いあんまり物欲ないからなぁ」
     地球に帰った時ツーリングする為にヒロミの分もバイク買ったら怒られてな。重ねられた汐見の言葉に思わずシェルツは頭を抱えていた。普段散財しない上に、危険手当だの飛行手当だのが加算されてそこそこの高給取りである汐見は堅実な貯蓄をしているらしい。らしいというのは、シェルツに対する財布の紐の緩さを見ていると信じられないので。
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    狭山くん

    TRAINING2022-08-23/高校時代に空閑とハーレーで走った道を1人で走る汐見♂の話。今週末にはハッピーハッピーです(予言)
    空閑汐♂デイリー【Memories】23 ひとり荒野をバイクで駆ける。この場所で暮らしはじめて少しした頃に買ったバイクはすっかり馴染んでしまって。汐見は休暇の殆どをこうやってバイクを走らせ過ごしていた。
     同じ部隊の先輩は気のいい人間で、同期は学生時代からの仲ではある。けれど、余暇の時間まで過ごしたいとはどうしても思えなくて。大体の誘いを断り結局一人で過ごすことが多いのだ。あまりにも人付き合いが悪くて、自分でも笑ってしまう。そんな自分が平穏に過ごせているのは、ひとえに同期であるフォスターがフォローしてくれているお陰だろう。
     ――ヒロミに何を言われたのかは知らないが。
     フォスターは保護者よろしく汐見を構い、汐見が辟易とするようなあからさまな誘いの防波堤のような位置にその身を置いていて。軍に入ってから筋肉も持久力も学生時代よりも増えたとは言え、体質的なものなのか見た目はどうしても細く軟弱に見える汐見からして見れば羨ましい事この上ない恵まれた体格を持つフォスターはこの場所でグリズリーと呼ばれていた。
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